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セーヌ河畔のVR望遠鏡が観光客を中世のパリへ連れていく - VR Inside

セーヌ河畔のVR望遠鏡が観光客を中世のパリへ連れていく

     

Timescope

VRヘッドセットを使えば、ISSのように行くのが難しい場所や、誰もいったことのない恐竜の時代、あるいは現実には存在しないフィクションの世界へ飛び込むことができる。しかも、周囲の状況に左右されない。世界のどこに居ても、好きなVRコンテンツを見られる。

いつでも、どこでも使えるのはVRの利点の一つだが、Timescopeが設置する特別な望遠鏡は現地で使うことに意味があるようだ。

TimescopeのVR望遠鏡

Timescope

Timescopeが新しくパリのセーヌ川沿いに設置したのが、写真に写っている望遠鏡型のマシンだ。ちょっと見ると観光地にある高い建物でよく見かけるコインを投入するタイプの望遠鏡のようだが、実はセルフサービス型のVRシステムだという。

ちょうど望遠鏡のように覗き込むようになっているが、見えるのは遠くにある山や海、あるいはビル群ではない。内蔵されたVRテクノロジーによって、マシンが設置された場所の過去を見せてくれる。

観光地に設置されている望遠鏡と同様に台座ごと回転させて方向を変えることで、VR映像を楽しめる仕掛けだ。通常の望遠鏡は動かせる角度が制限されていることが多いが、Timescopeでは360度回転させてVR映像の中を見回すことができる。

ユーザの身長に合わせて望遠鏡の高さを設定でき、タッチスクリーンによって言語も選択できる。日本語があるかどうかは不明だが、観光客の利用を想定して多数の言語に対応しているのかもしれない。

写真から分かるように今回設置された場所は屋外だが、屋内でも屋外でも利用できる構造になっているという。

Timescopeマシンのコンテンツ

1628年のセーヌ川

今回設置されたTimescopeマシンは、二台目となる。

同じくパリにある最初の一台は、バスティーユ広場にある。そこは1416年から1789年にかけてバスティーユ牢獄があった場所であり、VRコンテンツでフランス革命前夜のバスティーユ牢獄の様子を見ることができる。

VR映像の内容は歴史家によって検証されたものだという。

新たに設置されたセーヌ川沿いのTimescopeマシンでは、1628年のセーヌ川の様子を見ることができる。中世のセーヌ川には荷物を積んだ船がゆらゆらと揺れ動くのが見えるようだ。

Timescopeの始まり

Timescope

Timescopeの始まりは、設立者たちが観光旅行で失望したことだったという。彼らはイタリアのポンペイを訪れて落胆したようだ。

ポンペイはヴェスヴィオ山の大噴火によって、一瞬で失われたといわれる街だ。突然の噴火によって当時の人々やその生活の痕跡がそのまま地下に埋まってしまったため、考古学的に高い価値があるとともに、観光地ともなっている。

その希少性はユネスコの世界遺産にも「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」として登録されていることからも明らかだ。発掘が進んだ部分は有料で一般公開されており、多くの観光客が訪れている。

どうやら、彼らは一般に公開されているポンペイの様子だけでは満足できなかったようだ。長年地下に埋もれていたために保存状態が良好とはいえ、古い遺跡である。劣化は避けられないし、近年発掘が進んだことによって一気に風化が進んでしまった面もあるようだ。

彼らはヴェスヴィオ山が噴火するよりも前の、在りし日のポンペイを観光客に示す方法としてTimescopeのアイデアを思いついたらしい。

今のところポンペイにTimescopeは設置されていないが、代わりにバスティーユ広場とセーヌ川でかつてのパリを見られる場となっている。何の変哲もない川沿いの遊歩道ではあるが、パリを訪れたついでに立ち寄る観光客もいるのではないだろうか。

Timescopeは2017年4月2日にオープンしたリーヴドセーヌ公園内に設置されている。セルフサービス型のマシンなので、24時間年中無休で利用可能だ。料金は2ユーロ(230円)と望遠鏡並のお手軽価格になっている。

都市開発が進む前の姿を見せるため、歴史的なイベントの様子を見せるためなど観光地での活用が期待されている。

 

自宅で大作VRゲームを楽しむのもVRの利用法だが、現地に行って過去の歴史を味わうためにVRを使うのも悪くない。観光客を迎える側市にとっても、大きなコストがかかるわけではないので導入しやすいサービスではないだろうか。

パリでは既に二台目ということで、その効果が認められていると考えられる。パリ市内の他の場所への設置はもちろん、パリ以外のフランス国内やヨーロッパの他の観光地にもTimescopeが設置されるようになるかもしれない。

各国の言語で解説を付ければ、京都のような外国からの観光客が多い日本の名所でも活用できそうだ。

 

参照元サイト名:Timescope
URL:http://www.timescope.co/

参照元サイト名:Lonely Planet
URL:http://www.lonelyplanet.com/news/2017/04/13/new-virtual-reality-telescope-seine-medieval-paris/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。