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イルカと泳いで精神疾患を治療するVRドルフィンセラピー『Dolphin VR』

Dolphin VRイメージ画像
Dolphin Swim Clubは先月、VRを通じてイルカと触れ合える医療用VR『Dolphin VR』を発表した。

VRヘッドセットにスマートフォンを装着して潜水すると、野生のハンドウイルカなどの遊泳している様子をVR映像で視聴できる。

Dolphin Swim Clubによれば、イルカの映像を視聴することにより、不安障害やうつ病に対して効果を発揮するセラピー治療が行えるという。

紅海で撮影したイルカの映像を使用

Dolphin VRに使用されている映像は、360動画制作スタジオViemrと協力して撮影したもの。

2015年の12月にViemrが優秀なダイバーを使い、イルカの生息する紅海で10日間に渡って撮影をおこなったようだ。

動画を見ると分かるように、Dolphin VRの動画では群れとなって泳ぐハシナガイルカやハンドウイルカの様子を視聴できる。ユーザーはDolphin VRを使うことにより、実際にイルカの生息地帯まで足を運ばずとも、イルカとともに泳ぐ経験ができる、というわけだ。

うつ病や不眠症の改善に効果のあるドルフィンセラピー


Dolphin Swim ClubはDolphin VRを医療目的のVRコンテンツだと位置付けている。

Dolphin Swim Clubは、Dolphin VRを患者とイルカが触れ合うことにより精神疾患を治療する「ドルフィンセラピー」が、実際に患者に対してセラピー効果を持つことを「British Medical Journal」に掲載された論文などを引き合いに出して紹介している。

そして彼らは、ドルフィンセラピーにはうつ病や不眠症などを改善に向かわせる効果があると主張しているのだ。

しかし既存のドルフィンセラピーには問題点があると指摘しする。それは、ドルフィンセラピーの最中にはイルカを人間による管理下に置かなければならないということだ。

Dolphin Swim Clubは、今日イルカに一定の社会的知性が存在することは広く認められており、そのためドルフィンセラピーの際にもこうした点に十分な配慮がなされなければならないと主張する。

そこで活躍するのがVRというわけだ。イルカの映像をVR化すれば、体験者は実際にイルカと泳いでいるかのような高い没入感を得るが、一方で、当然だがセラピー中に本物のイルカを拘束することは一切ない。

VRが、ドルフィンセラピーの既存の問題点を解決するというわけだ。

医療機関からも高い注目を集めるDolphin VR

Dolphin VRの具体的な治療効果については詳細は公開されておらず、不明のままだ。

ただしその一端をうかがい知ることはできる。

たとえばDolphin Swim Clubのポリシーアドバイザーを務めるJohan Elbers氏はAFPの取材に、Dolphin VRの体験者のうち82%が精神をリラックスすることができた、と語っている。

また、水中ではなく陸上で体験する「ドライバージョン」のDolphin VRは、現在150を超える病院や大学で導入されており、医療機関からも高い注目度を集めている事がわかるだろう。

セラピー効果については慎重に判断すべき?

ただし、ドルフィンセラピーの持つ効果についてはいくつかの疑念も提示されており、その点には注意すべきだ。

Psychology Todayなどが指摘するように、ドルフィンセラピーは最低限求められる医学的効果を満たしていない可能性があることが複数の研究結果によって指摘されているのだ。

Dolphin VR自体は興味深い試みといえるが、効用については慎重に判断したほうが良いだろう。

参考URL:
Dolphin Swim Club, VRSCOUT

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池谷 翼


大学では社会学を専攻してました。先端情報技術と社会の関わり合いに興味があり、個人的に調べています。

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