VR Inside

VRの未来を創るビジネスメディア

【JVRS2】非ゲームにおけるVRの可能性とは。「VR/ARはゲーム/エンタメから各産業へ花開く」レポート

      2016/12/06

jvrs2-session-4_35

11月16日に開催されたJapan VR Summit 2のセッション「VR/ARはゲーム/エンタメから各産業へ花開く」の様子を紹介する。

モデラーは株式会社Mogura久保田 瞬氏、パネリストはユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社の大前 広樹氏、Little Star Media, Inc.のTony Mugavero氏、Niantic Inc.の野村 達雄氏、株式会社コロプラの馬場 功淳氏だ。

久保田氏

久保田氏

ノンゲーム、ノンエンタメ分野に関わる取り組みについて

大前氏

大前氏

大前氏:Unituyは開発ツールなので、Unityを使ったゲーム以外の分野の取り組みを紹介します。

医療分野ではmHoloeyesという企業が実際の手術室にVRヘッドセットを持ち込み、患者の手術をどう行うかというシミュレーションを実用レベルで行っています。

Unityに手術用のスキャンした人体データを読み込み、その中をHMDを介して手術計画を立てることにより、メスを入れる前にイメージがわかるようになるというものです。

Tony氏

Tony氏

Tony氏:様々ありますが、1つ大きいのはジャーナリズムですね。360度でそのコンテンツを楽しむことができるようになっている今、ナレーションを聞くよりもその状態を360度で見ることが重要になってきています。

PTSDの症状を抑える、不安を抑える、手術からの回復を助けるコンテンツがたくさんあります。VRのヘッドセットを使って楽しむこともできるし、気持ちを落ち着けるようなコンテンツもあるのです。

久保田氏:360cannelにもANAの工場見学がありますね。

馬場氏

馬場氏

馬場氏:体験や報道という観点でも、VRや360度動画は有効だと考えます。

野村氏

野村氏

野村氏:Nianticは”人を外に連れ出す”がコンセプトになっています。子供の病院のフィジカルセラピーにポケモンGOを利用しているというのを聞いたこともあります。

また、ポケモンGOをきっかけに、自閉症の子供が自らの意思で外にでて他の人とコミュニケーションをとるというような事例もあります。

積極的な取り組みとしては、復興支援に繋げるというものがあり、現在東北3県ではラプラスが大量発生していますね。

久保田氏:商店街を盛り上げるためにポケモンGOを使っている例もありますね。

どういう経緯でノンエンタメ分野への関わりがあるか?

久保田氏:ポケモンGOをつかった取り組みというのは、自然発生したものなんでしょうか、それともNianticが働きかけているものですか?

野村氏:人を外に連れ出すというのにゲームという手段があったという感じです。そこから、その人たちがどうすればまた違う場所にいくのかというものはIngressの時点で考えていました。

久保田氏:ARという側面でいうと、ポケモンのARで投影する機能がありますが、あれは最初からイメージがあったんでしょうか?

野村氏:最初からアイディアはありました。ARというと、マーカーとカメラを組み合わせるものというイメージがあると思いますが、3Dモデルをどう置くかがARではなく、ポケモンGOをやることで、人とつながる、違う場所にいくなど、そういった意味で現実を拡張していければと思っています。

久保田氏:ノンゲームでUnityを使っている方はどのようにUnityを使っていくのでしょうか?

jvrs2-session-4_11

大前氏:他にもいろいろなツールがあるのにUnityが使われている理由について、VR/ARのコンテンツを作るときにインタラクティブ性が必要になってくるんです。そうなるとゲームを制作するツールが自然と選ばれていくんではないでしょうか。

エンターテイメントやゲーム分野ではない人間が使うとなると、より直接的な使い方が好まれるのではないかと思います。研究テーマとしてある、VRの中で直接コンテンツを作っていけるようなツールセットの研究開発も行っています。

感覚的にはマインクラフトに近い感じでしょうか。直接コンテンツを組み合わせて作っていく形になっていきます。

プロではない開発者の方にとっては、ゲームソフトで遊ぶのに近いかたちでVRコンテンツを作っていけるという環境でできることを増やすことで、より制作環境とVR体験が混ざっていって作られていくんじゃないかと思っています。

全ての人が直感的にゲーム、コンテンツを作れるような環境を提供していきたいと思っています。

久保田氏:VRの内でVRコンテンツを作るようになるというものがありますが、直感的にクリエイティブなことができるというのがVRのトレンドになりつつあると思います。そんな中で、コロプラのFly to KUMA MAKERという形で作れるような形でも出されていますが、その点についてはどうお考えでしょうか。

馬場氏:Fly to KUMA をローンチしてから、製作者が作るステージでは限界があり、ユーザー同士がゲームを作れる環境を用意したほうがいいのではないかということでFly to KUMA MAKERを作ったんです。

そこで何を提供しいかというと、触りながらものを配置してコンテンツを作れるようにしたかったという目標がありました。

ゲーム、エンタメ分野での知見がノンゲーム、ノンエンタメにどう活かされるか

Tony氏:360度の動画を撮影するということなんですが、これはどの産業でもほぼ方法は一緒。どのようなツールを使うのか、どのようなテクニックを使ってコンテンツを作っていくのかということになると思います。

いろんなところでこの技術を用いながらコンテンツを作るということをしています。

Gear 360を使ってどうやってコンテンツをキャプチャーするかということにおいてはジャンルによっていろんな実践が行われいろんな水準があります。どの分野でも使えるようなテクニックはなんなのかというのが研究されています。

jvrs2-session-4_26

馬場氏:360度動画をしっかり作成できるものは世の中にはないので、プロユースの360度動画を撮影できる機材の開発も行っています。

現在360Channelには30名いて、10名が機材開発をしているという状況です。

生放送をどうするかというノウハウの開発も行っています。それに関しては、ゲームで培ったノウハウがそのまま使えていますね。

360度動画を再生するプレイヤーもゲームの応用だったりしますし、UIもゲームの技術やノウハウが活かせています。

大前氏:VRを中心として、ゲームの外に広がる分野は多いですね。360度動画への要望も多く、次のバージョンで動画へのサポートが増える予定です。

物理ベースでGPUレンダリングするエンジンを統合して、ハイクオリティなエンタメ向けなレンダリングをするというのも統合されていくでしょう。

時間軸をもった動画のような体験を作成できるものも提供していきます。

エンタメ向けであるが、ジャーナリズムに対して使っても使いやすいようなものになっていると思います。

産業分野や製造業の人間が作ったものをVRスペースに配置して、それらがどう動くかなどを確認し、VR空間で使ってから生産の決定をするということもできます。基盤技術として使えるような機能はどんどん盛り込んでいます。

実際どれくらいVR/ARが使われているのか

大前氏:ゲームはマーケットが整備されているので販売チャネルがあります。作ったコンテンツを届けるものは整備されているのでそこに乗せることが可能なんです。

投資家が投資したいものの8割はゲームではないというのも聞いたことがあります。

馬場氏:投資できるものにゲームが少ないのは、それの実態がわからないからということもありますね。ゲーム、基礎技術(ハードウェア、トラッキング技術、VR体験工場のための要素の研究等)、その他が均等な割合で案件が持ち込まれている感じがします。

久保田氏:ARというテーマにおいてはどうでしょう?

野村氏:ARは裾野が広いですよね。広義に例えると、マップでのナビゲーションもARということもできますし。

ポケモンGOがローンチしたことによって、スマホのみでAR体験が作れるという気づきを与えられたんじゃないでしょうか。

馬場氏:人々が思い描くARは世界を同定するものだと思っていて、それは不可能なので僕はARに対してネガティブなんですよね。

野村氏:100%の精度でやろうとすると不可能ですね。ただ、技術が進化していく中でさらにいろんなアプリケーションが登場し、それが説得力があるものになっていくんじゃないでしょうか。

久保田氏:様々な360度動画がありますが、どういったものが多いのか、どういう動画が見られているのか教えていただけますか。

jvrs2-session-4_16

Tony氏:人気があるコンテンツは、旅、ジャーナリズム、スポーツ、音楽ですね。特に音楽は人気が急激に高まっています。音楽業界全体が360度動画に対して熱がある感じがしますね。

いろいろな組み合わせによって様々なカテゴリのコンテンツが生まれていて、それはどんどん物語的なものから遠ざかっていると感じます。

360度動画ということを考えると、今までの”物語を伝える”というのとは全く違うんです。

しかし、音楽は世界観が合えばいいだけですよね。ジャーナリズムもしかりです。指向性の音響も必要ありませんし、事実をそのまま360度動画にするだけで価値のあるものになります。

久保田氏:既存のメディアが360度動画に参入していますが、温度感はどんな感じでしょう?

Tony氏:みんなかなり真剣に考えていますね。ディスカバリーチャンネル、ナショナルジオグラフィックの中ではかなりの予算がかかっているようです。放送局自体がコンテンツに金をかけたいといっていて、それはもはや試験的なものではないレベルです。

VRに対して何十億ドルという額が投資されているのは疑いようのない事実ですからね。

久保田氏:日本において、360度動画への本気さはどうなんでしょう?

馬場氏:投資という観点では、日本と比べると海外のほうが熱が高いですね。

既存の大きなメディアがVRに対して興味があるというのは実体験としてはあるが、海外よりは少ないかと。

日本でようやくPSVRが発売され、VRに触れる機会が増えることにより、投資家や役員層が認識し始めるのではないでしょうか。

久保田氏:ノンゲームのVRの取り組みは増えているのでしょうか?

大前氏:3DCGのノンゲームの制作はやはり増えていますね。

最近では、映画産業等から多くの引き合いをいただくようになりましたし、日本では映画向けのCGアニメーション制作をしている企業とともに、フィルムクオリティの動画の制作も行いました。

VRになるとインタラクティブ性がマストになるので、今までのやり方は捨てて、ツールもインタラクティブ性を作りこめる、ゲーム的なUXを作りこめるツールである必要がありますね。

そういった現状もあるので、我々もVRのプラットフォーム対応、動画対応といった、ユーザーからのフィードバックをどんどん足していっているような状態です。

VR/ARの相性がいい産業分野

大前氏:特に建築という分野においてはVRに興味がない人がいないんじゃないかというレベルです。プロダクトをVR空間で試せると実際のものを作る必要がないので如実にコストが下がりますからね。

NASAの例ですが、火星に持っていくハードウェアはワンオフで作っているので、実際に作る前にVRで試せるととても良いわけです。その物が期待通りに動くのかというのを確認できるVR非常に有用なようですね。

久保田氏:360度動画でどういうジャンルが今後も伸びていくとお考えでしょうか?

Tony氏:様々なかたちでの360度動画が使われています。分析の分野では、たくさんのデータをトラッキングして、消費者がどのような行動をしているかを把握できます。

例えば、360度動画で野球チームの試合を見ている人が、ビュワーでどの広告をみているのかをトラッキングできるわけです。その広告が機能しているか、その試合をちゃんと見ているかということがわかるんですね。

それは、これがいかに広告業界に大きな意味をなすのかという話にもつながってきます。

jvrs2-session-4_21

野村氏:ARの未来は明るいと思っています。ARの応用できる分野は無限にあると思っています。

家具を売っているWebサイトが作っているアプリなんですが、Tangoを使って部屋をスキャンするとスマートフォンの中に部屋が再構築されて、そこに家具を置くと、正確なサイズで見ることができるわけです。将来的にはスマートフォンがホロレンズのようなものになり、もしかしたらコンタクトタイプにもなるかもしれませんね。

全てが自分の視野の中に入る未来はそう遠くないんじゃないかと思います。

馬場氏:私はコミュニケーションだと思います。当社の作っている人とプレイするゲームは評判がいいですね。人と人とが会って何かを話すというのには幸福感というか本能に訴えかけるなにかがあると思っています。

VR空間のほうがコミュニケーションをとっている感じがしますし、そういうったものはキラーアプリになると思いますね。そういった意味でも、コミュニケーションがある分野はVRと相性がいいのではないかと思います。

まとめ

現在のVRは、どこか別の世界にいけるというだけでなく、クリエイティブを変えていく、コミュニケーションを変えていくというようなものになっている。

このVRを、ビジネスなど他の分野にどのようにソリューションとして取り入れていくのかが重要になると思われる。

そういった意味でも、VRは引き続き注目すべき分野なのではないだろうか。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

TwitterでVRInsideをフォローしよう!

koide yutaro

Writer: これからますます発展すると予想されるVR。コンテンツだけでなくその技術についても非常に気になっている技術系卒です。

 関連記事