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HTCのVR For Impactで資金を獲得する3つのタイトルが出揃う - VR Inside

HTCのVR For Impactで資金を獲得する3つのタイトルが出揃う

     

VR For Impact

今年の1月にHTCが発表したプログラム、VR For Impact。1,000万ドル(現在のレートで11億円以上)の資金を用意した大規模なプログラムだ。

このVR For Impactは、United Nationが発表したSustainable Development Goalsを支持している。

Sustainable Development Goalsは、持続可能な開発目標と訳されることが多い。貧困問題の解決や環境の保護を考え、明日の世界をより良くしていくことを目指すための目標だ。

VR For Impactでは、そんなSustainable Development Goalsを支持するVRのプロジェクトを支援する。

最初の受賞プロジェクト

VR For Impactは、単純なVRの普及と発展を目指すプログラムではない。

地球の未来を考えるプロジェクトを支援する企画ということで、プログラムから資金を獲得するプロジェクトの発表も「アースデイ」に合わせて4月22日だった。

先日名前の上がっていたSpaceVRに加えて2つのプロジェクトが発表された。以下の3つが、VR For Impactのプログラムで選ばれた最初の受賞プロジェクトだ。

SpaceVR

Overview 1

先日VRInsideでも紹介したSpaceVR。

このプロジェクトは、単に魅力的なVRコンテンツを作ってユーザを惹きつけようとは考えていない。

もっと大胆なことが計画されている。彼らは宇宙空間のVR映像を撮影しようとしているのだ。

宇宙空間や国際宇宙ステーションを舞台にしたVR作品は多数あるが、人工衛星から360度映像を撮影してVRコンテンツを作ってしまうのは人類初の試みとなる。

彼らはOverview 1と呼ばれるVRカメラを搭載した人工衛星を作成し、今年の8月に打ち上げを予定している。Overview 1は地球低軌道へと投入され、9ヶ月に渡ってVRコンテンツの素材となる映像を撮影する予定だ。

地球を周回するOverview 1だけでなく、太陽系の様々な場所に複数のVR衛星を送り込むことを計画しているようだ。

SpaceVR公式サイト:https://www.spacevr.co/#spacevr

『Tree』

Treeのポスター

2つめは、New Realityが制作した『Tree』だ。

このプロジェクトでは、ユーザ自身が熱帯雨林の木になる体験をする。ただ木の視点からのVR映像を見るだけでなく、振動を使った触覚フィードバックによって苗木から成長していく木を感じることができるという。

このプロジェクトは、ユーザに対して熱帯雨林が直面している危機を示す。気候変動を防ぐ上で大きな役割を果たしている熱帯雨林が失われつつあるのだ。

気候の安定に寄与し、生物の多様性を守り、様々な薬の原料となる成分を作り出す熱帯雨林の重要性を伝えるプロジェクトである。

21日から29日にかけて開催されるトライベッカ映画祭で展示される。

Tree公式サイト:http://www.treeofficial.com/

『The Extraordinary Honey Bee』

ミツバチの視点

童謡や童話でもおなじみのミツバチは、農業に欠かせない存在だ。多くの植物が受粉をミツバチに頼っており、彼らがいなければ花を付けても実ができずに枯れてしまうことになる。

広大な農地で植物を栽培するアメリカの農家では、わざわざミツバチを「借りて」受粉作業を行ってもらうそうだ。養蜂家というと蜂蜜を目的にしているイメージだが、ミツバチを貸し出して受粉用に使う業者も多いようだ。アーモンド農家などでは毎年、シーズンになるとミツバチのコロニーを巣箱単位で借りるという。

だが、近年ではミツバチが激減しているらしい。蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれるこの現象は世界的に広まっており、アメリカ、カナダ、ヨーロッパの他にアジアの一部でも問題となっている。

関連書籍を見ても、2006年の秋に初めて報告されたCCDの正確な原因はいまだに不明のようだ。どうやら農薬の使用が関連しているらしいとも言われている。

これによりアーモンドのような作物の価格が上がったり、受粉を請け負う業者の価格が高騰したりといった変化が起きているようだ。価格の高騰によって、ミツバチが盗まれるといった事件も発生した。

The Extraordinary Honey Beeは、こうしたミツバチの減少やその対策について知ることができるVR映像である。Reach AgencyとSpectacle、そしてあのハーゲンダッツが協力して作成した。

6月に公開が予定されている。

VRで未来を考える

Treeのビジュアル

今回発表された3つのVRプロジェクトはいずれも、VRと地球の将来を考えさせるものだ。

SpaceVRはポジティブで明るい未来を想像させるプロジェクトで、これからの計画にも期待が持てる。衛星が多くの映像を集めれば、VRを使って太陽系を学べる映像コンテンツがさらに充実するだろう。

TreeとThe Extraordinary Honey Beeはこれからの環境問題を考えさせるコンテンツだ。

焼畑農業で熱帯雨林が減少すれば、空気や水を通して世界中の人や動物に影響する。ミツバチがいなくなれば、受粉を彼らに頼る植物も、それを食べる動物もいなくなるだろう。

VRがこうした問題を解決できるわけではないが、少しでも問題の存在を認識する人が増えれば行動に繋がっていくはずだ。

各プロジェクト作品は近くViveportに登場するとみられる。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/htc-vive-reveals-first-grant-recipients-vr-impact/

参照元サイト名:VR Focus
URL:https://www.vrfocus.com/2017/04/spacevr-tree-and-the-extraordinary-honey-bee-selected-for-htc-vives-vr-for-impact-programme/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。