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VRアートを守るためにブロックチェーン技術が使われる可能性

2017/10/19 14:41

彫刻家によるVRアート作品
彫刻家によるVRアート作品

彫刻家によるVRアート作品

硬貨や紙幣といった現物が存在しない仮想通貨では、誰から誰に支払いが行われたのか、金額はいくらだったのかといった取引の履歴をデータとして残し、追跡することが必要になる。Bitcoinなどの仮想通貨(暗号通貨)の信頼性を維持するために使われているのがブロックチェーン技術だ。

Bitcoinの成功を受けて暗号通貨の数が増加しており、仮想通貨を用いてBitcoinやその他の異なる仮想通貨を売買する市場が形成されつつある。こうした仮想通貨の流行を受けて、VRやARの世界でも仮想通貨を取り込んだサービスを構想・開発する企業が出てきている。

バーチャルアート作品を守るブロックチェーン技術

高額で取引されるバーチャルなアート作品も存在する

高額で取引されるバーチャルなアート作品も存在する

アート作品の価値

消費者向けに販売される一般的なVRアプリケーションやVRゲームであれば、高価なものでも1万円は超えない程度の価格だ。大型タイトルでも5千円程度のものが多く、各ストアやパブリッシャーの開催するセールを狙えば定価よりもかなり安く購入できることもある。

しかし、大衆への販売を前提としていないVRアート作品には非常に高い価格が付けられることもある。

その一例は、彫刻家のChristian Lemmerzが手がけた最新作『La Apparizione』だ。Lemmerzは通常大理石を素材として彫刻を作るアーティストだが、この作品では現実の大理石を使う代わりに最新の電子機器を用いた。VR空間に磔にされたイエスの姿を作り上げたのだ。

この作品はVRデバイスで再生可能なデータでありながら、数が制限されている。世界に5つしか存在しておらず、1つあたりの価格は約10万ドル(1,130万円)だ。個人のVRユーザが購入するのではなく、美術館で展示されることを想定した設定である。

海賊版の存在

VRアートと言っても、La Apparizioneはデータだ。石を彫って作られた彫刻と異なり、プロテクトがなければいくらでもコピーを作成することができてしまう。実際には作品を守るためにプロテクトがかけられているとはいえ、それを破ろうとする人間もまた存在する。

芸術作品の価値を守っているのは、その希少性だ。どんなに優れたVRアートであっても、データが複製されて無料で誰でも手に入れられるようになればあえて10万ドルを払おうという人はほとんど居ないだろう。大金を払わなくても同じものが手に入る上に、せっかく購入したデータが正規版ではない可能性すらあるのだ。

ブロックチェーン技術による対策

このデジタルデータならではの問題に対抗するのもまた、デジタルデータならではの方法だ。仮想通貨の信頼性を保つために利用されているブロックチェーン技術を使うことで、VRアートの価値を担保する方法が考えられている。

Bitcoinなどの仮想通貨の場合、特定の管理者が通貨の信用を守っているわけではない。中央にサーバを置く代わりに世界中に広がるネットワーク上に取引が記録されるのだ。ブロックチェーンによって取引履歴が保存されれば、そこで扱われているデータが本物であることが保証される。

管理者不在のシステムなので、VRアートを管理するために特別な手数料などが不要な点もメリットだ。仲介者が居ないことで、仲介者が攻撃を受けて取引が不可能になったりデータが改ざんされたりといったリスクも避けられる。

データを管理するためのブロックチェーン技術

画像データベースで使われる仮想通貨もある

画像データベースで使われる仮想通貨もある

画像データベースと仮想通貨

今年の夏には、画像データベースの管理にPIXという仮想通貨を用いるシステムも登場している。このシステムでは、画像認識用AIのトレーニングに使われる大量の画像のデータベースを管理者不在で管理することができる。

重要な役割を果たすのが、仮想通貨だ。PIXと呼ばれる通貨を使って、データベースを利用するデベロッパーからデータベースにコンピュータの処理能力を提供するマイナーへと支払いが行われる仕組みである。

デベロッパーが任意の方法でPIXを購入してデータベースを利用し、使用量としてPIXを支払う。画像提供者やデータベースの管理に処理能力を提供したユーザは報酬としてPIXを受け取り、任意の仮想通貨に換金するのだ。

ARアプリケーションでは、カメラの画像から周囲の状況を認識するためにAIが使われる。このシステムが上手く働けば高度な画像認識能力を持つARアプリケーションを開発するコストが小さくなるかもしれない。

管理者のいないVRサービス

さらには、管理者が存在しないVRサービスさえある。『Decentraland』がそうだ。

運営企業ではなくそれぞれのユーザがVRコンテンツやアバターを作成できる点では『Sansar』とも似ているが、ブロックチェーンの活用によって管理者を不要としているところがこのサービスの特徴である。

Sansarよりもさらに自由度が高く、VR空間に土地を購入したユーザはそこでVRアバターを売っても良いし、ネットショップのVR支店を開いても良いし、VRカジノを建てて金銭のやり取りをすることも可能だ。

Decentralandでは、発想を制限する運営・管理企業を廃したユーザの自由をもたらすためにブロックチェーンが使われている。

 

ブロックチェーン=仮想通貨技術というイメージが強いが、新しい仮想通貨を作る以外にもこの技術で可能になることがある。Bitcoinの後追いをするだけでなく、VRのような他の分野と組み合わせることでこの新しい技術を有効活用できるだろう。

独自の仮想通貨が増えて価値が乱高下している今だからこそ、独自性を持ったサービスを展開する企業が次の成功者になりそうだ。

 

参照元サイト:Singularity Hub


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