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Vコマースこそ4番目のチャネル!世界最大のオンライン・マーケットプレイス「eBay」が考えるVRの可能性 - VR Inside

Vコマースこそ4番目のチャネル!世界最大のオンライン・マーケットプレイス「eBay」が考えるVRの可能性

        2017/09/12

世界中から1.62億人ものバイヤーが集まる世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay」を運営するeBay Inc.。eコマース分野のリーディングカンパニーとしてリテールの世界を変えるため、常に新しい技術への挑戦を行ってきた。

そんなeBayが次にチャレンジしたのが「VRデパートメントストア(百貨店)」だ。リアル店舗とECサイトの利点を併せ持ったサービスを目指し、本サービス向けに設計されたVRビューアー「ショップティカル」を通じて、3Dモデル化された商品を閲覧できる。

操作方法も実に簡単で、視線を送る事によりVR内を移動し、ユーザーが気になる商品の「情報」アイコンに視線を固定することで、その商品の仕様、価格、在庫、配送などの詳細情報を見ることができるだけでなく、「カートに追加」アイコンを見続ける事で商品の購入が可能だ。

しかし、気になるのは本サービスを提供したのがeBay本体ではなく、eBay Australiaという点だ。また、今後オーストラリア以外にも展開する予定はあるのか、将来VRがeコマース市場にどのような影響を与えると考えているのか、様々な疑問が沸いてきたので、今回はイーベイ・ジャパン株式会社 マーケティングマネージャーの河田 顕治氏に直接、この疑問をぶつけてきた。

マーケティングマネージャーの河田氏

マーケティングマネージャーの河田氏

 

Vコマースは4番目のチャネル

----まず、「VRデパートメントストア(百貨店)」をeBay Australiaが手掛けた背景をお教えください。

河田氏:オーストラリアは国内であまり物を作っていなく、国外から買い物する事に抵抗のないお国柄で且つインターネット普及率も高いという背景もあり、eコマースの市場規模が非常に大きいです。

そんな中、eBay Australiaはオーストラリアのeコマース市場ではNo.1であり、No.2のGumtree(※CtoCのクラシファドサイト)もeBay傘下のグループ企業と、eBay自体かなりの存在感があります。

このような背景があったので、eBay Australiaからこの取り組みを開始いたしました。

 

----本サービスの企画経緯を教えてください。

河田氏:基本的にはeBay本体やeBay Australiaも同じく、インターネットを代表する一つの企業として新しい取り組みへのチャレンジを続けてきました。例えば、VR以前で言えばモバイル対応です。iTuneStoreがローンチされた初日にeBayアプリをリリースしたりと、どこよりも早く新技術への対応を行ってきました。

eBayとしてお客様が利用する可能性の高いものは、どこよりも早く可能性を試していく。マーケットを引っ張るぐらいの意欲を持って様々な活動に取り組んでいます。

弊社はやはりリテールの世界を変えていきたいという意欲が強く、VRこそ4番目のチャネルになりうる技術なのではないかと、考えています。

4つのチャネル

  1. オフライン
  2. インターネット
  3. モバイル
  4. Vコマース

Vコマースこそ次世代を担う新たなショッピング体験になると捉えているため、今回このサービスの開発を行うに至りました。

 

----ありがとうございます。続いて、開発期間および開発体制に関してお教えください。

河田氏:5月半ばリリースの12ヶ月前ですので、2015年5月頃から開発がスタートしています。

最初はいわゆる本当の百貨店をVR世界に再現しようと考えていたのですが、そもそもVRに天井や床は必要なのか、店員と対面で喋る必要はあるのか、など進めていく中で様々な問いが生まれ、最終的に一旦すべての既成概念を取っ払って、何が本当に大切なのかをゼロから考えようという動きになり、紆余曲折経てやっと今の世界観が固まりました。

このコンセプトメイキングに約半年かかりましたね。そこから実際の開発や3Dモデリングなどに5ヶ月~6ヶ月掛けて、約1年でリリースに至りました。

開発体制としてはデベロッパー、デザイナー、マーケティング、コミュニケーションのプロフェッショナル、この辺りを全て包含するような一個のプロジェクトに40人以上が関わりました。

 

----特に苦労した点・こだわったポイントをお教えください。

河田氏:コンセプトメイキングには苦労しましたが、それ以降の開発プロセスは非常にスムーズでした。

ただ、その中でも一番、時間とコストがかかったのはモデリングの部分で、1万2500点以上の全ての商品を3Dモデル化するのは厳しいと感じ、最終的にはTOP100プロダクトに制限し、それ以外はハイクオリティの2Dイメージを用いることにしました。

 

VRの可能性を探る実験

----今回のサービス導入で売上に影響はでましたか?

河田氏:eBayは既存のユーザーベースが大きく、今回試して購入してくれた方は全体でみると数%程度のため、売上の貢献という面では数字を出しにくい状況です。

ただ、元々このプロジェクトで特に意識していたのは、「試した人がどういう反応をしたか」を検証する事。

ユーザの行動や滞在時間、操作方法や離脱ポイントなど様々なデータから、VRの可能性を探るのが本プロジェクトの目的でしたので、例え売上への繋がりが大きくなかったとしても、プロジェクト自体にはすごく意義があったと言えるし、十分な発見があったと思います。

 

----1万5,000個限定の「ショップティカル」を無料配布されましたが、既に全て配布済みでしょうか?

河田氏:全て配布しました。1日に1,000個という制限をかけて、毎朝決まった時間に配布していましたが、ものの数分で完配するような状況で、大盛況でした。

ショップティカル

ショップティカル

 

----なぜ、1,000個区切りでの配布を行ったのでしょうか?

河田氏:配送の問題もありますが、早く気付いた人だけが入手できるのではなく、情報って人それぞれ伝わるのにかかる時間が違うので、気づいた時にはもうなくなっているというような状態にしたくなかったんですね。

ですので、ある程度万遍なくいろんな方の手に届くよう分けて配布しました。

 

----なぜ、モバイルVRを選択されたのでしょうか?

河田氏:普段、eコマースを利用している方がVコマースを体験したら、どんな反応をするのかを検証したかったので、そのためには専用デバイスだと購入障壁が高いですし、汎用性に欠けるので、モバイルVRを選びました。

 

----今後、どのような形で展開される予定でしょうか?

河田氏:オーストラリアで得られたフィードバックを元に、より改善された形で他国展開する可能性はないとは言えませんが、現時点で検討はしておりません。今は、フィードバックを元にVRを用いたコマースの在り方を考えていくというフェーズですね。

ebay (3)

 

日本では主に越境ECに取り組む企業をサポートする部隊がいるのみだが、グローバルでの従業員数は約11,600人。※インターブランドのオフライン・オンライン含むTOPブランド100にもランクインしたりとグローバルで見ると非常に認知度の高い世界的企業だ。

そんなeBayが今、熱い視線を送るのがVコマース。PC・モバイルと並ぶ新たなチャネルになると考え、多くのリソースを割き、開発に勤しんでいる。平面から立体へ、オフラインとオンラインの境目がどんどん薄くなり、数年後には家にいながら手に取るように商品を閲覧し、購入できる、そんな時代が来る日も近いかもしれない。

※インターブランドランキングとは:米ブランドコンサルティング企業 インターブランド社が毎年発表している世界でも指折りの権威あるブランドランキング。各企業ブランドごとの市場における影響力・財務状況などを、金額に換算してランク付けしたもの。

 

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Ryohei Watanabe

Writer: 2012年よりスマホゲーム専門メディア「アプリ★ゲット」で記事執筆・編集・メディア運用・アライアンスなどを担当。