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ブロックチェーンを活用した究極のユーザー主導VRソーシャルコンテンツ「Decentraland」とは何か?

2017/07/31 16:01

海外メディアVRScoutは、ブロックチェーンで運営するVRソーシャルコンテンツ「Decentraland」を紹介した。

ユーザーが全てを決める「Decentraland」

現存するVRソーシャルコンテンツには、当然ながら管理運営する会社が存在する。ユーザーは、運営会社が決めるルールにしたがい、VR空間で過ごす時間を楽しむ。運営会社が収益をあげる方法は複数考えられるであろうが、運営会社が運営を続行できなくなった場合、運営されていたバーチャルコンテンツは消滅するだろう。実際、最近ではVR元年から存在していたVRソーシャルコンテンツ「AltspaceVR」が、運営会社が資金調達に失敗して閉鎖された

本記事で紹介するVRソーシャルコンテンツ「Decentraland」には、運営会社が存在しない。同コンテンツのユーザーは、一切のルールを課されることがなく、完全に自由にプレイできる。もし何らかのルールが必要になったとしても、あくまでユーザーどうしが取り決めればよいのだ。また、運営会社が存在しない以上、AltspaceVRのように、運営会社の都合でサービスが打ち切られることもないだろう。

同コンテンツが提供する「自由」には、バーチャル空間内でVRオブジェクトやVRコンテンツを制作することも含まれている。VRカジノを使って、ユーザー間で金銭を賭けてもよいし、VRオブジェクトを制作して売買していもよい(以下の動画参照)。

荒唐無稽にすら聞こえる以上のような「Decentraland」の存続を技術的に支えているのは、現代において最も注目すべきテクノロジーのひとつであるブロックチェーンだ。

分散型ネットワーク「ブロックチェーン」とは何か?

ブロックチェーンとは、分散型ネットワークを構築するテクノロジーである。同技術は、すでにビットコインをはじめとする仮想通貨の運用に応用されている。

ビットコインは、特定の政府が発行した貨幣ではない。通常の貨幣の価値は、その貨幣を発行する政府の信用度によって決まる。対して「価値の保証人」がいないビットコインの価値は、ネットワーク上で実行された取引のすべてを記録した台帳によって保証されている。ユーザーは、取引のたびにこの台帳を参照して取引の健全性を確かめるのだ。それでは、この台帳を更新するのは誰なのか?

台帳の更新を決定するのが、マイニングという処理である。マイニングとは、高負荷の計算をコンピュータに実行させる処理のことである。この計算を最も早く完了したユーザーが台帳を更新する権利を得るとともに、マイニングを実行した見返りとしての報酬を得る。このマイニング処理を高負荷に設定することによって、ビットコインの取引の改ざんを困難にしているのだ。

正確に言えば、ビットコインとブロックチェーンは同義ではない。ビットコインは、あくまでブロックチェーンの有名な応用事例に過ぎない。実のところブロックチェーンは、ビットコインのほかにもすでに様々な業界でその応用が模索されている。

例えば、ブロックチェーンを応用したクレジットカード決済が実現すれば、運営会社は維持管理費がほぼゼロになるので、ユーザーは年会費を払わなくてよくなるだろう。

運営企業が管理しない「Decentraland」

完全なユーザー主導というDecentralandの特徴は、以上のような分散型ネットワークを実現するブロックチェーンを使って運営することによって実現する。

Decentralandの開発を率いているEsteban Ordano氏「は、同コンテンツに関して以下のようにコメントしている。

Decentralandの特筆すべき特徴は、ブロックチェーンに基づいたバーチャルな土地の分散的な管理にあります。

...Decentralandでは、いかなる検閲もルールの改変も存在しません。

いったんバーチャルな土地を購入してしまえば、ユーザーはその土地で何をしようと構いません。中央集権的な組織あるいは会社が、あなたの土地の所有権およびその土地で行ったことに関して、変更を命じるようなことはないのです。

Decentralandを始めるには

以上のコメントにあるように、同コンテンツの基本的なプレイは、まずバーチャルな土地を購入することから始まる。バーチャルな土地を購入したユーザーは、自分の土地内で自由に振舞うことができる。カジノを作っても構わないし、VRオブジェクトを作って販売していもよい。

このバーチャルな土地を購入するのに、ブロックチェーンが応用された仮想通貨を使うことになる。ユーザーは、最初に自分の土地を購入するのに、同コンテンツ内で通用する仮想通貨「MANA」を1000ポイント購入する。

すべてのプレイの基本となるバーチャルな土地を仮想通貨で購入することこそ、同コンテンツが管理者不在で存続できる理由があるのだ。

Decentralandで何ができるか?

購入したバーチャルな土地で、ユーザーは具体的に何ができるのか。

ユーザーには、VRオブジェクトおよびVRコンテンツを開発するための同コンテンツ専用のゲームエンジンが配布される。このゲームエンジンは、Unityをベースにしているため、現在体験できるVRコンテンツに近いものをほぼ全て開発できることになっている(以下の動画参照)。

以上のようなDecentralandを、簡潔に表現するならば「ブロックチェーンを使った何でもありのVR版Sセカンドライフ」であろうか。なお、同コンテンツの土地購入の開始は、2017年8月8日から16日の期間を予定している。

ブロックチェーンで運営するVRソーシャル空間「Decentraland」を紹介したVRScoutの記事
https://vrscout.com/news/decentraland-metaverse-blockchain/

Decentraland公式サイト
https://decentraland.org/

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com

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