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「リアルVR脱出ゲーム」も計画、没入感のあるエンターテインメントとVRの融合

2017/04/09 19:30

    没入型ドライブイン

    最近では、娯楽は好きなときに好きな場所で楽しめるようになっている。CD、漫画、そしてテレビゲームといったメディアを使った娯楽は自由に楽しめるのが利点だが、演劇やコンサートのようなライブ感のあるエンターテインメントには独特の楽しさがある。

    そうした生で楽しむ娯楽の中でも没入感が高いものが脱出ゲーム(リアル脱出ゲーム)だ。ゲームが開催される施設を訪れたゲストは1時間で50ドルもの料金を払い、他の参加者と協力して難解な謎に挑む。謎を解けば次の謎が提示され、最終的に全てをクリアして施設からの脱出を目指す。

    簡単に言ってしまえばクイズゲームなのだが、これが人気となっている。日本でもテーマパークの期間限定アトラクションとして採用されたり、人気のエンタメ作品とコラボして話題になることがある。料金は公演ごとに異なるが、やはり3000円程度は覚悟しておかなければならない。

    この脱出ゲームの人気によって、ライブシアターやVR体験は新たなユーザを獲得しているという。

    没入型エンターテインメントの転換点

    観客が舞台にいる

    Michael Countsは、没入型のエンターテインメントが転換点に達したと考えている。

    「私たちは、体験するエンターテインメントという産業の始まりを見ているのです」

    『Sleep No More』はまさにその転換点だ。このエンターテインメント作品で、観客はもはや舞台を客席から眺めるだけの存在ではなくなる。

    観客は顔を隠すマスクを着用し、上映時間の間何も話してはいけない。代わりに、自由に舞台となる建物の中を歩き回ることが許される。観客の側から演者に触れてはいけないが、彼らが観客に触れることはあるという。

    作品はチェルシーにある古いホテル(という設定の、古い倉庫を改装した建物)の中で複数の階に渡って演じられる。建物の中では複数の人物がそれぞれに登場キャラクターを演じており、観客は思い思いの場所から彼らの演技を見たり、あるいは見なかったりすることができる。

    作品の中に入り込んで自由に動くことができる、VRのようなリアル演劇と言えるだろう。この作品はイギリスからアメリカへ渡り、2011年に絶賛されて以来人気となっている。

    Countsは、こうした没入型エンターテインメントの先駆者的存在があのウォルト・ディズニーだと指摘する。Countsによれば、ウォルト・ディズニーは「人々が映画の世界に入り込むことを望んでいると気づかせた最初の人」だという。彼は、彼の持つビジョンを達成するために持っていた技術を使用してディズニーランドを作り出した。

    没入型ドライブインシアターの構想

    Countsは次のプロジェクトとして没入型のドライブインシアターを構想している。この施設では、1964年の夏、夜にドライブインシアターを訪れたような体験を提供する予定だ。

    ホットドッグやコーラを持って、女友達と一緒にクラシックカーのシートに座る。自然が多いので、あたりにはホタルが飛んでいる。大画面で古典映画を上映することもできるし、人気のSF作品を上映することもできる。

    快適な自宅のシアタールームや、座席が動くギミックのある最新の映画館とは全く異なる体験ができるだろう。

    リアル空間を使ったVR脱出ゲームの計画

    Countsがリアルの世界でVRのように自由に動き回れるエンターテインメントを作ろうとしている一方で、VRを取り入れて脱出ゲームを作っているクリエイターもいる。元コンピュータプログラマーのAli Kahnと、彼の妻Samrienがそうだ。彼らはパズルへの情熱が昂じてVRを取り入れた脱出ゲームを作るに至った。

    彼らの脱出ゲーム『Tick-Tock Unlock』はマンチェスター、グラスゴー、リバプール、リーズで成功を収めた。この脱出ゲームにはHTC Viveが使用される。VR空間には「ゲームマスター」が存在し、脱出ゲームの謎解きに意味や文脈を与えてより物語性のあるゲームにしてくれる。

    Viveを使っているのでヘッドセットはコンピュータと有線接続されているが、ユーザは室内を自由に移動して怪しいものを調べることが可能だ。VR空間に互いの姿が表示されるので、他の参加者とぶつかってしまうこともない。

    彼らの『Hyper Reality Experience』は今月22日にオープンする予定だ。今年の後半にはロンドンで完全版の(無線化された)体験を提供するべく、協力しているゲーム開発者とともに資金を集めている最中だという。

    『Hyper Reality Experience』には二つのVR体験が用意されている。剣と魔法のファンタジーと、第二次世界大戦のシューターだ。

     

    VRゲームとしても、脱出ゲームは複数販売されている。VR空間を舞台とした脱出ゲームでは、現実では作れないような危険な舞台や豪華な空間を用意できることが利点だ。VRというメディアの没入感の高さゆえに、PCベースの脱出ゲームよりもその世界を強く感じられる。

    一方で、他の参加者と協力しながら謎を解くという生のエンターテインメントならではの参加要素はない。VRゲームなのでインタラクティブ性はあるものの、ここがリアル脱出ゲームとの違いだ。

    コンピュータゲームの経験をリアルへ、リアルの体験をコンピュータへ。二つを組み合わせることで、ライブエンターテインメントがさらに成長しようとしている。

     

    参照元サイト名:Forbes
    URL:https://www.forbes.com/sites/charliefink/2017/04/04/the-disneyland-of-vr-escape-rooms/#3bf10675652c

    参照元サイト名:Sleep No More
    URL:http://sleepnomorenyc.com/#share

    参照元サイト名:Tick-Tock Unlock
    URL:https://www.ticktockunlock.com/

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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