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Antilatencyの新しいポジショナルトラッキングシステム - VR Inside

Antilatencyの新しいポジショナルトラッキングシステム

     

ヘッドセットにカメラを追加

ポジショナルトラッキングは、家庭用のVRヘッドセットでも可能な技術となっている。しかし、その実現にはヘッドセットの位置を認識させるために外部のセンサーが必要となる。

Upload VRは、世界中からVR関連の新技術が集まるVRLAでユニークなポジショナルトラッキングシステムを開発しているAntilatencyのデモを見る機会を得たようだ。

ロシアから来たAntilatencyのシステムは、Gear VRのようなモバイルVRヘッドセットでのポジショナルトラッキングを可能にする。

ALTの仕組みと特徴

Antilatencyのポジショナルトラッキングシステムは、ALTと呼ばれる小型のカメラと、地面に設置するIRバーからなる。ALTは、Gear VRのような既存のモバイルVRヘッドセットに取り付ける小型のカメラだ。

このカメラは、風景やユーザの表情を撮影するわけではない。地面に設置したIRバーから発する赤外線を認識し、VRシステムにユーザの現在位置を知らせる役割を果たしてくれる。

ヘッドセットの外部に赤外線を発するIRバーを設置する必要があるという意味では、従来のポジショナルトラッキングシステムと似たようなものと言えるだろう。Daydream Viewをルームスケールに対応させた方式と変わらないが、より洗練されているという印象だ。

自由なプレイスペース

しかし、Antilatencyのシステムにはいくつかの優れた特徴もある。

一つは、トラッキング可能なスペースを自由に設計できることだ。

IRバーが1本しかなくても、ユーザ正面の床に設置すればルームスケールでのVRが実現する。4本のIRバーを用意できるなら、ユーザを囲うように設置して3メートル四方から10メートル四方までの正方形の空間でポジショナルトラッキングが可能だ。

高い自由度と拡張性があり、より多くのIRバーを使って広くて複雑な形をしたVR空間を作ることもできる。

ALTは直射日光があっても使えるので、屋内だけでなく屋外での使用も可能だ。モバイルVRの携帯性を活かして、持ち運んでVRを利用することも考えられる。

マルチユーザとコントローラーへの対応

テーマパークやVR施設に作られるアトラクションと異なり、家庭用VRデバイスが実現するルームスケールVRは一人のユーザが使用することを想定している。だが、ALTは一つのプレイスペースに複数あってもそれぞれの位置を認識する。

そのため、複数のユーザが同時にVR体験をすることも可能だ。マルチユーザへの対応の他に、ALTを使ったトラッキング対応のコントローラーを作ることも考えられる。

便利・手軽

快適なVR空間を構築するには、正しく配線を行い、各種センサーを正しい位置へと丁寧に配置して設定を行う必要がある。Antilatencyのシステムが使用するIRバーは、配線が不要だ。

バーは公式サイトの動画で確認できるように丸めて収納できるので、持ち運びも容易になっている。設置したい場所でバーを伸ばし、マグネット式のコネクタをモバイルバッテリーに接続すれば準備完了だ。

ヘッドセットに装着するALTも、各プラットフォームに合わせたアダプタを介してヘッドセットやスマートフォンのコネクタに差し込むだけで利用できる。

この手軽さは、モバイルVRと好相性だ。

Antilatencyの現状とこれから

VRLAの会場でAntilatencyのシステムを試したUpload VRによれば、カメラ(Gear VRに装着したALT)がIRバーを一つでも捉えることができれば、素早い動きをしても正しくトラッキングできるようだ。

実際にVR体験をすると、ユーザ自身の身体や、マルチプレイ時の他のユーザによってALTとIRバーの間が遮られてしまうこともある。そういったときでも、傾き・加速度といったALT以外のセンサーがもたらす情報と位置予測アルゴリズムがある程度の冗長性を提供するという。

Antilatencyによれば、IRバーは床に設置するのではなく天井に設置することも可能だという。その場合にはALTを上向きに取り付けられるように改良する必要があるが、床に置く場合と違ってVR体験の途中でIRバーを踏みつけてしまうことは避けられる。

家庭用・個人用としてはともかく、商業施設での利用を考えた場合には天井にIRバーを設置するのは良い方法になりそうだ。

ALTが信号を見失うことはめったにないが、それが起きたときにはユーザが浮遊しているような感覚の映像になってしまうようだ。同社の関係者は、この問題を認識しており、1ヶ月以内に改善が可能だという。

製品化の時期や価格についてはまだ情報が出ていない。

複数のIRバーを使う方法はハードルが高いが、1本のバーだけでもモバイルVRでのルームスケールが可能になるので需要はあるだろう。続報が楽しみなシステムだ。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/antilatency-mobile-positional-tracking/

参照元サイト名:Antilatency
URL:http://antilatency.com/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。