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イギリスとフランスがヨーロッパにおけるVRコンテンツの制作をリードする - VR Inside

イギリスとフランスがヨーロッパにおけるVRコンテンツの制作をリードする

        2017/08/31

イギリス(エディンバラ)の街並み

イギリス(エディンバラ)の街並み

VR関連でよく名前の上がる国はアメリカや中国、韓国などがある。

アメリカは教育や医療などの分野も含めてVR技術の採用が進んでいる先進国であり、VR技術を扱う企業の数も多い。中国もアメリカ同様に大きな市場であり、特にHTCがViveの普及を進めている国だ。

過去に行われたアンケート調査では、中国の消費者の9割以上が将来はVRやARといった技術を使って買い物をするかもしれないと答えている。アメリカでも、6割近い消費者がこうした技術を使ったショッピングの可能性を肯定した。

一方で、VRコンテンツ(特にVR映画)の制作となるとヨーロッパも重要な舞台だ。ヨーロッパの映画産業にとって重要な根拠地であるイギリスとフランスは、VRコンテンツの制作においてもヨーロッパをリードする存在となっている。

ヨーロッパで成長するVR制作

カチンコを持つ男性

VR映画の多くがイギリスとフランスで作られる

多数の作品が作られる国

もちろん、イギリスとフランス以外の国でもVR映画は作られている。VR技術の採用が比較的進んでいるアメリカではハリウッドの映画監督もこの技術に興味を示しているし、VR映像のクリエイターは日本も含めて世界中に散らばっている。

だが、この二国がVR映像の制作において主導的な立場にあることは制作されるメジャーな作品の数を見ても明らかだ。

次のベネチア国際映画祭では、VR部門に22の作品が出品される。そのうち8作品が二国のいずれかで制作された作品だ。制作されるVR映画の総数自体がまだ少ないことは事実だが、VR映画の35%がイギリスまたはフランスで作られていることになる。

イタリアやデンマークからも作品が出品されるので、それらを含めるとヨーロッパ産タイトルの数はアメリカで作られたタイトルの数よりも多い。

ヨーロッパはVR映画の制作において世界への大きな影響力を持っており、さらにその中心となっているのがイギリスとフランスなのだ。

ヨーロッパでの急成長

「VR産業は、ヨーロッパで急成長しつつあります。これは私たちみんなにとって素晴らしいことです」

こう語るのはRewindの創設者兼CEOであり、先日大規模な資金を獲得したHere Be Dragonsとともに『Ghost in the Shell VR』を、またカンヌライオンズで賞を獲得した『Home: A VR Spacewalk』を制作したクリエイターでもあるSol Rogersだ。

8月のレポートによれば、ヨーロッパには487のVR関連企業があるという。この数字は2月には300とされていたので、この半年でまた200社近いVR企業が立ち上げられた計算だ。

ヨーロッパとアメリカ

アメリカ国旗

ヨーロッパとは異なる事情のあるアメリカ

アメリカもVRコンテンツの制作が盛んな国だが、ヨーロッパとは少々事情が異なるようだ。

アメリカのVR企業

アメリカには多くのVR関連企業がある。大きな企業はもちろんスタートアップも多く、VRデバイスやアプリケーションを制作するためにクラウドファンディングサイトを使って資金を集めている例も多い。

いずれにしても、アメリカのVR企業を支えているのは資金に余裕のある企業からの投資、VR技術が発展すると考える投資企業や個人投資家からの投資といった資金である。

活動に使用する資金の提供元は、アメリカとヨーロッパで異なる。

ヨーロッパのVR企業

イギリスやフランスといったヨーロッパのVR企業は、大企業や投資家とは異なる資金源に頼っている。

公共放送、テレビ局、政府機関、独立したプロデューサーや映像作品のスタジオがVR映画を制作する企業を運営しているのだ。

フランスでは、エンターテイメント業界に対する補助が整備されている。国立映画委員会は、350万ユーロ(4.5億円)をVRプロジェクトに対して助成している。

2014年に助成の対象となったVRプロジェクトはたった1件だったが、2016年には33件のプロジェクトが対象となった。

資金源による違い

こうした資金源の違いが、作られるコンテンツや開発される技術にも影響を及ぼすことは間違いない。

アメリカでは、投資家に見切りを付けられる前に彼らを納得させるだけの成果を上げなければならない。投資家は慈善事業で資金を提供しているわけではないので、将来性が無いと判断されれば投資を打ち切られてしまう。

そのため、VRコンテンツの制作でも収益化が重要になる。

一方で、助成金を制作に充てることのできるヨーロッパの企業は作品の芸術性を追求しやすくなるだろう。芸術性の高い作品が利益を上げられないわけではないが、一般の消費者にも理解しやすいエンタメ作品の方が売上を得やすいはずだ。

資金の3分の1をフランスの補助金から得ているフランスのトップVR企業の一つ、OkioのプロデューサーAntoine Cayrolはこんな皮肉を言っている。

Oculusの誰かがこんなことを言っていたのを覚えています。

『アメリカでは、多くの人が3ページの企画書で300万ドルの投資を求めてくる。フランスのプロデューサーは、25ページを費やして25,000ドルしか要求しない』」

この違いは国民性だけでなく、VRコンテンツの収益化に対する考え方の違いを反映したものなのかもしれない。

 

初心者が大きな資金を使って大きな利益を得ようとするのも夢があるが、作品の平均的なクオリティにより期待できるのはフランスの映像プロデューサーの方だろう。

VRヘッドセットを所有するユーザが増えてきたことで、人気のVRゲームはメーカーから資金提供を受けなくても利益を上げることができるようになっている。そのため、Facebook(Oculus)やHTCの投資は大規模なプロジェクトを対象とした金額の大きなものが中心になっていくようだ。

おそらくはこうした企業からの投資も受けて、今後もイギリスやフランスを中心としたヨーロッパのクリエイターによって芸術性の高いVR映画が生み出されていくだろう。

 

参照元サイト名:Variety
URL:http://variety.com/2017/biz/news/france-britain-vr-content-1202535892/

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ohiwa

Writer: ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。