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ZeniMaxとFacebookの争いがサムスンにも拡大する - VR Inside

ZeniMaxとFacebookの争いがサムスンにも拡大する

     

Gear VR

ZeniMaxはOculusの技術を使ってGear VRを開発したサムスンも訴えている

ZeniMax MediaがFacebookに買収されたOculusを訴えていることは、今年の初めから伝えている通りだ。Oculusに対する訴えでは、Facebook側が5億ドルの賠償を命じられる結果となっている。

ZeniMaxはFacebookだけでなく、Oculusの技術を使ってGear VRを開発したサムスンに対しても正式に訴えを起こした。

ZeniMax 対 Facebook(Oculus)の流れ

OculusのCTO、John Carmack

渦中の人となったOculusのCTO、John Carmack

今年に入って毎月のように報じられている、FacebookとZeniMaxの対立。関係が複雑になってきているので、一度流れを整理しておこう。

ZeniMaxがFacebookを訴える

事の起こりは2014年に遡る。ZeniMaxは、OculusのVRヘッドセットOculus Riftに同社の技術が盗用されているとして訴えを起こした。

ZeniMaxは2013年初めの時点でVRヘッドセットの開発を中止したというが、かつて同社の社員だったOculusのCTO、John CarmackがZeniMaxの技術を持ち出してOculus Riftを完成させたと主張している。

ZeniMaxはCarmackが雇用契約の条項に違反して内部の機密書類やソースコードを持ち出しており、さらにその証拠を隠滅した形跡が認められるとしている。この裁判でZeniMaxが求める賠償金の額は20億ドル(2,270億円)に上る。

Oculusの反論

もちろん、OculusはZeniMaxによる訴えを事実無根としている。

Oculusは自社の資金と技術を用いてRiftの開発を行っていると主張し、2017年の初めには法廷で両者が争うことになった。

Facebookに5億ドルの支払い命令

裁判では、全てではないにしてもZeniMaxの主張が認められる形となった。その結果、Facebookには5億ドル(568億円)の損害賠償を求める命令が下された。

Facebookはこの判決を不服とし、Oculus Riftに使われているのはOculus独自の技術だと繰り返していた。

また、Carmackもこの裁判は誤った調査に基いていると主張している。

CarmackがZeniMaxを訴える

ZeniMaxがFacebookを訴える本筋からは離れるが、Carmack個人もZeniMaxを訴えている。

内容は、ZeniMaxがCarmackの企業であるid Softwareを買収した代金の支払いを求めるものだ。分割して支払うことになっていた代金の一部、2,250万ドル(25.5億円)が支払われていないとして、支払いを求めて裁判を起こした。

ZeniMaxは支払いをストップした理由を、雇用契約を巡る係争中であるためとしている。CarmackがZeniMaxの技術をOculusに持ち出したかどうかがはっきりするまでは、こちらの問題も解決することはないだろう。

Facebookの異議申し立て

4月に入ると、Facebookが正式に異議申し立てを行った。

一旦はZeniMax側の勝利となった争いが再び始まることになる。この裁判では、内容の専門性(コンピュータサイエンスの知識がない一般の陪審員には判断が難しい)、非公開となっている専門家による調査結果の正確性が争点になりそうだ。

サムスンへの波及

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サムスンが販売するモバイルVRヘッドセットGear VRだ。同社のGalaxyスマートフォンにバンドルする戦略もあって、最も売れているモバイルVRヘッドセットだと言われている。

その本体には「Samsung」「Gear VR」という表記に加えて「Oculus」のマークとロゴも記載されている。これは、Gear VRにOculusの技術が使用されているためだ。サムスンとOculusはパートナーシップを結んでいる。

そのため、ZeniMaxの訴えはOculus RiftだけでなくサムスンのGear VRにも及ぶ。

ZeniMaxの訴え

5月12日、ZeniMaxは正式にサムスンを訴えた

「サムスンは、Oculusが不正に流用しているZeniMaxのVR技術(または、ZeniMaxのVR技術から派生した技術)をGear VRで使用し続けている」

というのがその主張だ。ZeniMaxはGear VRが少なくとも部分的に同社の技術を使用していると考えており、損害の賠償を求めている。

 

今回はFacebookやOculusではなくサムスンが訴えられている点が異なるが、ポイントはやはり「OculusがZeniMaxの技術を盗用しているのか?」だ。先の裁判では盗用があったと認められたが、二審で結果が覆る可能性もある。

Oculusによる技術の盗用が無かったという判決が出れば、こちらの裁判自体が無意味なものになってしまう。

また、損害賠償の及ぶ範囲がどう捉えられるかも分からない。先の判決が確定したとすれば、ZeniMaxはFacebookから賠償金を受け取ることになる。それに加えてサムスンからも賠償を受けられるかは、また別の判断になるだろう。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/zenimax-complaint-samsung-gear-vr-oculus/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。