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VRアトラクションの収益は?課題・未来は?Japan VR Summit 2(JVRS2)セッション3全容紹介

   

2016年11月16日にロイヤルパークホテルにて開催のグリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアム主催VRビジネスイベント「Japan VR Summit 2(以下JVRS2)」のSession3「先駆者から学ぶ〜VRアトラクション編〜」のセッション内容をお伝えします。

登壇者紹介

JVRS2先駆者から学ぶ〜VRアトラクション編〜

JVRS2先駆者から学ぶ〜VRアトラクション編〜

モデレーター

Tokyo VR Startups株式会社
取締役 新 清士氏

パネリスト

株式会社バンダイナムコエンターテインメント
AM事業部 エグゼクティブプロデューサー 小山 順一朗氏

株式会社バンダイナムコエンターテインメント
AM事業部 VR部VRコンテンツ開発課 マネージャー 田宮 幸春氏
VR ZONE Project i Canを運営

株式会社ユー・エス・ジェイ
コンテンツ開発室 室長 中嶋 啓之氏
きゃりーぱみゅぱみゅXRライド運営

株式会社セガ・ライブクリエイション
取締役 施設事業推進部 部長 速水 和彦氏
ZERO LATENCY VR運営

先駆者から学ぶ〜VRアトラクション編〜セッション開始

VRアトラクションで収益は上がっているか?

小山 順一朗氏

小山 順一朗氏


小山氏:うちはVRエンターテインメント研究施設という打ち出しなので、そこで得た知見が収益です。つまりプライスレスです(笑)

田宮氏:もちろん回転率などの目標は設定しますが、オープンから最終日までの枠が全てフルで予約が入りました。予想した収益は大きく上回りました。ただ、人件費も想定していたよりはかかりました。

ユーザの男女比率は7:3で男子が多かったと思います。

速水氏:うちもフルフル枠が埋まっていましたので想定の倍の収益がありました。
ただ、今回の成功はあくまでジョイポリスの中であるので上手くいったとも思っています。入場料もありますし、施設利用料も別途とります。そうでなければ厳しかったと思います。

速水 和彦氏

速水 和彦氏

新氏:入場料と別に料金をとることでネガティブな意見はありましたか?
速水氏:そこに関しては言われたことがないです。

それだけに価値を提供できたのかなと思います。男性比率はコンテンツにより変動し、シューティング系だと男性が多めでホラーコンテンツは女性が若干多くなります。

中嶋氏:うちはテーマパークのアトラクションの一つとして導入しているので単体での効果測定が非常に難しいです。

VRアトラクションを成功させたい、ではなく「きゃりーぱみゅぱみゅ」さんというIPを使ったVRアトラクションとして一定の成功は収めたと思います。

中嶋 啓之氏

中嶋 啓之氏

───きゃりーぱみゅぱみゅXRライドはどういった流れで導入に至ったのですか?
中嶋氏:まず、新しいテクノロジーには常にアンテナを張っておりました。
VRコースターが導入できそうになった
意識したのはエントリーユーザ(初心者層)を取り込みたい狙いとテーマパークのメインの層であります女性や女性ファミリーに対して親和性のあるコンテンツとして「きゃりーぱみゅぱみゅ」さんでVRで行うと上手くいくのでは?という発想からです。

また。テーマパークのVRのポジショニングは「家庭でできない広いスペースでのVR体験」だと思っています。

速水氏:施設利用者の割合はどのくらいでしたか?
きゃりーぱみゅぱみゅさんの世界観に寄せたものにしたので彼女のファンが半数程度はいたと思います。
あと半分はUSJにほかの目的できた人を取り込めたと思います。

新氏:ZERO LATENCY VR導入経緯について教えてください。
速水氏:セガでは常に新しい世界を発信していこうという思いがあるので、海外でZERO LATENCY VRを見たときに感銘を受け、パークの集客につながると感じました。

ただ、単純に同じものを国内に導入しているわけではありません。オーストラリアのものは40分くらいする。ビジネス化するために時間を短くし、中身も作り変えてもらいました。

新氏:プレイ層は?
まずはVRに興味ある方にきてもらい、そこからはバイラル的に広まっていきました。一般の方も巻き込むことができたので狙いどおりかなと思います。

小山 順一朗氏

小山 順一朗氏

小山氏:売り出すときには「VRでコレができます。」っていう内容をストレートに伝えることも重要です。

田宮氏:VR ZONEのときはVR自体が新鮮でしたけど、今は単純にVRです、だと珍しくないので表現の仕方としてデバイス訴求ではなく、体験価値(ユーザの驚き)を訴求したほうがいいと思います。

私たちもプロモーション動画は体験者の驚く様を映像にしました。

来場者は「そのリアクション、ホントなの?」を確かめにくる感じの動機になると思います。

そういった映像を事前に見せていても、実際に体験してもらうとそれ以上の驚きや反応が返ってくるのがVRの良いところです。

田宮 幸春氏

田宮 幸春氏

アトラクションで見えてきた課題点

中嶋氏:きゃりーさんの世界観を打ち出していくのが非常に難しかった。

VRならではの体験を映像で伝えるのは難しい。

小山氏:VRコースターということで、HMDが取れたりしなかったですか?

中嶋氏:最初ズレて見にくいことがあったので、ゴーグルが意図せずとれたりすることがないように改良したり、クルーが取り付け時に締め具合を調整するようにしました。

クルーの人数は相当増やしました。また、コースターの裏側には装着するHMDを清掃するスタッフを数十人用意しており、人件費が数千万単位でかかりました。

JVRS2

清潔性や安全性の担保はっ基本的に人海戦術でやっているので大変です。

それでも期間中に100万人以上の体験を達成しました。

速水氏:コースターの利用制限を年齢でなく身長制限にしたのはなぜですか?
中嶋氏:やはり動きがあるものなので、ユーザ様の体型は安全性を担保する上で一定の基準が欲しかったためです。

USJのテーマパークには死亡事故につながらないよう厳しい安全基準がある。

安全対策チームが有識者を募って決めたルールなので動かしようのない基準であり、それに沿ってやる意味でも身長制限は重要な要素でした。

小山氏:うちの場合はIPを持っており、若年層へのリーチがあるなか、13歳未満のVR利用は斜視になる可能性があるという説がある。

この説の解決にも取り組んでいかないといけないと思っています。

また、安全面についての配慮としては、VRで提供される「興奮や恐怖」という要素に対して反射的に起きる動きに対しても想定してあげないといけないのかなと。

JVRS2

田宮氏:そうですね。単純に座らせてやればいいということではなく、立って動き回る先にVRの楽しさはあると思います。
なので、安全面は効率は後まわしで運営しています。安易に座らせたくないですね。

予想外のことは起きますが、一度起きれば想定ができるので、そういったトライを積み重ねて問題を潰していけばいいのかなと思っています。

速水氏:ZERO LATENCYは複数人でやる分、ぶつかって事故になる心配があるが、今はまだ事故はない。

しっかり想定はしています。ゲームマスターに管理させ、危ないときはゲームをポーズさせるなどで制御することができます。補助スタッフは必要ですね。

安全面以外で課題があり、現状はアトラクションをするにあたり装着にかかる時間がネックです。

装着含めプレイ時間が15~20分の体験は長いと思っています。そこが課題です。

パークとしてビジネスが成り立ってるので、あとは回転を上げないといけないと思っています。

新 清士氏

新 清士氏

新氏:体験に対しての価格についてはどうですか?
小山氏:VRを無関心でやったことのない人でも手軽で最高の体験を提供することで価格帯を上げていかなくてはいけないと思います。

中島氏:USJは8年連続値上げとなっておりますが、日本のテーマパークの価格は安い設定になっています。

エンターテイメントに対する価値を上げていかなければと思っています。

小山氏:価格は価値で算出するのがベストで、何かと比較して価格をつけるものではないのかなと思います。

速水氏:ZERO LATENCYはスペインにもできましたが、日本と同等のことできて6000円(日本は2000円)とっています。

国内も少し価格を上げてもいい気もしますが、1回の体験人数を上げていく方向がいいかもしれません。

多人数でやれるものだと、施設側も導入しやすい気がしますが、皆さんいかがですか?

田宮氏:VR空間で誰かと一緒に体験するのは今までにない感覚、これから増えてくると思います。

速水氏:さらに複合施設の中のひとつのコンテンツとしてVRがある状態が発展しやすそうな気がします。

今後の企画について

JVRS2
小山氏:感動や驚きが得られるコンテンツを組み立てています。

リピートしていく仕掛けのコンテンツになればと思います。

田宮氏:シミュレーションはVRと相性がいい。練習して上手くなろうとするテーマは体験として価値がある&習熟性があるので方向性としてリピートにつながります。

速水氏:Eスポーツ的な要素の発展はどうなると思いますか?

田宮氏:成熟していない場合、Eスポーツで作られた新しいルールで勝負させてもやりがいがない、となる場合があります。むしろ、ありもののスポーツを再現したほうが競技人口が多く、できたときの喜びが大きいかもしれません。

今後の目指すところ

JVRS2
小山氏:アトラクションの入り口からVRを感じられるようにしたい。
田宮氏:アトラクション内は常にHMDなどをかけっぱなしで楽しめる施設だと着脱の手間なく、こちらとしてもいいですね。

中嶋氏:「体感できる」のが意識してるポイント。

VRでないといけない体験を用意したいと思っています。

小山氏:酔いに関してももっと注力していきます

2020年アトラクションVRはどうなってるか?

JVRS2

速水氏:多人数でできるコンテンツの種類が溢れてくるといいなと思います。

中嶋氏:これは3Dコンテンツ、これは4Dコンテンツですと説明すればこれらはユーザに伝わります。VRも「これはVRコンテンツです」と言えばそれで理解してもらえるくらい定着していればいいと思います。

小山氏:長い歴史でうちわが扇風機になったように、VRでも同じように何かを代替していくようになると思います。

例えば家でサイクリングしたり、本当のスポーツするよりもVRでスポーツするほうが楽しいとなるかもしれない。

田宮氏:将来こうなるって予想はできない。

VRは今までと全く違うので、今までと全く違うものが登場すると思っています。そういったものを作れる存在になれるように頑張っていきます。

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VRお兄さん(トモ)

Writer: 何十年も前からあるVRがようやく一般で広まりつつあるなか、課題は「ハード」と「体験」の2軸と思っています。これからリリースされる新しいVR機器を余すことなく紹介すること、そして体験したVRの良さを少しでも伝えることでVR市場の成長に貢献します。

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