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JVRSレポートーVR2.0の世界へ

     

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5月30日〜31日にかけて開催されたJapan VR Summit 2017では、最先端のVRデバイスとソフトウェア、それに伴うサービスなどが数多く出展され、これからのVRの発展を示唆する要素に溢れていた。

初日の一番最初のセッションにおいて登壇したのは、東京大学大学院の情報理工学系研究科において知能機械情報学を専攻する廣瀬 通孝教授であり、「VR 2.0」と題された本公演では、約半世紀に渡って成長してきたVRの歴史と、これからの展望を語ったものだった。

本記事では、VRの歴史を簡単に振り返り、そしてVR2.0と呼ばれる現在のVRシーンの現状、ならびにVR2.0を加速させる技術について取り扱う。

VRの歴史

バーチャル・リアリティという言葉は1930年代から存在しており、発案者はシュールレアリスムの詩人アントナン・アルトーによるもので、その後コンピューター科学者のジャロン・ラニアーが普及させたものとされている。

VR0.0(60年代〜)

現在のHMDの原型が誕生したのは1968年のことで、コンピューター科学者のアイバン・サザーランドによって考案されたもので、"The Sword of Damocles"と呼ばれたが、この時点ではHMDはまだ実用的なものではなかった。

VR1.0(90年代〜)

実用的なVRが開発されたのは1986年で、NASAが宇宙飛行士を訓練するために、HMDを装着してバーチャルの宇宙空間を再現するシステムを開発した時で、その後1989年にジャロン・ラニアーが設立したスタートアップ企業、VPL ResearchがVR製品のデータグローブ(Data Glove)、アイフォン(Eye Phone)、オーディオスフィア(Audio Sphere)を開発したことにより、VRという言葉が一般的に知れ渡る。

この時に第1次VRブームが起き、テーマパークで使用されたり、日本でも当時の松下電工がVRの開発に着手していたが、当時の技術では実用的なVRデバイス一式を揃えるのに約5000万〜1、2億円という高額なコストがかかったため、普及することはなかった。

VR2.0(2010年代〜)

Oculus_Rift_-_Developer_Version_-_Front

状況が変わったのは2012年、Oculus Riftのプロトタイプが発表され、翌13年には開発者キットが発売されたことにより、VRアプリの開発が世界中で流行し、そして2014年にFacebookがOculusを2000億円で買収したことにより、VRが再び脚光を浴びることになる。

そして2016年にはHTC Viveが発売、スマホVRではGear VR、同年末にはPSVRとスタンダードナンバーが相次いで発売されたことにより、同年が「VR元年」と呼ばれるに到る。

なぜ今、VR2.0なのか

これまでの歴史を鑑みて、昨年から急激な成長を始めたVRが、VR2.0と呼ばれるまでに至った背景には何があるのか。

コストパフォーマンスの劇的な改善

VR1.0ではシステム一式を揃えるのに最低でも約5000万円かかっていたが、現在ではハイエンドクラスの最上級のHTC Vive Kitでも約10万円、PSVRは約6万円で購入できる。(ただし前者はハイスペックPC、後者はPS4が必要)

グラフィックの充実

また、VR1.0の時点では視野角が狭く、解像度もまるでメガネを外して物を見るときのようにぼやけていたが、現在のHMDは視野角が広く、解像度は平均2K、JVRSでは8Kの360度動画のデモンストレーションが行われていた。

周辺技術の発達

HMDの発達と共に、赤外線センサーによるトラッキング技術やコントローラーによる操作技術、そして360度カメラの登場などによって、VR2.0の可能性は大きく開かれ、最近では触覚フィードバックの研究、開発も盛んである。

VR2.0を加速させる技術

テレプレゼンス

テレプレゼンス(遠隔存在感)技術は、自分の身体が、まるで遠隔の場所にいるかのような臨場感を体感する技術であり、例えばHMDとトラッキングセンサーを装着したユーザーの動作が、遠隔地にいるロボットと共有され、ユーザーはVR空間の中で、まるで自分の身体と見分けのつかないもう一つの身体がそこに存在するかのように感じる。

この技術が実用化レベルにまで開発されると、例えば危険地帯での作業をロボットで代行できたり、もしくは外出に不自由な高齢者がテレプレゼンスによって遠隔地を旅行したり、ロボットを操作して労働が出来る可能性もあり、特に少子高齢化と人口減少による労働力減少が問題になる日本では使途が見出されそうな技術である。

アバター

現実空間から全く別の世界に移行するVRにおいて自分のキャラクターを保つためにはアバターが必要であり、Facebook Spacesではアバターの髪型や髪の色、髭の有無や、果ては性別までをも選ぶことが可能である。

今後、グラフィックが進化、高解像度化して、VRでのアバターがまるで3DCGアニメや高画質グラフィックのゲームのようなリアリティのあるアバターを生成できるようになった時、VR空間で「別人の自分」に生まれ変わることが出来るようになるかもしれない、大きな可能性を感じる技術だ。

ソーシャルVR

昨日、ソーシャルルームVRアプリ「cluster.」正式版サービスが一般ユーザー向けにオープンしたが、今後ソーシャル空間上で人と会うソーシャルVRも、VR2.0のデフォルトになる可能性を秘めている。

これまでのような文章オンリー、音声オンリーのコミュニケーションから、まるで本当に現実空間で相手に会っているかのような感覚でコミュニケーションできるソーシャルVRの進化が、コミュニケーションにどんな変化をもたらすのかを考えると面白い。

VR2.0は始まったばかりであり、多くの可能性を秘めている。

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daisuke

Writer: ライター兼翻訳家。2016年12月にプレイステーションVRを体験したことをきっかけにVRに関心を持つ。ARやドローン、AIなどの先端テクノロジー全般に興味があり、SF化する世の中にワクワクしています。