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Dirac Researchがスマホ用VRオーディオプラットフォーム開発に着手 - VR Inside

Dirac Researchがスマホ用VRオーディオプラットフォーム開発に着手

     

モバイルVRヘッドセットを付けた男性

オーディオビジュアル関連の情報も多く掲載している海外のデザイナー・ディーラー向けメディア、Inside CIがDirac Researchの発表した新たな取り組みに関する記事を掲載した。

Dirac Researchは、スマートフォンでの使用を想定したVR用の360度オーディオ録音プラットフォームの開発に着手するという。

VRの映像とオーディオ

Gear 360

360度カメラがあれば、スマートフォンと連携してVR映像を撮影できる

VRで重要な映像

VRコンテンツを選ぶときにまずユーザの目に留まるのは、美しい映像やかわいいキャラクターだ。商品のパッケージが良ければ、それだけである程度は売れるものである。

人間は視覚から取り入れるに情報に強く依存していると言われている。目を閉じたまま過ごすことの難しさを考えれば、それは明らかだ。

多くの人は単なる不便だけでなく不安や恐怖を感じるだろうし、視覚からのフィードバックが得られないと姿勢を保つことすら難しくなる。

VRに初めて触れるユーザは、自分の周囲360度にVR空間が広がるその没入感に驚くだろう。体験する前は「360度映像を表示したスマートフォンを手に持っているのと何が違うの?」と思っていても、実際にVRヘッドセットを付けてみると全く違って感じられるはずだ。

やはりヘッドセットの存在によって周りが見えなくなる効果は大きい。頭を動かすだけで視点が変わる感覚も新鮮で、本当に周りがVR空間になってしまったかのように感じられる。こうしたヘッドセットの存在感からも、視覚の重要性が分かるだろう。

そんなことは抜きにしても、映像の品質が良ければそれだけで人目を引く。キャラクターが魅力的だがそれ以外は平凡なゲームや、風景の美しさが一番印象に残った映画の名前を挙げられる、という読者も多いのではないだろうか。

VRが登場したばかりのとき、360度のVR映像を撮影するためのカメラは高価で複雑なプロ向けの機器というイメージだった。ところが最近では、スマートフォンと連携して簡単に使える360度カメラも増えてきている。360度動画の共有を行えるサービスも多くなった。

こうしたハード・ソフト面の充実により、プロではない一般のユーザでも解像度の高い360度VR映像を撮影して共有できる環境が整いつつある。

VR体験を深めるオーディオ

VRコンテンツにおける映像の重要性は間違いない。しかし、もう一つ重要なポイントとなるのがオーディオだ。

せっかくVR体験をするなら、周囲360度から音が聞こえる感覚を求めたい。左右しか聞き分けられないのでは、通常のテレビゲームや映画と変わらない。最近では5.1chでの出力が可能な作品もあるので、オーディオに関してはそれらよりも没入感の低い作品になってしまう。

だが、一般のユーザがVRコンテンツで利用するための音源を用意するのは難しい。360度カメラで撮影した映像ならば視線の方向を変えることはできるが、それに合わせて音の聞こえ方が変化するわけではない。そのため、視聴者は映像と音のズレに違和感を覚えるだろう。

Dirac Researchの挑戦

ゼンハイザーのVRマイク

ゼンハイザーが販売するVRマイク

Dirac Researchはこの問題の解決に取り組むという。同社はスウェーデンのイノベーション機関であるVinnovaから研究資金を獲得し、消費者向けの高度な360度オーディオレコーディングシステムを開発する。

VinnovaからDirac Researchに提供される資金は25万ドル(2,700万円)だという。

Dirac Researchの共同設立者でCEOでもあるMathias Johanssonによれば、このプロジェクトはCES 2017で発表されたDirac VRオーディオプラットフォームを下敷きにしている。

Johanssonは2016年に360度写真の撮影が消費者向けのデバイスでも可能になったことを指摘し、次は360度オーディオを含むVR映像がそうなるという。

「2016年は写真が画期的な飛躍を遂げた年でした。360度カメラやスマートフォンで360度写真を撮影することが消費者にとっても特別なことではなくなりました。もはや私たちにとって写真は、写真家の正面だけを切り取るものではないのです。

スマートフォンで360度映像をリアルタイムに撮影し、世界へ共有できればさらに素晴らしいことになります。コンサート、バスケットボールの試合、裁判所の傍聴席の最前列に視聴者を連れていけるようになるのです。

このプロジェクトの目的は、3Dオーディオのプラットフォームのプロトタイプを開発し、消費者向けのデバイスによる没入感のある360度映像の撮影を現実のものにすることにあります」

Johanssonは、そのために重要になるのが3Dオーディオプラットフォームの存在だという。Johanssonは、360度あらゆる方向から入ってくる音をキャプチャし、ヘッドホンから聞こえてくる音を現実さながらに変化させられるプラットフォームを目指す。

コンサート会場のVR映像を見ているときに顔の向きを変えると、音楽の聞こえ方が変わる。Dirac Researchの新しいプラットフォームがそんなVR映像を実現する。

VR用の音源を録音するために作られた特別なマイクは既に販売されているが、録音後にはミックス処理が必要になるので素人が扱うのは難しいだろう。専門的な知識や道具を使わなくても、スマートフォンだけで録音ができるのもこのプラットフォームの利点となる。

一般のユーザが360度映像をライブ配信するのも、普通のことになるのだろうか?

 

参照元サイト名:Inside CI
URL:http://www.insideci.co.uk/news/dirac-research-fast-tracks-vr-audio-development.aspx

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。