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完成度の高いVR用スタイラス「Drawboard Pen」発表

スタイリッシュなDrawboard1Pen
スタイリッシュなDrawboard Pen

VRスタイラスの新標準に?

VRの定番用途となっているVRゲームを遊ぶなら、多くのVRヘッドセットで利用できるそれぞれのハンドトラッキングコントローラー(HTCワンド、Oculus Touch、PS Move)やゲームパッドを使う方法がある。ハンドトラッキングコントローラーを使った操作は手で直接触れる感覚に近いため、VRアートの制作にも適した方法だ。

だが、より精密な作業を行うためには別のコントロールツールがほしいと感じることがあるかもしれない。新たに発表されたVR用スタイラス「Drawboard Pen」はVRゲーム向けのコントローラーではないが、VRをワークスペースとして活用するユーザの求める機能が搭載されている。

ペンとVR用コントローラーの融合

シンプルなDrawboard Pen

シンプルなDrawboard Pen

人間にとって非常に身近な道具である「ペン」。最近ではパソコンやタブレット端末の普及によってアナログな筆記具を使う機会が少なくなっているが、広い意味でのペン(石の壁に別の色の石をこすりつけるようなものも含む)は数万年前から人類とともにある道具だ。

現在の形になったいわゆるペンだけを見ても、5,000年前に文字が発明された頃には登場している。それ以来、ほとんど形を変えないまま人類の文化・文明とともに続いているのがペンの歴史である。

そんな便利なツールをVR空間でも使えるようにしたものが、Drawboard Penだ。

VR用コントローラーとしてのペン

VRゲームに適したハンドトラッキングコントローラーには、ある欠点が存在している。コントローラーを利用するには、腕を空中に伸ばしていないといけないのだ。

そのため、ペンや筆のようにテーブルの上で細かな動作をするのは難しい。また、コントローラーは重量もあるので長時間使っていると疲れてしまいがちだ。

Drawboard Penは、こうしたコントローラーの苦手とする状況で使われることを想定したツールである。

ペンの精度で使えるスタイラス

Drawboard Penが目指しているのは、VR空間をワークスペースとして使うことができるだけの高い精度を提供することだ。

VR空間で文字を書いたり、絵を描いたり、あるいは3Dオブジェクトを引っ張ったりといった操作をするときに、一般的なペンのように簡単に扱えるツールとなっている。テーブルや壁、あるいは床の平らな面をキャンバスとしてDrawboard Penを使うことが可能だ。

しかも、小型でありながら長時間の作業にも耐える長寿命バッテリーが搭載されているという。正確な仕様が発表されていないのでバッテリーの持続時間については不明だが、実際の使用感を決める重要なポイントだ。

Drawboard Penとワークスペースの機能

Windows MRまたはPC用VRヘッドセットに対応

VRヘッドセットではLeap Motionセンサーが必要になる

Drawboard PenとDrawboardのソフトウェアが実現するワークスペースは、次のような特徴を備えている。

Drawboard Penの機能

  • ・高精度のトラッキング
    6軸の移動と回転を誤差1mm以下の高精度でトラッキング。2D/3Dの作業に対応する。
  • ・筆圧検知
    空中で使うことが前提のハンドトラッキングコントローラーと異なり、512段階の筆圧を検知できる。VRアートの新たな表現が可能に。
  • ・物理ボタン搭載
    本体の軸に搭載されたボタンは、ユーザがアプリや使用目的に合わせて消しゴムやアンドゥなどの機能を設定できる。
  • ・超低レイテンシ
    正確な秒数は不明だが、遅延は非常に小さいとされている。
  • ・USB充電
    電池を交換しなくても、パソコンのUSBポートからすぐに充電できる。
  • ・交換可能な0.7mmのペン先
    ペンタブレットのように、すり減ったペン先の交換が可能。常に良い状態で作業できる。
  • ・触覚フィードバック
    詳細は不明だが、おそらくは振動によるフィードバックが得られるようだ。

Drawboardワークスペースの機能

  • ・ウェブ経由での共有
    3Dまたは2Dのプロジェクトをウェブ経由で他のメンバーと共有・保存可能。
  • ・複数ファイル形式への対応
    画像、3Dモデル、PDFなどのファイルをワークスペースにインポート可能。
  • ・Drawboard Penのジェスチャーサポート
    ペンのボタンとトラッキングに操作を割り当てられる。
  • ・アンドゥ&リドゥ
    デジタルワークスペースなので、元に戻す/やり直しを実行できる。
  • ・任意の形式でエクスポート
    Drawboardワークスペースの専用形式ではなく、任意の形式で書き出すことができる。VRデバイスを持たないメンバーとも共有可能だ。
  • ・自動保存
    作業中の状況が自動保存されるため、アプリのクラッシュでデータを失うことがない。
  • ・無限のキャンバス
    バーチャルなスペースなので、必要に応じて作業領域を広げられる。

対応デバイス

Drawboard Penとワークスペースを利用するには、対応するヘッドセットが必要になる。

Windows Mixed Realityに対応したヘッドセットの場合は、本体に内蔵されたセンサーでDrawboard Penを利用可能だ。HTC ViveやOculus Riftを使うなら、ペンをトラッキングするためにLeap Motionセンサーを使う。

他社のVR/MR用スタイラス

マイクロソフトが特許を取得した「ARインプットデバイス」

マイクロソフトが特許を取得した「ARインプットデバイス」

Drawboard以外にも、VRアートの制作やデジタルワークスペースでの作業を効率化するような入力デバイスの開発を行っている・行っている可能性がある企業は存在する。

HoloLens用スタイラスペン?

今年の夏には、マイクロソフトが謎のAR用インプットデバイスの特許を取得したことが伝えられている。詳細は不明だが、HoloLensやWindows MRヘッドセットで利用可能なスタイラスペンというのは説得力のある意見だ。

判明しているのは形状のみで、その機能や大きさは不明だという。トリガーのようなボタンがあることやリング状になった部分があることから、指先で保持できるような小型のレーザーポインタライクなデバイスということも考えられる。

低コストなDodecaPen

先月紹介したDodecaPenは低コストと高い精度を両立していることがウリのスタイラスペンだ。カメラを1台しか使わない方式にも関わらず、誤差0.4mm以下という高精度を実現している。

認識速度が遅い・暗い場所で精度が落ちるという欠点は伝えられているが、Drawboard Penと同様に机などの平面に押し付けてペンのように使うことも、空中に文字を書くこともできるデバイスだ。

トラッキングの基本、Vive Tracker

他のアプローチとして、Vive Trackerを搭載したスタイラスを使う方法も存在する。

トラッキング精度がVive TrackerレベルになってしまうのでDodecaPenやDrawboard Penに比べて描かれる線の正確さ・安定感では劣るが、Trackerの普及具合によっては文字入力の代替手段として使われるかもしれない方法だ。

VRがワークスペースに

ハンドトラッキングコントローラーを使ったVRゲームが増加する一方で、VRアートに使えるような高精度のトラッキングが可能なコントロールデバイスは不足していた。Vive Trackerを使うもの3Dプリンタを活用したDodecaPenなどVR用スタイラスも研究はされているが、まだ完成型からは遠い。

そんな中発表されたDrawboardは、6ヶ月に渡って密かに開発を進めてきたワークスペースだという。Drawboard Penの発売は来年の早い時期とされており、公式サイトからは予約購入の申し込みも可能だ。まだ価格や詳細な仕様が発表されていない段階ではあるが、動画を見るとホワイトボードなどに近い感覚で文字を書けるのではないだろうか。

VRアートの制作やバーチャルワークスペースの構築に使う高精度のスタイラスとしては本命の一本である。

 

参照元サイト:Drawboard

Oculus Researchが高精度かつ低コストなVR用スタイラス「DodecaPen」を研究 | VR Inside


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