VR Inside

VRの未来を創るビジネスメディア

NASAの研究者はVRで火星を調査している - VR Inside

NASAの研究者はVRで火星を調査している

     

VRで火星を歩く

VRであれば、実際には行くのが難しかったり、行くことができない場所にも本当に行ったかのような体験が可能になる。その性質と特に相性の良い舞台の一つが宇宙だ。

宇宙空間や宇宙船を舞台にしたVRゲーム、太陽系の仕組みを知ることができる学習コンテンツなどが作られており、自宅に居ながら壮大な宇宙のスケールを味わうことができる。

VR技術と、NASAの探査機「キュリオシティ」が撮影した映像を組み合わせれば、まだ人類が到達できていない火星を散歩することすらも簡単だ。レンダリングされた3D映像ではなく、実際にキュリオシティが撮影した本物の火星を歩いて探検することができる。

本物の火星の映像

火星の探査機が見える

キュリオシティと仲間たちの活躍

NASAが火星に送り込んだ探査機、キュリオシティ。「好奇心」を意味する名前を持つこのマシンは2012年の8月に火星の地表に降り立ち、それ以来撮影と実験を続けている。

着陸の成功と送られてきた写真はかなり大きなニュースになったので、覚えている読者も多いだろう。SF小説や映画に登場する火星人の母星ということで、キュリオシティから送られてきた写真の中に生物らしきものが写り込んでいるという話まで出ていた。

NASAが火星に送り込んだ探査機はキュリオシティだけではない。キュリオシティよりも早く、小型ローバーのオポチュニティが火星の画像を地球へと届けている。

地上に降りることは難しくても、衛星軌道から火星表面の様子を撮影してデータを送ってきた衛星もある。この試みは、50年も前から続けられてきた。

こうした方法で取得した画像データによって、NASAは火星の地形を把握することに成功した。その情報に基いて、火星の地形が3Dで再現されている。

VR技術の登場

従来であれば、火星の地形を3Dデータにしても利用法が限られていた。その一例が、立体モデルの作成である。博物館などで展示されていたり、インテリアとして立体感のある地球儀ならぬ火星儀が販売されたりしている。

せっかく3Dでまとめられた火星の地形データを利用する方法として、新たに登場してきたのがVR技術だ。マイクロソフトのMRヘッドセットHoloLensを使ったこのコンテンツでは、マイクロソフトとNASAのJPL(Jet Propulsion Laboratory)が共同開発したソフトウェア「OnSight」が使われている。

OnSightを使ってVR上で再現された火星のセッションには、世界中の研究者が参加できる。

VR空間に作られた火星を歩いているときに目にするのは、全て本物の火星で撮影された画像だ。レンダリングされた3DCGで再現したものではなく、キュリオシティが撮影した画像を組み合わせることで自由に動き回れるバーチャル火星を作り出すことに成功した。

体験者のコメント

岩が転がる火星の風景

このコンテンツはVRヘッドセットの所有者なら誰でも楽しめる、といったものではないが、CBS NewsのBill Whitaker特派員は火星探索の機会を得た。

彼はこのバーチャルな探検が「CBSで働く中で最もクールな体験の一つだった」という。

火星の写真はテレビのニュースや科学番組でも取り上げられ、新聞・雑誌でも見ることができた。インターネットを使えば、いつでも好きなときに見られる。だが、VRでそれらを見るとまた異なる感動があるようだ。

「テレビの画面で見ただけでは分かりません。VRを使って見ると、本当に火星の地面に立っている感覚になるんです」

Whitakerは、NASAのJPLに所属する研究者Katie Stack MorganとともにVRを使った火星の探索を行った。キュリオシティの通った経路を追いかけていくと、キュリオシティが火星で見た景色が目に入る。

Stack Morganは写真を平面ではなく立体の視点で捉えることの重要性を説明した。平面の写真で見るとただの岩が転がっているだけにしか見えない地形も、立体感を考えるとその裏にある意味が見えてくる。

Whitakerがこのとき探索した場所は、NASAが火星で初めて発見した「居住可能な地域」なのだという。

Stack Morganは、高さ3マイルのSharp山と呼ばれる場所を示した。ここはキュリオシティが次に探査する場所だ。この山は岩と砂の層で構成されており、NASAはその地層を調べれば火星にかつてあった気候や地殻の変動を知ることができるのではないかと期待している。

 

一般のユーザが観光を楽しむためのVRアプリケーションではないが、現地に行ったような感覚で調査を行えれば研究も進めやすくなるだろう。研究者たちの努力と探査機器の進歩、そしてVR技術が合わさって火星の謎を解こうとしている。

過去に火星で起きた変動が解明されれば、地球を含む太陽系惑星のより深い理解に繋がるに違いない。比較的地球の近くにある火星から、太陽系外に存在する居住可能な惑星の研究が進むこともありそうだ。

 

参照元サイト名:CBS News
URL:http://www.cbsnews.com/news/exploring-mars-without-leaving-earth/

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

TwitterでVRInsideをフォローしよう!

ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。