VR Inside

VRの未来を創るビジネスメディア

VRを使って小学生が化学を学べるレッスンの提供が開始 - VR Inside

VRを使って小学生が化学を学べるレッスンの提供が開始

     

VRで化学を学ぶ小学生

子供がVRデバイスを利用する場合、長時間利用すると視力の発達に良くない影響を与えるのではないかと心配する意見もある。

そうでなくとも、大人に比べて自制心の弱い子供に面白いVRゲームを与えるとのめり込んでしまうことも考えられる。視力への影響については良くも悪くも確かな証拠がないが、あまりゲームばかりしているのは不健康だ。

だが、子供たちが楽しみながら積極的に化学を学んでくれるこんなコンテンツならば保護者や教師としても子供に与えたくなるのではないだろうか?

教育にVRを活用しようとする企業は少なくない。

MEL Chemistry VR

MEL Science

ロンドンに本拠を置く設立から3年のスタートアップ企業、MEL Scienceは小学生を対象としたVRコンテンツの提供を開始した。

MEL Scienceが提供しているMEL Chemistryは、実験しながら化学が学べるキットを毎月2回届けてくれるシステムになっている。

このキットの初回セットにもスマートフォンをはめ込むタイプのVRゴーグルが含まれているので、MEL Chemistry VRはその発展版と言えそうだ。

MEL Chemistry VR

このコンテンツは小学生の化学のカリキュラムに合わせてデザインされており、学校での授業や家庭での学習を補助するために利用することができる。

これまでにも太陽系の惑星や太古の生物、あるいは人体の構造といった科学的な内容を学べる学習コンテンツはあったが、それらは扱う内容を特定の分野に限ったものだった。

MEL Chemistry VRは学校のカリキュラムに合わせた体系的な内容になっているのが特徴だ。

今週、MEL Chemistry VRのDaydreamアプリが無料で公開された。公式サイトからダウンロードできるこの無料アプリで、6つの化学レッスンを試すことができる。

化学を親しみやすく

MEL Scienceの説明によれば、「化学には、幼い児童にとって理解しにくい抽象的な概念がたくさん登場する」という。

例えば、原子や分子のような存在は小さすぎて現実的な感覚で捉えるのが難しい。子供たちは直接のやり取りを通して効果的に学ぶことができるが、実際の原子に触れることはできない。

そこでVRの出番となる。

MEL Scienceが開発した化学レッスンでは、拡大された分子の構造を没入環境に表示し、子供たちが操作しながら学べるようにしている。

彼らは、一般的なテキストやビデオコンテンツを使った学習よりも親しみやすい方法としてVRを化学の教育に取り入れた。

現在公開されているのは一般のユーザ(保護者と小学生)を対象とするアプリのみだが、教育者に向けた特別版がすぐにリリースされるという。

家庭での学習だけでなく、MEL Chemistry VRを使って授業を行う学校も出てくるだろう。

原子レベルでの探検

MEL Chemistry VRでは、普段の生活と原子・分子の知識を結びつけることを目指している。

このデモコンテンツでは、鉛筆(黒鉛)やダイヤモンドの構造を原子レベルで探検することが可能だ。一見すると全く違う2つのものだが、どちらも炭素からできていることが見えてくる。

VRを使って以下のような内容の学習が可能だ。実際に操作しながら学ぶことで、受け身の学習以上の理解が促進される。

  • 物質の状態(固体と気体の違い)
  • 原子の構造(原子核や電子とは何か)
  • 電子軌道とは何か
  • 同位体とは何か

CEOのコメント

新しい学習ツール

生徒は、手やリモコンを使って原子の構成要素を自由に組み合わせ、原子を作り出すことができるという。CEOのVassili Philippovによれば、「周期表にあるものならば、何でも作ることができる」。

化学の表や公式を暗記するだけでなく、こうしてツールで遊びながら学習することでより深く理解し、記憶に定着させることができるだろう。

コンテンツの追加

アプリはまだリリースされたばかりで、カリキュラムに存在する全ての単元に対応しているわけではない。しかし、今後のアップデートで全ての主要な単元がカバーされる予定だ。

リリース予定のレッスンの総数は150にもなり、公式サイトでその全てを見ることができる。

他プラットフォームのサポート

MEL Chemistry VRアプリは現在、Daydreamのみに対応している。だが、今年の後半にはGoogle CardboardやSamsung Gear VRといった他のプラットフォームにも対応を拡大する予定がある。

Daydreamに対応したスマートフォンは少ないが、Gear VRとCardboardはいずれもシェアの大きなプラットフォームだ。Cardboardならば、VRのために機種変更をしなくても多くのユーザが持つスマートフォンで利用できるだろう。

科学教育を変える

Philippovは、「科学教育を変えたいと考えている」と語った。

「VRは科学を教えるための完璧な手段です。VRを使えば、目に見えない分子サイズの出来事を見せることも、化学反応の内側に入ることもできます」

子供たちの好奇心に火をつけることさえできれば、彼らは自ら学び始める。Philippovは、知識を詰め込むのではなく「知りたいというモチベーションを持たせること」が本当の教育だと考えている。

MEL Scienceが定期的に届ける実験キットで興味を惹いてきたのと同じように、VRも子供の好奇心を呼び覚ますためのツールだ。

数年後には、この新しいツールを利用して科学を学んだ世代が新たな発見をするようになるだろう。

 

参照元サイト名:The Journal
URL:https://thejournal.com/articles/2017/06/15/mel-science-launches-virtual-reality-chemistry-lessons.aspx?m=1#

参照元サイト名:MEL Science
URL:https://melscience.com/en/

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

TwitterでVRInsideをフォローしよう!

ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。