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ARを使えば合法的にストリートアートで主張できる?

2017/09/18 17:50

ストリートアートを描く
ストリートアートを描く

ストリートアートを描く

自分以外の所有物、例えば他人の家の塀に勝手に絵を描くのは違法行為になってしまう。しかし、この方法によって何かの意見を表明する人たちもいる。特に社会や政治を風刺するような大胆な内容を発表するためにこうした方法が使われることがある。

ストリートアートを描くアーティストにとっては、カラースプレーで吹き付けるか、あるいは刷毛で塗りつけられたペンキが勇敢にメッセージを伝える道具となる。違法であることは間違いないのだが、人口の密集した大都市では否が応でも目に入るこうしたグラフィティが文化の一翼を担っていることも否定できない。

文化でもありつつ、本来は存在するべきではないという特殊な芸術の立場が、AR技術によって変わるかもしれない。

見えないメッセージ

Neon

ARでメッセージを表示できるNeon

見てもらえるメッセージ

メッセージを伝える手段として、人目につくところに書くことは重要だ。誰も見てくれない場所に書いても意味がないが、街中の壁に絵を描けばそこを通る人が見ることになる。

これは広告看板の場合も同じことだ。なるべく多くの人が通る場所、目立つ場所ほど広告掲載料金は高くなる。

だが、企業が料金を支払って広告を出す場合と違うのは所有者の許可を得ずにメッセージが描かれるところだ。落書きを見つけた所有者は当然彼らの「作品」を消してしまうし、悪質な場合には犯罪者として捕まってしまうことも考えられる。

ARで届ける

AR技術を使うことで、現実には存在しないものがまるでそこにあるかのように見せることができる。この特徴により、ストリートアートの受け皿としてARアプリが機能するかもしれない。

ちょうど、実際には存在しない架空のキャラクターであるポケモンが街中に出現したのと同じだ。ある建物の壁をアプリを通してみるとイラストが表示される、といった表現が可能となる。

ARKitを使って作られたARアプリ、『Neon』はまさにこのイメージだ。このアプリではARによってイベントを開催する場所を登録したり、友人の現在地をARで示したりといったことができる。

不特定多数の人に向けて位置情報と関連付けたメッセージを公開できれば、壁に直接ペンキで絵を描く代わりにデジタルなグラフィティを残すことが可能となる。

ARアプリで絵を描くことは違法ではないため、誰でもストリートアーティストとして堂々と活動することが可能だ。

仮想世界の権利問題

Sansar

セカンドライフを開発したLinden LabのVRアプリSansar

他人の家の壁に絵を描くのと比べれば、ARアプリ上で絵を描くのはずっとお行儀の良い行為だ。だが、ARアプリが一般化すれば仮想世界でも権利の問題が発生する可能性がある。

仮想物件

バーチャルな世界で交流し、暮らすことのできる『セカンドライフ』では、アプリ内の看板に広告を掲載したり、アプリ内の土地を購入して家を建てるために現実のお金が使われるシステムだ。実際には存在しない土地でありながら、現実のものと同じように権利が生まれている。

他のゲームでも、複数のユーザが世界を共有するゲームではレアアイテムやレベルの高いキャラクターに価値が生まれる。多くのオンラインゲームでは運営企業が禁止しているが、リアルマネートレード(RMT)で現実のお金を使ってレアアイテムを売買したり、アカウントそのものの譲渡が行われたりしている。

存在しないものだとしても、それを所有することに価値があると考える人が多ければ価値が生まれるのだ。

AR空間は誰のものか

現実とは繋がりのない完全にバーチャルな世界の場合、その世界にあるものはその世界だけで完結している。だが、ARの場合はリアルの世界と繋がりを持っていることが問題となるかもしれない。

他人の家の壁にAR空間で絵を描いた場合、やはり犯罪になるのだろうか?アプリの利用者にしか見えないバーチャルなメッセージであれば、どこに描いても自由なのだろうか?

もちろんメッセージの内容がそこに住む人物への侮辱であれば犯罪になるだろう。しかしそうではない場合、はたしてAR空間には現実の土地を所有する人物の権利が延長されるのだろうか?

現実化する問題

AR空間における土地所有者の権利がすぐに問題になることはないとしても、ARアプリの利用者が増えれば彼らが何かのトラブルを起こす可能性はある。

対立する意見を持つグループ同士がアプリ上で始めた争いが現実での事件に繋がる、というのはありそうなことだ。そこに何の関係もない現地の住人が巻き込まれたりすれば最悪である。

 

ARは現実とバーチャルを繋ぐ技術だ。これまでは表に出しにくかったものも、アプリ内では表現できるかもしれない。

ARアプリによって自由なキャンバスが生まれて意見を表明しやすくなるが、使い方を間違えればリアルで問題が起きる可能性もある。AR以外でも言えることだが、最後には技術ではなく利用者のモラルが試されることになる。

 

参照元サイト名:Quartz
URL:https://qz.com/1072528/the-next-trend-in-street-art-will-be-graffiti-in-augmented-reality/

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