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VRで教育はどう変わる?1,300人以上の生徒を対象にした調査結果

2017/11/21 17:10

VRを教育に導入すると?

VRを教室に導入してみた結果は?

日本ではVR技術の教育への利用がまだ進められていないが、国や地域によっては早い時期から教室でVRデバイスを活用することが考えられている。そのときに問題となるのが、VRの導入を検討しようにもその効果を検証できるようなデータがないことだ。

試験事例は小規模なものや短期間のものに限られており、本格的にVR技術を導入することで学校教育がどのように変化するのか(あるいは変化しないのか)を考えるにはデータが不足している。

ワシントン州シアトルで教育を研究するfoundry10がまとめたレポートは、教育とVRの関係を考える上で参考になるかもしれない。このレポートの元となっている調査は、1,300人以上の生徒を対象とした比較的規模の大きなものだ。

調査について

対象となった生徒の情報

98%がアメリカまたはカナダの学生だ

対象生徒

foundry10が行った調査では、なるべく多くのデータを集めるために1,351人をターゲットにしている。この種の調査としては大規模なものだが、foundry10がシアトルを拠点としていることからほとんどの生徒はアメリカまたはカナダ在住だ。

全体の85.6%がアメリカ、12.5%がカナダ、そして残りの1.8%がそれ以外の国の生徒となっている。学年は6年生から12年生(11歳から17歳。中学入学から高校最終学年まで)と幅広いが、中心となっているのは7年生と8年生(12歳と13歳)だという。

性別は半数が男子、3分の1が女子、残りの6分の1は不明(未回答)だ。

決定方法

学校教育におけるVRの利用に関する調査を行うためには、学校や教師の協力が不可欠だ。そこで、foundry10では同団体に参加している、繋がりがある教師の中でVRを使った教育に関心があるメンバーを選んでいる。

協力者たちのおかげで、彼らは世界中にある40箇所の学校やコミュニティセンターでVRを試してもらうことができた。その用途は科学や歴史の学習からVRアートの制作まで幅広い。

生徒たちの反応

生徒たちはVRをどう使う?

VRはどのように使われたのか

コンテンツを消費するか、創造するか

どのようなメディアであっても、消費するのと創造するのは異なる。ただ消費者としてVRコンテンツを利用するのではなく、クリエイターとしてあるメディアと付き合っていくならばそこから学べることは多いはずだ。

VRコンテンツを開発することで、3DCGやプログラムといったコンピュータ関連の技術を学ぶことができるかもしれない。あるいは、映像制作の技法や脚本を書くことに興味を持つこともあるだろう。

VRコンテンツを作るのは難しい?

VRを実際に体験する前と後を比較すると、体験前には28%が消費者、8%がクリエイター、64%がその両方としてVRを利用したいと答えていた。しかし、体験後にはそれぞれ38%、7%、55%と変化する。

クリエイターとして(も)VRに関わりたいと考える生徒が減る理由としては、VRコンテンツの開発が難しいことが挙げられる。元からコンピュータ関連の仕事やゲーム開発をしたいと考えている生徒でなければ、自分には無理だと考えてしまうかもしれない。

だが、彼らはVRコンテンツを作ることへの興味を失ってしまうわけではない。若い世代にも扱いやすい開発ツールが登場すれば、彼らの想像力を発揮することができるようになるだろう。

子供でなくても、特殊な知識を要求するVRコンテンツの開発は難しい。開発ツールの進化はVRクリエイターを増やし、業界の発展に繋がるはずだ。

生徒が利用したい科目

VR技術は幅広い用途に利用できるため、教育の分野に限ってもどの科目でVRを使うべきなのかが分かっていない。今回のレポートによれば、VRにより適しているのは概念を扱う科目ではなく実在する事象を扱う科目のようだ。

VRを使って科学を学ぶことには44%、歴史を学ぶことには38%の生徒が興味を持っているが、数学や芸術になると3%に低下する。英語を学びたいと答えた生徒も12%だ。

教室でVRを使うなら、科学実験をVR空間で行う、異国の歴史をバーチャルトリップで学ぶといった用途がインパクトも強くて有効なのかもしれない。上手く使えば、生徒の関心を惹くことができるだろう。

 

foundry10の2つのレポートでは、他にも多くの項目に関するアンケート調査の結果を見ることができる。「VR酔いを経験したか(100人ほどが経験したようだ)」や「学校でのVR利用に期待するか(体験後は全体的に期待する割合が大きくなった)」「没入感を妨げるものはあったか(ケーブルや映像の遅延、外からの音という意見がやや多い)」といった項目で聞き取りが行われた。

生徒たちの反応は様々だが、彼らのほとんどは多少なりともVRに対して期待を持っているようだ。学習に適したコンテンツやツールが揃ってくれば、VRヘッドセットは学校での学びを面白いものにする新しい道具となるだろう。

 

参照元サイト:foundry10
参照元サイト:Road To VR

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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