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GoogleのSeuratがモバイルVRに「デスクトップ並のグラフィックス」をもたらす - VR Inside

GoogleのSeuratがモバイルVRに「デスクトップ並のグラフィックス」をもたらす

     

GoogleのSeurat

Google Daydreamのようなスマートフォンを使うモバイルVRと、PCベースのハイエンドVRを区別する特徴の一つが高い解像度だ。PCベースのヘッドセットは高いグラフィックス性能を持つGPUを要求するが、その分解像度が高く滑らかなVR映像のレンダリングが可能となる。

単純な映像の品質だけでなくハンドトラッキングコントローラーの有無といった違いもあり、VR体験の手頃さよりも質の高さを求めるならばパソコンと接続するタイプのヘッドセットを使うのがおすすめだ。だが、GoogleはモバイルVRの映像をデスクトップレベルに高めるための技術を開発しているという。

Googleの「Seurat」は既に実用段階にあるツールだ。

Google Seurat

ジョルジュ・スーラ グランド・ジャット島の日曜日の午後

ジョルジュ・スーラ グランド・ジャット島の日曜日の午後

Googleが開発したこのツールの名前は、19世紀にフランスで活躍した新印象派の画家の名前にちなんでいる。代表作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(上の画像)のような点描を用いた表現を特徴とするジョルジュ・スーラが名前の由来だ。

小さなチップで全ての処理をまかなうスマートフォンと、グラフィックスの処理にスマートフォン本体よりも大きな専用のチップを割り当てることができるパソコンでは処理能力が全く違う。そのため、単純にモバイルVRの解像度をデスクトップ環境でのVRと同じレベルまで引き上げるのは困難だ。

しかし、SeuratはモバイルVRでのリアルなレンダリングを助ける機能を持っている。Seuratを使えば、モバイルでの「忠実度の高いシーンのレンダリング」が可能になるという。SeuratはモバイルVRの処理能力の制限内で、レンダリングの工夫によって高いレベルのグラフィックスを実現する。

Seuratの仕組み

Googleは、14秒の短い動画でSeuratによる処理の仕組みを説明している。詳細は明らかにされていないが、本来ならばそのシーンのレンダリング時に必要となる処理の量をかなり圧縮することに成功しているようだ。

映像で示される町並みは立体的だが、実際にレンダリングされるのはユーザの視点から見て必要になる部分だけになると思われる。これにより、見える範囲の品質を低下させることなく端末への負荷を抑えることができそうだ。

リアルタイムにレンダリングが必要な範囲を計算する処理そのものの負荷も高そうだが、その処理を効率的に行うことこそがSeuratの役割だ。Seuratに関するさらに詳しい情報は、今年の後半に説明される予定だ。

Seuratの役割

まだ発表されたばかりのツールであるSeuratだが、実は既にこのツールを使って作られているVRコンテンツが存在する。

昨年作成された『Rogue One: A Star Wars Story』がそれだ。Industrial Light And Magic Experience LabがSeuratを使ってこのコンテンツを開発している。

GoogleとVR

Seuratのようなツールの開発は、Googleにとって大きな意味を持つ。GoogleはモバイルVRのプラットフォームDaydreamを持っている。

モバイルVRにおいて先行するライバルであるサムスンのGear VRは、サムスン製のGalaxyスマートフォンに無料で付いてくる(または、格安で追加できる)バンドル戦略によって世界中で受け入れられている。Daydreamの登場よりも先に多くのユーザを獲得しているGear VRと戦うためには、Daydreamの強化が欠かせない。

Gear VRは優れたVRプラットフォームだが、モバイルVRなのでグラフィックス性能の制約を受けている。SeuratによってDaydreamのVR映像が高い忠実性を獲得すれば、モバイルVR同士の戦いにおける大きなアドバンテージとなるはずだ。

また、GoogleのDaydreamプラットフォームに対応するのはスマートフォンだけではない。現在はいくつかのメーカーがDaydream Readyな高性能スマートフォンを製造しているが、今年の後半にはDaydreamに対応したスタンドアロン型のヘッドセットも登場する予定だ。

HTCやLenovoがスタンドアロン型のDaydreamヘッドセットを開発しているという。

GoogleはSeuratの他にもVRデベロッパーをサポートするためのツールを開発している。PC上での変更をすぐにVRに反映させられるインスタンスプレビューツールも用意しており、VRに対するGoogleの本気をうかがい知る事ができる。

 

ただ、Googleとサムスンは単純な敵同士というわけでもないらしい。モバイルVRプラットフォームとして競合するライバルとみなされてきたGoogleのDaydreamとサムスンのGear VRだが、サムスンのGalaxy S8とS8+は今年の夏に予定されているアップデートによってDaydream Readyになるという。

今後両プラットフォームがどのような関係になっていくのかは不透明ながら、VRの世界においてもGoogleの影響力がさらに強まることだけは確実だ。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/googles-seurat-aims-bring-desktop-level-graphics-mobile-vr/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。