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ストレスと睡眠をコントロールする「Kortex」の開発が進行中 - VR Inside

ストレスと睡眠をコントロールする「Kortex」の開発が進行中

     

Kortex

後頭部に電気刺激を与え、脳内物質の分泌量をコントロールする

先日クラウドファンディングサイトで資金の調達に成功したことが話題となったデバイス「Kortex」。

このデバイスの開発は現在も続けられており、7月の下旬もしくは8月のリリースに向けて動いている。最近では製品化に向けて、MITのエンジニアがKortexのチームに加わったという。

これまでに行われた研究からはストレスレベルのコントロールや睡眠の改善に電気刺激が効果的との結果が得られており、VRと電気刺激の組み合わせがストレスや睡眠障害に悩む人を助けるかもしれない。

VRと電気刺激の組み合わせ

Kortex

後頭部に装着するKortex

VRとメンタルヘルス

VRによってメンタルヘルスのマネジメントができる可能性を研究している機関は多く、既にその効果を示す論文も出始めている。

VR体験は、現実からユーザを切り離してくれるものだ。特に、ある種のVRコンテンツは瞑想やリラックスを目的にデザインされている。そうしたコンテンツによって辛い状況を忘れられるならば、それはメンタルヘルスに良い影響をもたらすだろう。

現実では難しいほどの深いリラックス状態をもたらす方法として、VRは有効だ。

特定の恐怖症や不安症に対しては、あえてその対象に晒すことで慣れるためのコンテンツも作られている。こうしたVRコンテンツとKortexによる直接の刺激を組み合わせれば、相乗効果が期待できるかもしれない。

電気刺激とメンタルヘルス

Kortexの開発に携わっているFisher Wallace Labsは、特許を取得している電子パルスによる刺激を脳に与える装置「Fisher Wallace Stimulator」で知られている。この装置はうつ病、不安障害、睡眠障害(不眠症)、慢性疼痛の緩和や、注意力・集中力の改善を目的としている。

抗うつ薬、睡眠薬、鎮痛剤の使用量を減らしたり、依存を脱するために利用されて効果を挙げているようだ。

ペースメーカーを使用していないことや21歳以上であることといった使用条件はあるものの、症状と契約の種類によっては保険によって代金が負担されることもある医療機器として認められている。

Fisher Wallace Stimulatorによる刺激はほとんど感じないか、電極との接触部位に軽い感覚がある程度とされている。Kortexの刺激ともかなり近いのではないだろうか。

Kortexは脳に電気刺激を送ることでストレスホルモンのコルチゾールレベルを低下させ、精神の安定に関与すると言われるセロトニン、睡眠リズムを作るメラトニンを増加させるという。その結果ユーザはより落ち着いた状態になり、眠気を誘う。

後頭部に電極を取り付けるため、好きなVRヘッドセットと同時に使用可能だ。

進められる研究

Treating Depression, Anxiety and Insomnia from Fisher Wallace on Vimeo.

電気刺激の効果

Kortexは2017年に発売予定の新しいデバイスだが、Fisher Wallace Stimulatorは1990年にFDAの審査をクリアして医療機器として認定されている。そのため、効果に関する研究も多数ある。

2009年には、アメリカ最大規模の非営利リハビリセンターPhoenix Houseで392人の患者を対象に研究が実施された。対象となったのは、コカイン、ヘロイン、マリファナ、アルコール、あるいはそのうちの複数の中毒者たちだ。

全ての患者に装置による治療が提案され、99人が平均5回の治療を受けた。一方で、293人は装置を使用していない。

装置を使用した患者の9割以上がセッションが好きだ、もしくは何らかの効果(リラックス、睡眠の改善、頭痛の解消など)が感じられると好意的な報告をしている。また、装置を使用した患者のリハビリ90日継続率は通常の場合よりも50%改善した。

一方で、少数の患者は装置を使用した翌日の頭痛や、使用中の不快感を理由に実験を続けたくないと訴えている。

Kortexの効果

Kortex自体はまだ開発中でデータが少ないが、現在もテキサス大学で100人を対象に不眠症への効果を調べる研究が行われている。

Fisher Wallace Labsを設立したKelly Romanは、その結果に期待している。その効果は、リラックスを狙ったVRコンテンツだけに留まらないという。

「Fisher Wallaceの神経刺激と、患者をリラックスさせるVRとの組み合わせにより、より良い結果が期待できます。

リラックスや瞑想のためのVRコンテンツだけでなく、処方箋によるVRを使った治療、VRを使った遠隔での精神療法や理学療法、パフォーマンスや学習のためのトレーニングソフトウェアと合わせてKortexを使用することも考えられます」

KortexはVRと組み合わせて使うことを想定したデバイスだが、単独で使うことも可能だ。VRヘッドセットを持っていないユーザや、VRを見られない場面で使いたい場合にはFisher Wallace Stimulatorと同様の装置となる。

 

Romanは、近い将来VRを健康のためだけに使う層が出現するという。アクションゲームには興味がなく、健康のためにVRを使う層は果たして現れるのだろうか。

Kortexを購入したい場合は、IndieGoGoで予約を受け付けている。VRヘッドセットを含まないKortex本体のみの予約価格は349ドル(4万円)だ。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/kortex-pairs-sleep-stress-neurostimulation-with-vr-headsets/

参照元サイト名:Fisher Wallace Stimulator
URL:https://www.fisherwallace.com/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。