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高齢者のためのVR「Rendever」がMITのスローンヘルスケアイノベーションアワードを受賞 - VR Inside

高齢者のためのVR「Rendever」がMITのスローンヘルスケアイノベーションアワードを受賞

   

MITヘルスケアプライズのイメージ

MIT NEWSがMITスローン・ヘルスケアイノベーションプライズを受賞したRendeverについて伝えた。大賞の賞金は2万5千ドル(約280万円)である。

Rendeverは、外出の難しい高齢者にVRで旅行気分を味あわせてくれるサービスだ。また、運動データを調べることで認知症の早期発見にも繋がるという。

Rendeverの共同設立者兼CEOのDennis Lallyは、
「加齢に合わせたVRの使用は良い効果をもたらします。人々が孤立してうつ状態になるのを防ぎ、心を幸せで健康な状態に保つこともできます」
と述べた。

Rendeverのシステム

世界と繋がる

VR体験は、個人的なものになりがちだ。もちろんソーシャル要素のあるコンテンツも作られているが、顔にヘッドセットを付けてしまうのでリアルでは一人である。

Rendeverの工夫は、複数のヘッドセットを同期させたところにある。独自にカスタマイズされたソフトウェアによって複数のVRヘッドセットを同期させることで、ユーザグループが同時に同じ空間を体験できるようになっている。

ユーザのグループは小さい頃に住んでいた思い出の土地や観光地を訪れたり、スポーツの試合を観戦したり、親戚の結婚式に出席したりできるという。各ヘッドセットは介護者がタブレットを使って制御できるので、機械の扱いに慣れていない高齢者でも利用できる。

こういったコンテンツは全て、インターネット上から集めてきたデータをRendeverが加工したものだ。集めたデータの量は、2,000万ギガバイト(20ペタバイト)に上るという。

外出が難しくなった高齢者は、社会から孤立しがちになってしまう。Rendeverのサービスで社会との繋がりを保つことは、彼らの生活の助けとなるものだ。

さらに、Rendevrのシステムはユーザの過去を利用したセラピーの効果ももたらす。VRコンテンツは「作る」ことができるので、過去の経験や写真のような思い出の品を登場させたり、お気に入りの音楽を流すこともできるのだ。

試験的な研究によれば、このシステムはユーザの幸福度を40%向上させたという。Rendeverは現在、MITの加齢研究所とともにこの結果の検証を行っている。

認知症の早期発見

もう一つ期待されているのが、このシステムによる認知症の早期発見である。認知症の診断は、専門家の意見やシンプルなチェックテストに基いている。そうではなく、データ駆動型のソリューションを作成しているとLallyは語る。VRでユーザが取った行動のデータを収集して、診断に利用するのだ。

ユーザは、システム上で指示に従ってある行動をするように求められる。例えば、「夕食の準備をする」といった内容だ。ユーザがどのように動いたのか、反応時間はどのくらいだったのか、といったデータをシステムが毎分1,000回も記録する。

彼らが構築した機械学習モデルによって、健常者と初期段階の認知症患者の行動パターンを判定できるという。これは早期発見に効果的であると同時に、既に治療を受けている患者に「どのくらい効いているか」を確かめる手段としても利用できるデータだ。

コンペティション以後

賞金の2万5千ドルは、すぐに次の研究資金になる予定だ。RendeverのCOO、Hayesはチームの受賞理由をニーズにあったものだからだと考えている。

「誰もが年を取っていく両親や祖父母を抱えています。そして彼らが外出できなくなったとき、できることは少なくなってしまいます。だからこそ、このシステムで外出できることは重要なんです。このソリューションは、世界を探索するための楽しい方法です」

このコンペティションは、単に優勝者を決めるためのイベントではない。主催のMITが近隣地域のコミュニティや投資家との間に繋がりを作ることで、ヘルスケアコミュニティを成長させることを目指している。

大賞を受賞したRendever以外のアイデアも、それぞれがコンペティションの間に指導を受けている。このイベントで出会った人や企業が繋がって、新しいサービスへと変化していくこともあるかもしれない。

 

参照元サイト名:MIT News
URL:http://news.mit.edu/2017/virtual-reality-elderly-sloan-health-care-innovations-prize-0224

参照元サイト名:Rendever
URL:http://rendever.com/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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