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【JVRS2】巨大市場となりうる中国との協力が大切。「世界最大?中国VR市場のポテンシャル」レポート - VR Inside

【JVRS2】巨大市場となりうる中国との協力が大切。「世界最大?中国VR市場のポテンシャル」レポート

   

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11月16日に開催されたJapan VR Summit 2のセッション「世界最大?中国VR市場のポテンシャル」の様子を紹介する。

モデレーターはインフィニティ・ベンチャーズLLPの田中 章雄氏、パネリストはBeijing Pico Technology Co., Ltd.のKaren Zu氏、3GlassesのGeorge Lin氏、BaoFeng MojingのZeng Xianzhong氏、Shanghai Famiku Co.,LtdのFrederick氏だ。

田中 章雄氏

田中 章雄氏

VR市場規模予測

まず先に以下の画像を見てもらいたい。

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上のグラフは、オレンジ色がモバイルVR機器の出荷台数、ブルーがPCや一体型のVR機器の出荷台数である。下のグラフは同じカテゴリでのユーザー数だ。

2020年には中国のVRが世界中の1/3になるという予測が出ている。

スマホ(Android)に例えると、初期はSamusungやHTC、日本メーカーが主流だったが、ここ数年XiaomiやOppo、ZTEといった中国メーカーのシェアが大きくなっており、世界のスマートフォン出荷台数の約1/3を占めている。

この、スマートフォンで起きたことがそのままVRでも起きるのではないかと考えられる。

中国VR市場の発展のスピードは目まぐるしく、これからのVRにおいて軽視できない市場となっている。

そういった中で、各メーカーでいろいろな分野がある。このマップの中の青色部分の企業から登壇社を招いている。

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登壇者紹介

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Beijing Pico Technology・Karen Zu氏

10年以上電気産業におけるマーケティング・コンサルティングを経験。2015年Pico成立から参画。現在Picoの社員は300人ほどいるが、この数はVR市場においては決して多くはない。

すでに2つの製品を提供している。1つはGoogle CardBoardのような入門型の製品、もう一つはCPUを搭載したオールインワンの一体型HMDのPico Neoだ。

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世界で初めてSnapdragon 820を搭載。ODMという形でクアルコムと協力。これにより、コンシューマーとのつながりが強まると思っている。

Pico neoは主に開発者版となり、価格は500ドル前後となる。Daydreamと比較すると高価だが、ハイエンドなスマートフォンと比較すると同等のスペックで低価格なVR体験を提供できる。

参考:【JVRS2】Snapdragon 820搭載で世界初の一体型VR HMD「Pico Neo」がおもしろい!

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3GlassesのGeorge Lin氏

この14年間の間に様々な産業を見てきたが、中国のマーケットなどの要素も含めて大きく変化をしている。

過去においてはPC、スマホ、ハイテクなテクノロジーには追いつけていけなかったが、VRに関しては飛躍的な発展をして世界のトップに立っているのではないだろうか。

VRに関しては潜在能力がが高く、生活を根底から変える可能性がある。これは投資する価値が高いマーケットだと思う。

イノベーション以外にも非常に成熟したチームなので、今後のVR産業の発展に大きく貢献していきたい。

10年以上前に中国では初めて3Dの立体模擬という概念を使っていた。主に不動産や都市計画などの利用者が、建物や企画を理解するためのソリューションとして提供していた。

翌年からはPC向けのVRの研究開発に力を入れ始めた。2014年12月に中国で初めてハードウェアの量産を開始した。

当時は市場がないので、広めるためにVRをショッピングセンターなどで体験できるようにした。今現在3,000以上のVR体験センターがあり、これはおそらく世界最大規模だろう。

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そこまでハイエンドなものが主流ではないが、ユーザーは5分、10分の体験をするために、映画をみるのと同じくらいの料金を払っている。

そういったものが中国には大量にあり、オフラインにおいてはVRがすでに成功している。中国はビジネスモデルとして他の世界をリードしている。

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BaoFeng MojingのZeng Xianzhong氏

BaoFeng Mojingは、中国では億単位のユーザーがいる動画再生アプリを開発している会社から独立したVR部門の会社。

EricssonやSamsung等、モバイル業界を経験し、2015年にBaofeng Technologyに参加。

カードボート向けの製品が第4世代まであり、3,4ヶ月に一度新製品を開発している。

4世代以降は廉価なモデルを販売している。中国はハイエンドなモバイルデバイスのユーザー数はまだ多くないため、13ドルで販売しているこのモデルは100万台以上売れている。

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ユーザーの90%以上は男性であるが、カラーバリエーションをを豊富にしたところ、女性ユーザーが15%増えた。

ユーザーは毎日約30分ほどVR体験をしていて、これはVRの普及具合を考えると長いのではないかと思う。

その中の半分は映像コンテンツを見ており、30%程度はゲームをプレイしている。主に仕事のあとや余暇など家でリラックスするときに利用されている。

セールスの観点でいうと、我々はECマーケットはハードウェアでの収益がある。オフラインにおいてはVR体験センターがある。

このようなショップは、まずはVRに触れてもらうのが目的なので無料である。安価なものをVRの体験をしてもらい、そこから普及につなげ、収益化するという流れで考えている。

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Shanghai Famiku Co.,LtdのFrederick氏

2001年にゲーム業界に入り、2003年に中国最大のオンラインゲーム会社を立ち上げ。2009年にアーケードゲームの会社を立ち上げた。2014年にVR市場とアーケードゲームの相性の良さに気づき、FAMIKUを設立。

我々は、コンテンツ制作から始まり現在はアーケードをやってきた。FAMIKUの主な役割は、「VR化したアーケードゲーム」と言える。また、同時に製品化のテストも行っている。上海で1,000平米のVR体験施設VR PARKを作った。

オフラインのアーケードを選んだ理由は、中国の現在の時代として消費が盛り上がっているという理由がある。中国はいまECのインパクトが大きい。

中国のECの消費の状況は、不動産においてはテナントがECの影響を受けている。そのため、実店舗に対する影響は多く、実店舗が買い物ではなく娯楽の対象になっている。

しかし、それも近年変化がなく陳腐化してきている。そこで新たな体験が必要だと思い、それがアーケードゲームだった。

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今後の発展をみると2つあるだろう。1つはインプット、体感的な設備で業界を推し進めていく必要がある。そしてアウトプット。業界のブレークスルーを目指すにはアウトプットが必要だろう。

VRによって体感的な設備(インプット)の提供ができ、全身での体験(アウトプット)も提供できると思ったし、そのニーズもあると確信している。

今3,000店舗あるVRゲームセンターは80%が50平米で、小規模化しているが、我々が見ているのはより大きなゲームセーンター市場で、そこで20%のシェアがとれればより大きなシェアを容易に獲得できると思う。

FAMIKUのオフラインの店舗とコンテンツは90%以上は自社開発でOEMもしている。体験は有料で、150元のチケットで2時間遊べるものだ。この150元という価格は、普通にゲームセンターに行って使う金額とほとんど同じである。

中国でのVRの認知度、普及の程度はどのようなものか

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Karen Zu氏

個人的な感覚では、この約半年でVRの認知度は高まったと感じている。2015年は「VRとはなんだ?」という状態だったが、半年間で、VRの産業について新しいテクノロジーだという見方があった一般の人にしても理解が高まったとのではないか。また、主要なメディアによってVRに関する報道がされているのも要因だろう。

しかし認知度にはまだ差があるというのも事実である。中国はすごく盛り上がっていてチャンスではある。

メーカー出荷は480万台。海賊版は正規のメーカーよりも規模が大きいという現状がある。

カードボードのようなソリューションやスタンドアロンなものの販売は多く人気度は高いが、先進国に比べてVR体験のレベルは低いのではないだろうか。

――中国でVRのハードウェアメーカーについて、海賊版も含め収益はあげているのか?

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George Lin氏

現在の状況でいうと、中国のVR市場は始まったばかりということもありほとんどが赤字だが、需要は大きい。

深センにある店で、そこの問屋に1ヶ月に出荷されるVRデバイスが3,000万台。ローエンドなHMDがものすごい勢いで出ている。そこで見つからないハードウェアはないというレベルである。

もっとも安いものだと10元程度で見つかるが、ほぼ使い捨てなものだ。

VRに関しては、デモ用なのか、鑑賞用なのか、インタラクションな娯楽なのかによって異なるだろう。そこの差は区別して考える必要がある。

中国では国内で一気通貫に事業展開しているが、そのメリットとデメリット

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Zeng Xianzhong氏

中国では、ソフトウェアを作っている企業はハードウェアも作っている。逆もまたしかりである。ネットワークの会社はハードウェアもやらざるをえない。

ソフトウェアだけやるというのは中国では難しい。

VRは大きな産業になる。プラットフォーム、ハードウェア、コンテンツどれを見ても。それを通して協力することもできるだろう。

中国は、技術をどう消費者に提供するかという商業化を必要としている。アメリカの製品は中国にとっては制限があるため、中国ではローカルな企業が生存できるようにする必要がある。

中国では1億人のユーザーがお金を出してでもVRのハードを購入したいと言っているようにVRの市場は非常に大きいので、他の国との協力の余地がある。

――現在の産業の状況をみると中国は最大のサプライヤーとなっているのが、VRでもそれは起こりうるのか

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Karen Zu氏

出荷量の多さでいえば、スマホでも同じことを経験している。海賊版の出荷量というのはローエンドなものばかりでロイヤリティがなく、本当の意味でのコンシューマーではない。

スマホの時と同じように、3〜5年でVRがコンシューマーデバイスになるのではないだろうか。

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Frederick氏

VRテクノロジーは徐々に成熟していると思う。

スマホの時は最初は海外企業が強かったが、革新的な技術が成熟いくと、日本や中国の企業にも勝機が出てくる。そのため、いかに細かい部分をどうするかという部分が重要になっていくだろう。

中国のAndroid端末をみるとOppo、Huawei、Vivoなどのメーカーの作るものもハイエンドになっていっている。これはVRも同様で、4,5年でこのような状態になっていくのではないだろうか。

日本の会社はどのように中国企業と協力するか

Karen Zu氏:日本の企業は自分の優位性を持っている、コンテンツとなるとクリエイティブさがもとめられる中国の市場を見ると、クリエイティブなものやハイエンドなコンテンツにニーズがあり、消費者側では体験型ということで、日本の企業はこういった面でも優位である。IPにおいて様々な面で成功しているので、VRでも同様だろう。

George Lin氏:最高のハードデバイスをつくり、消費者が求めているものを作ることが重要。日本のコンテンツは開発者に見合うデバイスを作り、お互いの力を合わせて市場を開拓している。自社プラットフォームにおいて、今現在700社以上がそれぞれのコンテンツを展示している。このプラットフォームが日本企業と協力するのに適している。プラットフォームをフル活用し、そのサポートを受けて、その技術や体験を中国に提供していただければと思う。

Zeng Xianzhong氏:私たちは日本の企業と協力し始めている。日本のコンテンツは我々のコンテンツの10倍のダウンロード数がある。
さらに、日本のコンテンツをそのまま流しても喜ばれている。プラットフォームはあるがコンテンツが欠けている。ゲームを作る会社は必ず儲かると思う。特許の問題があるが、IPを持ってくれば収益化できるだろう。

Frederick氏:中国にはVRのコンテンツはまだ少ないので、よいコンテンツを中国に持ってきていただきたい。
ローカライズするだけの問題ではなく中国化(中国的なスタイル)することが重要
中国の市場にマッチするようなコンテンツがどんなものか我々はわかっているので、協力していきたい。

まとめ

日本から見ると、中国市場は1億人以上いるユーザーへのアプローチの場になりうるだろう。そして、プラットフォームの標準化が進んだとき、その市場はさらに拡大すると予想できる。

その中で、日本のコンテンツが中国に渡ったときに市場で活躍できるかが重要になるため、中国企業とのパートナーシップを結んでいくこともまた大切ではないだろうか。

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koide yutaro

Writer: これからますます発展すると予想されるVR。コンテンツだけでなくその技術についても非常に気になっている技術系卒です。

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