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ドーム型スクリーンを使ったVR体験の製作 - VR Inside

ドーム型スクリーンを使ったVR体験の製作

        2017/08/31

ドーム型スクリーンを使うVR体験

VRヘッドセットを使うVR体験ばかりではない

VRヘッドセットがバーチャルな世界をリアルに感じるための優れたデバイスであることは疑いようがない。VR映像に画面のフチ、現実との境界線を示すベゼルは無く、どこを見てもVR空間が広がっている。

だが、VRヘッドセットを使わずにVR体験ないしはそれに近い体験を提供することが可能な方法も存在する。プラネタリウムのようにドーム状になったスクリーンにVR映像を投影するのも方法の一つだ。

ドーム型スクリーン用のコンテンツ制作はVRヘッドセット向けのVRコンテンツを制作するのと似ているが、違うところもあるようだ。

ドーム型スクリーンのもたらす体験

VRヘッドセットを使うVR体験によく似た体験が可能なドーム型スクリーンを使う方法だが、良くも悪くも性質が異なる部分もある。

高い解像度

VRヘッドセットでも、より高い解像度によって現実との見分けがつかないほどリアルなVR体験を作り出そうという動きはある。

解像度だけに関して言えば、業務用では人間の目と同じレベルの解像度を持つディスプレイも開発が進められている。

現行ヘッドセットの70倍のピクセル数だというVarjoのディスプレイは業務用だが、他にもヘッドセットの解像度を上げようという取り組みは多い。

だが、映像を処理するGPUの性能やデバイス価格の問題から現行のVRヘッドセットで視聴できるVR映像の解像度には限界がある。

「観客の周囲180度を取り囲むスクリーンには、1フレームあたり最大2,500万ピクセルの映像が表示されます。このピクセル数は……一般的なHD映像はせいぜい2万ピクセル程度だと説明すればその解像度をイメージしていただけるでしょうか。

映像のリアルさでいえば、現行のどんなVRデバイスよりも優れていますよ」

そう語るのは、『Dirt Empire』のクリエイティブディレクターであり、『The Ark』の共同監督でもあるBobo Doだ。

曲がったスクリーン、歪んだ映像

ドーム型スクリーンの長所はVRヘッドセットには真似のできない高い解像度だが、画面が平面ではないという特徴もある。

この性質のために映像が歪んでしまうので、ジャンルによってはドーム型スクリーンに投影するのに適さないものも存在している。

「対話を中心とする従来の物語は論じるに値しませんでした。

ドームの曲面のために映像が歪められてしまいますし、我々にはキャラクターのアニメーションを制作する時間もお金もありませんでしたから」

Dirt Empireのエグゼクティブディレクター、The Arkの共同監督としてBobo Doとともに制作に携わったNicholas Rubinは語っている。

ドーム向けVRの問題

ドームに並ぶベンチ

ドーム型スクリーンの問題点は、スクリーンの湾曲によって映像が歪んでしまうことだけではない。

映像製作の難しさ

これはプラネタリウムの映像を作る場合にも同様だが、クリエイターが製作中の映像をプレビューするのが難しいという問題がある。

180度のスクリーンに展開される映像を従来の2Dディスプレイに表示すると、実際にドームで見た場合とは印象が変わってしまう。

この問題を解決するために製作者たちが取った方法は、VR空間にバーチャルドームを作ることだった。VRヘッドセットを使い、バーチャルなドーム内でプレビューを確認できる環境を構築したのだ。

視線の誘導

2Dの映画とVR映画の違いとしても挙げられることが多い、観客の視線を誘導する難しさもクリエイターを悩ませる。

演劇や映画では、様々なテクニックによって観客の視線を誘導し、重要な部分を見逃すことがないようにしている。だが、VRではこれらの確立された方法が使えなくなってしまう。

観客が一般的な映画を見るときのように正面ばかりを見ていれば周囲で起きたことを見逃すことがあり得る。

「座席を円形に配置してしまうと、今度は観客がどこを見ていいか分からなくなってしまいます。

キョロキョロしている間に重要な部分が過ぎてしまい、ストーリーを追うことができなくなりがちです」

とRubinは言う。

彼らは昨年もドーム型スクリーンを使った作品を製作しており、そこから得た最大の教訓は座席の配置に関するものだった。

「我々は、観客が立ったまま自由に向きを変えて作品を見るだろうと想像していましたが、そうはなりませんでした。

観客がドームに入ると、彼らは思い思いの位置で床に寝そべってドームを見上げたのです」

観客が勝手な場所で横になってしまうと、運悪く物語の重要な場所が見えないこともあるかもしれない。そこで、彼らは椅子を配置する方法である程度観客の見るものをコントロールすることにした。

全ての観客が同じ方向を向いているようにすることで、従来の視線誘導テクニックが使え、物語を展開しやすくなるという。

 

ドーム型スクリーンでのVR体験は、VRヘッドセットを使った場合と違ってユーザを孤立させない。自由に映像を止めたり巻き戻したりできないので、見逃しには注意が必要だ。

だが、高い解像度や共同体験として映像を視聴できることはメリットであり、作品のジャンルによってヘッドセットとの棲み分けが行われていくことが想像できる。

映像のクリエイターは、観客に見せたいものに合わせて視線を誘導するために彼らの座席を配置することになるだろう。新たな映像編集テクニックも発展するはずだ。

 

参照元サイト名:Forbes
URL:https://www.forbes.com/sites/sethporges/2017/08/15/how-vr-like-immersive-experiences-can-be-produced-for-real-screens/#2d9e1c0f3f3c

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。