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2017年第2四半期のアメリカVR・AR市場への投資額は8億ドル(約900億円)。今後の投資は「モバイルAR市場」に集中か?

2017/07/06 14:15

調査会社Degi-Capitalは、2017年第2四半期のアメリカVR・AR市場への投資に関するレポートを発表した。

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調査期間内で高額を記録した投資額

同レポートによると、2017年第2四半期のアメリカVR・AR市場への投資額は合計で8億ドル(約900億円)に達した(トップ画像参照)。この投資額は、同社がアメリカVR・AR市場に関して調査を開始した2011年以来、3番目に高い金額である。

もっとも、調査期間内で投資額が高かった2014年第4四半期と2016年第1四半期の投資の大半は、Magic Leapへのそれが占めていた。こうした言わば突発的な巨額投資を除いた場合、2017年第2四半期の投資額が最も高額ということになる。

引用したグラフには、各四半期の投資額に加えて直近12ヶ月の投資合計額も示されている(グラフの赤い線)。この直近12ヶ月の投資合計額の推移を見ると、各四半期ごとの投資額の変動には左右されない、アメリカVR・AR市場への投資の動向を確認することができる。グラフを参照すれば、調査期間全体を通じておおむね右肩上がりだと解釈できる。この解釈から、アメリカVR・AR市場は堅調に成長していると結論づけられる。

投資先上位5カテゴリーで全体の90%

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2017年第2四半期までの直近12ヶ月のアメリカVR・AR市場への投資に関して、業種ごとのシェアをまとめたのが上のグラフである。直近12ヶ月の投資額を合計は、20億ドル(約2200億円)にのぼる。

投資先のほぼ半分を占めるのが、コア・テクノロジーである。このカテゴリーは、文字通りVR・AR市場の根幹をなす技術に関するものである。具体的には、VR・AR市場におけるプラットフォーマーがこのカテゴリーを構成する企業であろう。すなわち、HTC、Facebook、Samsung、Google、Sony、Appleといったテック業界の巨人たちだ。

コア・テクノロジーに続くのは、動画、ゲーム、周辺機器、スマートグラスといったカテゴリーが続く。周辺機器カテゴリーには、VIVE対応ワイヤレスキットTPCASTのような機能拡張キット、あるいはハプティック・スーツやハンド・コントローラー開発への投資が該当するだろう。これら4つのカテゴリーはそれぞれ10%前後のシェアを占めている。

以上よりコア・テクノロジーからスマートグラスまでの上位5つのカテゴリーで、投資総額の90%近くを占めていると言える。この投資傾向は、本メディアが日々報じている各記事の該当カテゴリーと重要度から推測すると、妥当な結果と思われる。強いて言うなら、動画への投資がゲームへのそれをわずかに上回っていることがやや意外である。

残り10%を分け合っているカテゴリーのシェアは、おおむね1%程度であり、投資総額の20億ドルから算出すると2,000万ドル(約22億円)となる。そうしたカテゴリーとは、サービス、教育、ソーシャル、広告・マーケティング、ナヴィゲーション、ロケーションベースサービス、eコマーズである。なお、ロケーションベースサービスとは、VRアーケード事業を含んだ業態を意味していると思われる。

さらにグラフで「その他」に含まれているカテゴリーは、次のようなものである。アート・デザイン、エンターテインメント、ビジネス、ライフスタイル、ミュージック、B2B事業、ユーティリティ、ニュース、医療、スポーツ、画像、そして配信事業だ。

ちなみに、以上に名前のあがったカテゴリーの多くは、今回の調査から採用されたものである。2017年第1四半期までは、今より調査カテゴリーは少なかった。参考までに2017年第1四半期までの直近12ヶ月のカテゴリーごとの投資シェアを示したグラフを引用する。

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2017年第1四半期までにおける調査カテゴリー「ソリューション・サービス」が、2017年第2四半期における「コア・テクノロジー」に該当すると思われる。調査カテゴリーが異なるので単純な比較はできないのだが、2017年第1四半期から第2四半期への投資動向の変化からわかることは、投資先がプラットフォーマーに集中しつつある、と言えるかも知れない。

調査カテゴリーが細分化した背景には、VR・AR市場におけるサービス・プロダクトが多様化してきたため、と考えられる。この調査項目の変更は、アメリカVR・AR市場動向を正確に把握する助けとなるだろう。

レポートでは、今後注目すべき市場として「モバイルAR市場」を挙げている。同市場に関しては、本メディアでも何度か報じている。

(参考記事)
「ついに誕生した「モバイルAR市場」を制するのは誰か? 」
「AppleとFacebookがリードするモバイルAR市場は、2021年までに6兆5,000億円規模に成長」

Facebookが先鞭をつけ、Appleが本格参入した同市場は2017年後半に急速に成長する可能性を秘めている。同市場の動向に関しては、本メディアでつぶさに報じられることであろう。

2017年第2四半期のアメリカVR・AR市場への投資に関するレポートを発表したDegi-Capitalのブログ記事
http://www.digi-capital.com/news/2017/07/arvr-dealmakers-invested-over-800m-in-q2-2017/#.WV2YSelUtPb

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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