VR Inside

VR/AR/MRの未来を創るビジネスニュースメディア

仮想通貨の高騰でVR向けのGPUが在庫切れに

2017/07/11 17:49

価値が高まるビットコイン

ビットコインを始めとする仮想通貨の価格が高騰している

ここ数週間で、中価格から高価格帯の高性能なGPUの在庫が市場から消えている。

こうしたGPUはVR映像を処理するゲーミングPCにも適したパーツだが、その原因はVR用PCを組み立てる消費者が増えたことでも、世界中が熱狂するようなPC用オンラインゲームが発売されたことでもない。

原因となっているのは、日本でも利用できる店舗が出てきたビットコインを始めとする仮想通貨価格の高騰である。

仮想通貨

ビットコインによる支払いのイメージ

買い物の支払いをビットコインで行うのも日常の風景になる?

特に知名度の高いものとしては、価格の高騰や不正な引き出しのニュースで良くも悪くも有名になってしまったビットコイン(BitCoin)があるが、仮想通貨はビットコインだけではない。

他にもEtheriumやZcash、Moneroといった仮想通貨が存在しており、価値が高まると信じてこれらに投資を行っている投資家もいる。

仮想通貨の価値

通貨が交換のための道具であることを考えれば当然だが、お金の価値はいつも同じとは限らない。1円はいつでも1円の価値を持っているが、1ドルが何円に相当するかは政治情勢やマーケットの思惑によって変化する。

仮想通貨も同様で、1単位の価値は常に変動を続けている。そのため、安いときに買って高いときに売れば仮想通貨の売買で利益を出すことも可能だ。

このあたりは外貨への投資と同様である。

仮想通貨の採掘

お金を手に入れる方法の基本は、何かと交換で他人からもらうことだ。仮想通貨がほしければ、お金を支払って仮想通貨を購入することができる。

だが、最初の一人が仮想通貨を持っていなければ購入することもできなくなってしまう。どこかで仮想通貨が作られているはずだ。

各国の通貨はそれぞれの政府が価値を保証して発行されているものだが、ビットコインはどこから生まれるのだろうか?

仮想通貨は特定の機関が発行するものではなく、世界中で「採掘」されている。VRゲームに適したGPUが市場から消える原因となってしまっているのが、この採掘だ。

鉱山を掘ることになぞらえてマイニング(採掘)と呼ばれているが、肉体労働をして仮想通貨を手に入れるわけではない。マイナーが実際にやることは、高性能なPCに複雑な計算をさせながら放置しておくだけである。

GPUが消えたわけ

NvidiaのハイエンドGPU

VRゲームにも仮想通貨のマイニングにも適した高性能GPU

マイニングには、CPUの処理能力を使って行う方法とGPUの処理能力を使っておこなう方法がある。高性能なGPUは特にこの作業に適しているため、ゲーマーではなくマイナーへの需要が生まれたのである。

最近では仮想通貨の価値が高騰しているため、「高価なGPUを買っても採掘した仮想通貨で元が取れる」状況が生まれて需要が拡大した。

GPUの消失

仮想通貨の価値が低ければ、高価なGPUを買って採掘しても元を取るまでに気の遠くなるような時間がかかってしまう。しかし、仮想通貨の価値が上がれば短い時間で投資以上の価値を生むことが可能になる。

特に最近の値上がりが大きかった通貨は、Etheriumだ。この通貨の価値が高騰したことで、マイナーに評判の良かったAMDのGPUが店頭から姿を消すことになった。小売店からRX 580を搭載したカードの在庫がなくなってしまったのだ。

NvidiaのGeforce GTX 1050、1080といったハイエンドGPUも同様で、供給量を遥かに上回る需要が生まれていた。

マイニング用GPU

GPUメーカーは、この問題を緩和するための対策を取っている。それは、マイニングに最適化されたハードウェアを開発するという方法だ。

まだ需要に追いつくほどの供給はできていないが、マイナーたちが専用のパーツを購入するようになればVR向けのGPUが市場に帰ってくるかもしれない。

バブルは崩壊する

アナリストたちが指摘しているのは、仮想通貨の価値が上がりすぎている点だ。仮想通貨の価値を担保するものはなく、一時のブームで価格が高騰すればどこかで大きな下落が訪れることが考えられる。

時期は不明だが、仮想通貨バブルが崩壊すればGPUの需要は元に戻るだろう。

そのときに気をつけなければならないのが、マイニング用に設計されたハードウェアが市場に流出することだ。

利益が出ないとなれば、マイナーは廃業である。仮想通貨に見切りをつけたマイナーたちが、採掘に使っていた大量のGPUを安価に手放すことが考えられる。

供給過剰となった中古GPUは特価品として販売される可能性があるが、VR用PCを組み立てるパーツとしては適さない。そもそもマイニング用として作られているので、同クラスの一般的なGPUに比べてVR映像のレンダリング性能は低いと考えられる。

 

VRゲームやPCゲームのために高性能なGPUを購入したいユーザは、在庫切れやプレミア価格のために再入荷を待つことしかできない状態だ。

GPUメーカーによるアルゴリズムの改良やVRヘッドセットメーカーのソフトウェア的な工夫によって、比較的性能の低いGPUでもVR映像の処理が可能になってはいる。

だが、長くVR用PCとして使うためにはなるべく高性能なパーツを選んでおきたい。

高性能GPUの購入を考えているユーザは、仮想通貨市場の動向にも注目する必要がありそうだ。

なお、日本は世界的に見るとパソコンを常時起動させておくための電気代が高く、仮想通貨のマイニングで利益を得るのが難しい環境だとも言われている。

そのためか、GPUの在庫は比較的豊富なようだ。

 

参照元サイト名:VR Focus
URL:https://www.vrfocus.com/2017/07/cryptocurrency-miners-causing-vr-ready-graphics-card-shortage/

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

最新ニュースを読む