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Google、6つのストーリーが同時進行するVR映画「Tabel」のトレーラー動画を公開 - VR Inside

Google、6つのストーリーが同時進行するVR映画「Tabel」のトレーラー動画を公開

     

海外メディアVRScoutは、2017年4月25日の記事において、Googleが制作したVR映画「Tabel」について報じた。

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VR映画「Tabel」とは?

2017年4月19日、Googleは同社が制作したVR映画「Tabel:制御された状況下におかれたなかでの包括的無為に関するよくできた寓意」のトレーラー動画をYouTubeにアップした。

VR動画と言えば、絶景を収録したドキュメンタリー動画を筆頭に、ミュージックビデオ、ホラー動画といったジャンルのものが盛んに制作されている。そんななか、ストーリーのあるVR映画もすこしづつではあるが増えては来ている。

「Tabel」はVR映画のなかでも、あまり馴染みのない特徴がある。その特徴とは、6つのストーリーが同時進行するのだ。6つのストーリーが同時進行したら、視聴者は混乱してしまうのではないか、と思われるかも知れない。しかし、同映画には6つのストーリーを同居させても破綻しない演出が施されているのだ。その演出は、トレーラー動画をみるとすぐにわかる。

同映画は、レストランを舞台としている。そして、レストラン内の6つのテーブルで起こる出来事を、それぞれストーリーとして体験できるのだ。

6つのストーリーの同時進行を可能にしたDirectional audio

同映画は一見すると、舞台となるレストランのセットの中央あたりに360°カメラを置いて撮影された、技術的には注目すべきことろのないもののように感じられる。しかし、見た目に騙されてはいけない。

同映画では、カメラに対して異なった方向に6つのテーブルの音声をクリアに録音するために、「Directional audio」という技術を開発して使っているのだ。

同技術を使うと、360°動画撮影時に指定した方向の音声を録音することができる。同映画では、6つあるそれぞれのテーブルの音声を録音した6つの音源を編集段階でひとつの360°動画に統合したのだ(下の画像参照)。

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ストーリーの選択をユーザーにうながす「Tabel」がしかける罠

しかしながら、ストーリーを語るVR映画を標榜する以上、同映画は制作に使われている技術だけではなく、ストーリーの内容あるいは演出というアート的な観点からも評価しなければならない。

同映画は、ふたつの幕から構成されている。以下の順に見ていこう。

幕1:導入 〜 監督はユーザー 〜

映画が始まると、視聴者=映画の登場人物がレストランのテーブルに案内される。視聴者は、このレストランでディナーのためにヒトを待っているという設定だ。

辺りを見渡すと、周囲のテーブルにはすでに先客がいるようだ。辺りに見渡している視聴者に対して、ウェイターはそれぞれの客の素性を簡単に説明してくれる。説明後、ウェイターは去って行く。

同映画はインタラクティブなものなので、視聴者は何も見ない、周囲の客に関心を持たないということもできる。しかしながら、周囲を見渡せる席に座り、ウェイターに説明までされた視聴者は果たして何も見ないなどということができるであろうか。

視聴者が座っている席はひとつの客席であると同時に、見るべきストーリーを選べる「監督」席=ディレクターズ・チェアーでもあるのだ。

幕2:喧噪 〜 「無視」は選べない 〜

しばらくすると、キッチンがあるとおぼしき方向から騒音が聞こえてくる。キッチンのほうで何やらトラブルがあったようだ。この騒音と時を同じくして、周囲のテーブルも騒がしくなってくる。

あるテーブルでは、カップルが自分たちの「将来」に関して何やらもめているようだ。他の席では、やや不穏な雰囲気でウェイターを呼びつけている。レストランにはDJらしき女性もいて、彼女は周囲の喧噪をよそにスマホを操作し続けている。

レストラン全体が騒がしくなるに至って、依然として無視を決めこむ視聴者はいるだろうか。視聴者は、どこかしらのテーブルに注目せざるを得ないだろう。もし完全な無視を決め込むならば、映画自体の視聴を辞める以外にない。

映画が描く状況によって、どこかしらに注目せざるを得ないというこの演出こそ、「Tabel」の巧妙なところだ。しかも、6つのストーリーが用意されているので、関心さえあれば6回見ても飽きないだろう。

以上うな内容と演出を理解すると、映画タイトル「Tabel」の真意がわかる。「Tabel」は「Table(テーブル)」と「Babel(バベルの塔)」をかけた言葉なのだ。視聴者は、バベルの塔で起こったとされる諸言語の誕生に立ち会うかのように、6つの独立したストーリーの渦中に投げ出される。しかし、実際にいるのはレストランのテーブル席なのだ。

以上のような映画「Tabel」は、本記事下部に示す公式サイトからWebVRに対応したスマホ、PC、およびVRヘッドセットで視聴可能だ。

Googleが制作したVR映画「Tabel」について報じたVRScoutの記事
htいじょうtp://vrscout.com/news/vr-film-tabel-google-web-vr/

Tabel公式サイト
https://tabel.withgoogle.com/tech

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吉本幸記

Writer: 千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能 性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com