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スウェーデンの家電メーカーElectrolux、工場向けのメンテナンス用ARソリューションを提供

エンタープライズ分野において、ARスマートグラスは活用の可能性が大きく、現在様々な企業がARを事業に活用する取り組みを進めている。

ARスマートグラスが活躍できる領域の一つに、工場内での作業が挙げられる。工場内に設置されている機械や設備が故障した際、多額の修理費がかかるだけでなく、遠隔地から専門家を呼んで修理を行う必要があるため、時間もかかる。

スウェーデンの家電メーカーであるElectrolux社はこのような問題の解決に取り組んでおり、ARスマートグラスを取り入れた工場内設備のメンテナンス用ソリューションを提供している。

概要

工場内設備のメンテナンスにスマートグラスを活用

同社が提供するサービスはARスマートグラスと専用のソフトウェアを組み合わせたもので、現在ヨーロッパ、中東、アフリカ地域の16の工場において、同社のサービスが採用されている。

ARスマートグラスを用いることで従来のメンテナンスにかかる時間を削減し、工場の生産性を維持することを可能にするものだ。

専用のアプリを開発

同社が展開するサービスで使用されるスマートグラスに関しては、どのような機種が使われているのか不明だ。しかし同社は「Tempestive Reamplia」というアプリケーションを展開している。

本アプリはARスマートグラスを連動して使用するもので、遠隔地にいるエキスパートのエンジニアと容易に協働することができる。

ARを活用したメンテナンス

ユーザーは故障した機械に関する情報を、スマートグラスのカメラを通して遠隔地にいる専門家に直接、視覚的に伝えることができる。そして、専門家はトラブル解決策や、必要な指示などを相手側のスマートグラスにAR表示するという仕組みだ。

これによって、問題の原因や解決策を、ARを用いることによって従来よりも素早く見つけることが可能になる。また、容易に解決できるトラブルのために、遠隔地から専門家を呼ぶ必要もなく、時間的、経済的コスト削減にもつながる。

また、直接専門家とやり取りする以外にも、アップデートされた指示書や注釈付きの画像、技術に関する書類などにスマートグラスからアクセスすることができる。

ARスマートグラスが工場内作業にもたらすメリット

Electroluxの副社長であり、同社のIndustrial Operationsおよびヨーロッパ・中東地域担当のCarsten Franke氏は以下のように述べている。

デジタル化は我々の職場環境をハイスピードで変えつつあり、これは企業に新たな価値や、アドバンテージをもたらすものです。この(ARという)技術を用いることで、現場業務に従事する作業員はハンズフリーで、問題をすばやく、容易に、ミスなく把握することができます。これによってコスト削減や、遠隔地から専門家を招く必要がなくなり、時間を節約するとともに、失敗の確率を下げることができます。

様々な分野で活用が見込まれるスマートグラス

ARは徐々に普及しつつあり、これから様々な分野において大きな変化をもたらす可能性のある技術だ。

現在、「Vuzix M300」などのエンタープライズでの利用に対応したスマートグラスや、先日アップデート版が登場したグーグルグラスのように、エンタープライズ分野での使用に特化したARデバイスが複数登場している。

将来、医療や建築、工場内作業などの様々な分野において、スマートグラスを装着するのが当たり前になる日が来るのかもしれない。

エンタープライズでARデバイスを活用する事例

3Dデータ共有

マップや建築物の3DデータをARによって表示する「HoloMaps」は、エンタープライズ向けのサービスだ。

建築物やマップ、それに関する情報などを3Dデータ化して表示することが可能で、またこれらのデータを複数人で共有することもできる。

マップの表示はカスタム可能で、マップのカラーや透明度、スケールなどを自在に変えることが可能で、重要な箇所や気になる部分にはメモを添えたりハイライトを付けたり、3Dのインクで書き込むこともできる。

HoloLensを活用したサービスを実用化する取り組みは様々な企業が行なっているが、TaqtileはHoloLensを用いたサービスを実用化した数少ない企業のうちの一つで、アリーナデザインの3Dデータやゴルフコースのツアー紹介プロジェクトなどを行なっている。

参考:Taqtileが提供する、ARを活用したマップサービス「HoloMaps」とは

医療での活用

ロンドンの病院では、腹腔鏡手術(内視鏡を腹部に挿入して行う手術)を行う際に、マイクロソフトのARデバイス「HoloLens」を導入している。

手術現場でHoloLensのようなARデバイスを用いるメリットとして、まず手術時に必要となる情報を手術台から離れずに確認することができる。さらには、患者の幹部の様子を3Dオブジェクト化し、AR表示することで手軽に確認できるという点も挙げられる。

そして、同病院にHoloLensを導入した大きな理由として、手術室から遠く離れた医師たちのアドバイスを、リアルタイムで受けることができるという点だ。

医師たちはHoloLensを装着することで、たとえ手術室にいなくても相対的な立ち位置がトラッキングされているので、まるで同じ手術室で一緒に手術に臨んでいるかのような体験が可能になる。

参考:HoloLensを使えばイギリス、インド、アメリカの医師が協力してリアルタイムに手術することができる

バーチャル店員

ドイツの家電量販店Saturnは、同社が運営する量販店に「バーチャル店員」を配置するという、実験的な接客サービスを行なっている。

ユーザーはHoloLensを装着して、バーチャル店員「ポーラ」のインストラクションにしたがって、たとえば商品の説明やエスコートなどのサービスを受けることができる。また、記念写真の撮影にも応じてくれるという。

現時点ではまだ実験的な取り組みだが、スマートグラスの性能の向上やAIアシスタントの普及によって、ホログラムの店員やバーチャル上のキャラクターのサポートを受けながら買い物をするという光景は、将来普通のものになるのかもしれない。

参考:ホログラムの「バーチャル店員」が来客をエスコートするサービスが登場

参照元:VRFocus Electrolux Turns To AR For Factory Maintenance

daisuke


ライター兼翻訳家。2016年12月にプレイステーションVRを体験したことをきっかけにVRに関心を持つ。ARやドローン、AIなどの先端テクノロジー全般に興味があり、SF化する世の中にワクワクしています。

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