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VRが1,100年前のヴァイキング野営地を活き活きと描き出す - VR Inside

VRが1,100年前のヴァイキング野営地を活き活きと描き出す

     

ヴァイキングの野営地がVR蘇る

兵士だけでなく、女性や子供たちも暮らしていたという

イングランド東部のリンカンシャーは、農村があって畑が広がるのどかな土地だ。しかしこの地は、かつて巨大なヴァイキングの野営地があった場所でもある。

この拠点は、北欧からやってきた略奪者の集団が暮らしていた場所だ。彼らは1,145年前にここで傷ついたロングシップの修復や略奪品の加工を行い、交易の場としていたようだ。

発掘された遺物を元に彼らの暮らしがVRコンテンツとして再現され、ヨークシャーの博物館で出土品とともに公開された。

ヴァイキングの巨大野営地

多くの人がいっときの拠点として使用した

兵士だけでなく、多くの人がいっときの拠点としてこの土地を使用した

この野営地は、9世紀の後半に築かれたものだ。リンカンシャーにあるトレント川流域のトークシーにあり、現在はシェフィールド大学とヨーク大学の考古学者たちが研究を行っている。

彼らの調査によれば、この土地では872年から873年にかけて数千人ものヴァイキングの戦士たちと女性や子どもが暮らしていたという。

ヴァイキングの変化

初期のヴァイキングはイングランドの沿岸地帯で略奪を行い、冬になるとスカンジナビア半島に戻るという生活をしていた。しかし9世紀の後半になるとかつてよりも多くのヴァイキングがイングランドに姿を現すようになり、ついにはこの土地に留まるようになった。

これは、彼らが略奪目的で訪れているわけではなく、土地を自分のものにしようとしているということを示している。

女性と子供の存在

小規模なものであれば、襲撃を行うための拠点として野営地を整備したということも考えられる。しかし、トークシーの野営地は巨大だ。

考古学者や金属探知を行う技術者が見つけ出した証拠品の数々は、ここに暮らしていたのが戦士ばかりでなく女性や子供たちも一緒だったという事実を示す。

拠点の規模は非常に大きく、現代の一般的な都市よりも大きいほどだ。交易所や酒が飲める場所もあり、エンターテイメントも完備されていたという。

発掘された証拠からは、彼らがここで船の修理を行っていたことが分かっている。また、略奪した金や銀の品々は鋳潰され、インゴット(延べ棒)の形に加工されて交易に使われていたようだ。

金属探知機が発見したのは、彼らが金属の加工を行っていたことだけではない。多くのゲームが発見されており、彼らには時間が豊富にあったことが伺える。

彼らはここでゲームをして暇をつぶしながら春を待ち、侵攻を再開するために船の修理や貿易も行っていたのだろう。

見つかった証拠

船の修理現場

彼らはここで船を修理していたと考えられている

野営地の場所は?

川沿いの野営地

現在の多くの都市よりも広い

この野営地の場所と正確な規模は議論の対象となってきたが、最近の発掘によってそれも徐々に明らかになりつつある。

拠点の面積は少なくとも136エーカー(55ヘクタール)だと考えられている。この面積は、現在のヨークを含む多くの街や都市よりも大きい。サッカーのピッチ75個が取れるほどだという。

発掘された品々

発掘された品々

その規模に合わせて発見される遺物の数も多く、コインは300枚以上も見つかっている。コインを含む発見品の総数は1,000点を超える。

コインの中には、アラビアの銀貨も100枚以上含まれているという。これは、ヴァイキングの交易ルートがここまでしっかりと繋がっていたことを示す証拠だ。

発掘されたのは、貿易に使われるコインやインゴットのように完全な形のものだけではない。ブローチの破片や加工途中と思われる金属塊も見つかっており、彼らがこの土地で略奪品の加工を行っていた証拠の一つとみなされている。

他にも糸を紡ぐのに使われる道具や釣り針と釣りの錘、斧のような鉄製の各種道具も見つかった。

VRを使った展示の意義

並べられた金属製品

一般に、博物館で展示されるのは発掘された品物やそのレプリカだ。実物の展示は他のものにはない迫力があるし、レプリカであってもその魅力を伝えることはできる。

貴重な遺物には年月の経過によって脆くなってしまっているものも多い。博物館で展示すれば光のダメージなどもあるので、レプリカを使うべきときもある。

研究者にとっては最も重要な発掘品だが、背景知識がないと現物だけではそれが使われていた当時の情景を想像するのが難しい。そこを補うために使われてきたのがミニチュアや再現イラストのようなツールだ。

ここに、VRという新しいツールが加わった。VRヘッドセットを使えば、博物館の来館者は800年代の終わりにタイムスリップできる。現実の証拠に基いて再現されたヴァイキングの野営地を訪れ、彼らの生活を見て、聞いて知ることができるのだ。

ヴァイキングをテーマにした3Dゲームはたくさんあるが、ここで見られるのは限りなく事実に近いと考えられている景色である。こうした歴史のターニングポイントを臨場感を持って見せるための技術として、VRはとても優れた存在だ。

教育的な用途だけでなく、パリでは観光客向けにかつての風景を見られるVRコンテンツも作られている。歴史とVRを組み合わせたコンテンツは今後も増えていくことが予想される。

 

参照元サイト名:Daily Mail
URL:http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4519120/VR-brings-conditions-Viking-camp-life.html

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。