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妊娠と出産を変えるVR技術 - VR Inside

妊娠と出産を変えるVR技術

     

妊婦と胎児とVR

VRは、医療の現場で様々なあり方を見出されている。医師・医学生が学習やシミュレーションに使う、患者が病気について学ぶのに使う、あるいは症状の軽減に使うといった例がある。

厄介な慢性疼痛にも、VRは効果があると言われている。それならば、病気でも怪我でもないにもかかわらず痛みのあるときにもVRが使えるかもしれない。VRは出産をも助ける可能性がある。

出産の痛みを抑えるVR

AppliedVRは、VRによって患者の痛みを軽減することを目指している。リラックスできる映像や、患者に痛みを忘れさせるようなVRゲームによって痛みのレベルを下げることに成功しているようだ。

この技術を使用している医師からは、「出産の痛みにも効果がある」という意見も出ている。

Crystal Run Healthの取り組み

ニューヨークのCrystal Run Healthでも、出産時にAppliedVRのVR映像を使って痛みを軽減する方法が試みられている。

ここで使われているのはゲームではなく、美しいVR映像だ。遠くには穏やかな水平線が見え、聞こえるのは波の音と鳴き交わす海鳥の声、そんなVRコンテンツが出産に向かう女性をリラックスされる。

婦人科の医師であるRalph Andersonは、これまでに約30人の女性が使用したというAppliedVRの効果についてInternational Business Timesに対して語っている。

「VR環境の探索を始めると利用者は落ち着きを取り戻し、鎮痛剤を欲しがらなくなります。

痛みを和らげるVRの効果は驚くべきものです」

出産は通常、妊娠の過程で最も痛いと考えられている。痛みがあるのは出産の瞬間だけではなく、長い場合には数時間から1日近く陣痛が続くこともあるほどだ。VRは、この長く続く痛みを楽にするために使われる。

Andersonは、VRが出産初期の痛みに対して役立つと考えている。赤ちゃんが誕生するその瞬間の痛みを抑えられるのは強力な鎮痛剤だけだが、強い薬を長時間に渡って利用するのは望ましくない。

赤ちゃんの準備が整う前の段階では、VRを使うことで出産が楽になるはずだ。

現実的なコスト

Andersonはたった数千ドルでこのVR機器をレンタルできると説明した。現実的なこの価格は、技術が普及できる段階にまで成熟していることを意味している。

「この技術には、標準的な存在になるだけのポテンシャルがあります。

患者一人あたり、使用回数あたりの価格は非常に安くなります。患者の満足度は非常に高く、コストはわずかだと言えるでしょう」

胎児と「出会う」

赤ちゃん

妊娠におけるVRの利用は、出産時の痛みを抑えることだけに留まらない。両親が生まれてくる前の赤ちゃんを「見る」ことも可能にする研究が進められている。

ブラジルのリオデジャネイロでは、医師のHeron Wernerが家族と胎児との繋ぐためにVR技術を活用している。胎児の形をスキャンし、VR空間に再現するのだ。

彼は両親と赤ちゃんとの出会いが感動的なものだと語っている。しかし、このVR画像を使って胎児を見る技術は単に両親を喜ばせるために研究されているわけではない。

医師は、出生前に見つかった胎児の異常についての議論にVR映像がとても有効だという。医学の知識を持たない母親や家族に胎児の状態を説明するには、VR映像が効果的だ。

Wernerのチームが開発する装置は、まだ一般向けの段階ではない。チームはリオデジャネイロ・カトリック大学のエンジニアと協力し、エコー画像をVR映像に変換するプログラムの作成に当たっている。

現在の問題と今後の変化

彼は、現在の主な問題がVR用の画像を準備することだと語っている。だが、多くのエンジニアが自動的にエコー画像をクリーニングしてVR映像に変換するプログラムに取り組んでいる。この状況は近く変化するだろう。

現状では、オリジナルのVR映像を作成するために700ドル程度の費用がかかってしまうという。だが、プログラムによって自動化が進めばこの費用は小さくなるだろう。Wernerは、今後2年で出産前の胎児にVRで挨拶をするのが病院で普通に提供されるサービスになるかもしれないと考えている。

 

胎児の身体は小さく、母親の身体に入ったものの影響をそのまま受けてしまう。痛み止めを使いたくない母親にとって、VRを使って痛みを和らげる方法は選択肢の一つとなるだろう。出産時だけでなく、妊娠中の頭痛などにも利用できそうだ。

胎児をVRで見られるサービスも、価格次第では普及するかもしれない。自分の身体で赤ちゃんを感じられる母親はともかく、父親にとっては早い段階で親としての自覚を持つことに繋がるはずだ。兄・姉になる上の子に見せるのも喜んでもらえるのではないだろうか。

 

参照元サイト名:International Business Times
URL:http://www.ibtimes.com/virtual-reality-could-change-how-people-experience-pregnancy-2538248

参照元サイト名:VR Room
URL:https://www.vrroom.buzz/vr-news/trends/vr-can-change-how-you-experience-pregnancy

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。