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VR内覧が悪徳業者を追い詰める? - VR Inside

VR内覧が悪徳業者を追い詰める?

     

VRで建設中の建物を内覧する

最近では、賃貸物件を探すときにインターネットサイトを使うのが当たり前となっている。

希望の条件に合う物件の家賃相場を調べたり、候補を絞り込んだりするときにインターネットは効果的だ。特に引越し先が今住んでいる場所から遠くて何度も現地を訪れる余裕がない場合には、あらかじめ候補を絞っておくべきだ。

これまでであれば、インターネットで写真や間取り図を確認して、最後は実際に現地を訪れるものだった。だが、VRの登場によって内覧することなく物件を選ぶのも現実的になってきている。

高い断熱性を持つ省エネ住宅を建築するアメリカのArnold Developmentは、VR技術を使うことで建設中の物件の借り主を見つけることに成功している。

物件の良さを伝えるVR

Jonathan Arnold

Arnold Development Groupの代表者Jonathan Arnold

Jonathan Arnoldは、不動産業界を変えるために行動している。

多くの住宅を作って販売するのではなく、持続可能な未来を実現する質の高い物件を提供するのが彼のやり方だ。

環境と家計に優しい物件

Arnold Developmentの設計する「持続可能な物件」は、より低いコストでより良い生活をもたらすものだとArnoldは説明する。

「こうした物件に住むことで、生活にかかるコストを抑えることができます」

断熱性に優れた窓や壁で構成された住宅では、一般的な住宅に比べて光熱費を抑えることが可能だ。こうした金銭的・直接的なメリットがあるだけでなく、冷暖房の使用を控えれば二酸化炭素の排出量も抑えることができる。

「社会に貢献したいと考える人にとっては、社会貢献・未来への投資でもあります」

Second and Delawareプロジェクトでは現在、2018年の春に完成させることを目指してカンザスシティのリバーマーケット地区に「パッシブハウス」の建設を進めている。

このプロジェクトでは、建物の外壁に16インチ(40センチ)の厚みがあるコンクリートの壁が採用され、窓は冷暖房の効果を高める3重サッシの窓だ。

Arnoldによれば、この建物は従来の同規模の建造物に比べてエネルギーの消費量を7割から9割も削減できるという。

建設中の物件を見せる

このパッシブハウスは当初今年10月のオープンを目指していたが、予定が来年の春へと延期されている。

完成までにはまだ数ヶ月の工事期間が必要だが、既にこの物件への入居を決めた人々もいる。彼らが入居を決めるために使ったのがVR技術だ。

Arnoldは環境のために高い家賃を払うことを求めているわけではなく、家賃に見合うだけの設備を整えようとしている。物件の設備を見せるために、ショールームではVR技術による内覧が行われているのだ。

「緑化のためにより多くの料金を払わせようとは考えていません。競争力のある価格設定であれば、人々はSecond and Delawareの物件を借りることができ、同時に自分たちの排出する二酸化炭素を減らすことができると気づくでしょう」

家賃や間取りについては、カタログで伝えることもできる。だが、明かりを取り入れる大きな窓やプール、屋上庭園についてはVR映像で体験してもらうことでより効果的にアピールすることが可能だ。

VRの効果

Second and Delawareプロジェクトのイメージ図

Second and Delawareプロジェクトの完成イメージ図

VRの導入

Arnold Developmentは先月、建設中の建物から1ブロック離れた場所にショールームをオープンした。ここでは、VRデバイスを使って物件の室内を自由に歩き回る体験が可能だ。

Arnoldによれば、このような試みを行うのはカンザスシティで初めてだという。

「VR技術は本当にワクワクするものですし、室内空間をイメージすることを可能にしてくれます。

この技術はユーザの身長に視点の高さを合わせられるので、シャワールームに行けばシャワーヘッドの高さを確認することができます。

自由にベッドルームやバルコニーを歩くことも可能で、実際に建物の中を歩くのとよく似ています」

このVRアプリケーションを開発したのは、姉妹会社のArnold Imagingだ。こちらの代表もArnoldが務めている。

現実との融合

このショールームには、VRデバイスが設置されているだけではない。

物件に使用されるキッチンユニットや、壁の厚みを確認できる16インチのコンクリート、10フィート6インチ(約3メートル15センチ)の天井の高さを感じられる模型も用意されている。

こうしたパーツとVRでの体験を組み合わせることで、契約が決まりやすくなるとコンサルタントのErin Walkerは語る。「VRで物件を見た顧客は、すぐに借りることを決める」という。

VRで真面目な建設業者が得をする

条件次第では、カタログの情報を元に完成していない物件の賃貸契約を結ぶこともある。その場合、業者を信頼して良い仕事をしてくれることを期待するしかない。

だが、VRが利用されるようになれば状況が変わるとArnoldは考えている。

「間取り図を見比べたただけでは、実際に2つの物件がどう違うのかは分かりません。

VRでは天井やライト、カウンターに使われる天板をチェックすることができます。

借り手のために実直に働いている業者は利益を得て、手抜きをしている業者は市場から追い出されることになるでしょう」

 

Arnoldは、東海岸沿いの地区にも同様の住宅を建設しようと計画している。同社はそのプロジェクトのために、5,500万ドル(61.5億円)の資金調達の最中だ。

まずはSecond and Delawareプロジェクトの完成だが、同社が次のプロジェクトでもVRを利用する可能性は高い。

不動産業界でVRの利用が当たり前になれば、悪徳業者は仕事を得られなくなるだろう。

 

参照元サイト名:Startland
URL:http://www.startlandnews.com/2017/06/sustainable-river-market-development-project-booking-tenants-with-virtual-reality-tours/

参照元サイト名:2nd + Delaware
URL:http://122delaware.com/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。