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AR技術が卵のパッケージデザインに採用される - VR Inside

AR技術が卵のパッケージデザインに採用される

     

卵のパッケージ

製品のパッケージは、店頭で商品を選ぶ消費者の目を引くための装飾であり、商品の性質を正しく伝えるための広告でもある。

同じジャンルの製品は似たようなパッケージになってしまうことが多い(洗剤ならば清潔感のある青や白を中心とする配色になることが多く、オーガニック食品は安心感のあるアースカラーを使うことが多い)ので、埋もれないようにするのも大変だ。

パッケージデザイナーは他の商品との差別化のために工夫を凝らしている。その工夫の一つがARアプリを使うものだ。飛び出して動くAR映像を使ったキャンペーンから、商品に興味を持ってくれる消費者もいるだろう。

パッケージデザインとAR

新旧パッケージデザイン

パッケージの微妙な変化(上が新パッケージ)

パッケージに込められたメッセージ

パッケージのデザインには、いくつかの意味がある。一つだけではなく、複数の役割を同時に行えるようなパッケージをデザインしなければならないのがデザイナーの難しいところだ。

ブランドや商品名を正しく伝えなくては、同じ商品を指名買いしてくれるリピーターが困ってしまうだろう。そのためには、ロゴやマークをきちんと目立たせなくてはならない。

だが、文字が中心のあまりにもシンプルなデザインだとパッケージで商品を選ぶ消費者には手に取ってもらえないかもしれない。大きな写真やイラストを配することで、ある程度のインパクトも与えたい。

他の商品の中でも目立たせるためには派手な色を使うのが良い。しかし、オーガニックな卵のパッケージにけばけばしい原色を使ってしまうと違和感が強い。

盛り込みたい情報がたくさんあるにもかかわらず、パッケージの面積は有限だ。特に卵のパッケージなどはサイズも小さく、印刷が可能な面が狭い。たったこれだけのスペースで与えたいイメージを与えるのは困難だ。

グラスフェッドの卵

テキサス州オースティンのVital Farmsは、グラスフェッドの(牧草で育てた)卵を販売している。しかも、鳥たちは一年中自由に動き回れる環境で暮らしているという。

これがVital Farmsのウリだ。

多くの養鶏場では、鶏は狭いケージの中に閉じ込められている。さらに、餌となるのは高カロリーな穀物が中心だ。おまけに、黄身の発色を良くするための成分などが餌に混ぜられている。

近代化した養鶏は効率的に多くの卵を生産することができるが、鶏へのストレスや特殊な食事によって卵の品質が落ちるという主張もある。単純に、そうした鶏への扱いが「可哀想」という理由でより自然な環境で生産された卵を選びたいと考える消費者も多い。

Vital FarmsのクリエイティブディレクターであるDan Brooksは、卵を積極的に食べる消費者が自然な食品を好むと説明する。

アメリカでは、日本に比べて自然食品店がポピュラーな存在だ。特に高級住宅街やオシャレな街に出なくても、普通のスーパーのようにいたるところにある。卵は、Whole Foodsのような自然食品店を利用する消費者の間でナチュラルな食べ物として選ばれてきた。

今日では食品の「倫理的な」「人道的な」生産への注目が高まっており、消費者がVital Farmsのような鶏に配慮した環境で生産された卵を食べるようになっているという。

パッケージの変化

カートゥーン調の卵パッケージ

以前使われていたカートゥーン調のデザイン

Vital Farmsのオーガニックな卵はかつて、上の画像のようなパッケージで販売されていた。カラフルなカートゥーン調のデザインは売り場に並ぶと目立つものではあるが、ナチュラルな製品を求めるユーザのイメージとは少し異なっている。

このカラフルなパッケージが大幅にリニューアルされ、黒板にチョークで文字とイラストを書いたようなデザインに変更されている。Brooksは、新しいデザインが農場の本当の様子を反映したものだという。新しいデザインに青い空と緑の草原というアイコン的な表現はないが、素朴で自然な環境の中で暮らす鶏たちが描かれている。

黒板風のデザインに合わせるために、パッケージの文字を少し地味にする決断もなされた。メッセージを主張するだけでなく、全体の統一感も重要な広告の要素だ。

ARの活用

卵のパッケージの上に牧草地

Vital Farmsが行ったリニューアルは、単純なパッケージデザインの変更に留まらなかった。彼らはRoarとの協力関係によってARをパッケージに利用している。

画像認識技術を使うことで、パッケージのデザインはそのままでアプリにVital Farmsの卵だけを認識させることができるようになった。特別な記号やバーコードを追加することなく、ARアプリのサービスはシームレスにスタートした。

ARを使うことで、卵のパッケージの上に牧草地が広がる。この映像を見れば、消費者はVital Farmsの鶏がどんな環境で過ごしているのかを理解できる。多くのブランド卵が「ケージフリー」「フリーレンジ」などの謳い文句で売られているが、それらとどう違うのかを分かってもらうことを目指して作られたAR映像だ。

さらに、Roarアプリを通じてクーポンも獲得できるという。アプリはAndroidとiPhoneに対応しており、無料でダウンロードできる。

このパッケージに入った卵は、全国の自然食品店や大手小売店で販売される予定だ。

Roarのメリット

Vital Farmsは、専用のアプリを作成するのではなくRoarのアプリを使ってARコンテンツを提供している。

この方法はアプリの開発費用を削減できるだけでなく、ユーザにとっても複数のアプリをインストールせずに済むというメリットがある。Roarアプリを通じてクーポンを提供するブランドが増えれば、多くの消費者がアプリをダウンロードするはずだ。

コンテンツ提供者にとっては、Roarのサイトで簡単にAR体験を作成できるのが最大の利点だろう。コンテンツの作成は無料で、請求は定額ではなく利用回数に応じて発生するという。

Roarの担当者は、自社のデータベースに何千もの食品・飲料が登録されているという。ARはハイテク企業だけでなく、食品や日用品を提供するメーカーにとっても身近な広告の手段になりつつあるのかもしれない。

 

参照元サイト名:Packaging Digest
URL:http://www.packagingdigest.com/packaging-design/ar-app-egg-carton-design-1705

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。