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VR開発スキルなど身につく発達障害者向け職業訓練学校のカリキュラムを取材!GIFTED AGENTが目指す「偏りを活かせる社会」とは?

2016/05/31 18:08

VR開発スキルなど身につく発達障害者向け職業訓練学校のカリキュラムを取材!GIFTED AGENTが目指す「偏りを活かせる社会」とは?

GIFTED AGENT株式会社は5月1日、クラウドファンディングサイトCAMPFIRE(キャンプファイヤー)を使って「発達障害者向け職業訓練学校開設プロジェクト」の目標金額を集めることに成功した。

CAMPFIRE

GIFTED AGENTは本校を通して「偏りを活かせる社会を創る」をテーマに、発達の偏りを活かすトレーニングを適切に行うことで障害者であっても 高い成果を出すことができるという信念に基づき、発達障害を「障害」ではなく「才能」として活かし、一生食べていけるスキルに落とし込むことを目的としている。

6月1日から渋谷で開校する準備を進めているということで、代表の河崎純真氏に訓練学校内の授業カリキュラムなどについて詳しくお伺いしました。

河崎純真

発達障害者向けの訓練学校で実現したいこと

━━本校で最も重視していることは何でしょうか?
河崎氏:やはり個々の「意思」を最重要視します。

入校希望者にはまず「使命」「信念」「覚悟」の3つを言語化していただきます。

それぞれ詳しく説明しますと、「使命」は死ぬまでに果たしたい目標のことで、「信念」はそれをやる上で守り通したいルール、「覚悟」は使命で設定する目標の優先順位(家族より上なのか、友だちより上なのか、自分の命より上なのかといった尺度)のことです。

基本的には使命のために常に信念と覚悟を持って合理的に取り組んでいただくようにします。

━━なるほどですね。仮に目標が達成できない場合はどう対処しますか?
河崎氏:できなかった理由に合理性がある場合は、それは問題ではないです。

設定した目標にコミットしないのが問題です。

設定した目標に向かって、どのぐらい進んでいるかを毎週、計画し、発表してもらいます。できていない場合は「何故、できていないのか」をとことんヒアリング、可視化します。

できない理由に合理的な理由がなく、目標に向かう意識がない方には厳しい言い方ですが、弊社以外の施設を進めるようにします。

━━カリキュラムの特徴を教えてください。
河崎氏:大きな特徴があります。

優先順に紹介させていただきますと、

1つ目はメンタルヘルスへの取り組みとしてボディーワークにかなり力を入れていること。
2つ目は学習方法が PBL(Project Based Learning)を取り入れたより実践的なスタイルであること。
3つ目にVR, AR、セキュリティ、データサイエンス、デザインの学習に特化していること。

最後に、発達障害の特性に配慮している学び方であることです。

━━メンタルヘルスとは何をするのでしょうか?
河崎氏:1日2回2時間ほどフェルデンクライスとアレクサンダー・テクニークというボディーワーク取り入れます。

これは「自分に自信をつけてもらう」ために行います。

フェルデンクライス

アレクサンダー・テクニーク

これらはハリウッドの映画俳優やメジャーリーガなどでは一般的に行われており、プロのアスリートが日常的には取り組んでいるボディーワークです。

最近ではマインドフルネスという表現も聞くようになりましたが、これらのボディーワークを行うことで発達障害者に限らず、多くの人がは自分自身に自信を持てるようになります。

━━なぜ自信を持つことが必要なのでしょうか?
河崎氏:これは最初に最も重要であると述べた「意思」の話も含まれるのですが、どんなに良い 環境であっても、本人が強い意思を持っていないと結果が出せないからです。

就労の場においても同様で「結果を出す」という強い気持ちと自分への自信がないと仕事で結果は出せません。

使命(目標)の設定は目先のプログラミングを勉強するための理由づけで、ボディーワークをするのは自分に自信をつけるためです。

この使命と自分への自信があればプログラミング・デザインのスキルがなくても結果は出せると思っています。

私たちが達成したいことは「偏りが生かせる社会を創ること」ですので、あくまでも本校でプログラミング・デザインを学ぶのは、今の時代に必要とされていて使いやすい能力だからというだけです。

河崎純真氏

━━なるほどですね。2つ目の特徴として挙げていただきましたPBL(Project Based Learning)について詳しく教えてください。
河崎氏:こちらは通常行われるの一方通行の授業ではなく、生徒自身に自分が取り組みたい課題を選んでもらい。

それを期間内に作ってもらい、成果物を評価するやり方です。

1週間のうちに取り組む課題を決め、手法は問わずに自分で調べて学んでもらって作ってもらいます。

課題は1、2日でできるものがメインで、長くても1週間程度のものを用意しています。

━━学校の授業のような形式とは全く異なりますね。
河崎氏:そうですね。うちは職業訓練学校ですので実際に現場で使える技術を身につけないと意味がないと思っております。

与えられた条件の中で期限内に課題を終わらせられる能力を身につけてもらう意味でも実践に近い感じでやってもらいます。

━━教材はあるのでしょうか?
河崎氏:あります。私含め講師陣が監修したウェブと動画の教材を100個程度用意します。

MOOCsのような無料オンライン講座なども組み合わせつつ、自分で学べる環境を用意します。

別途、スキル習得に関連する書籍も多数取り揃えます。

━━課題が終わらなかった場合はどうするのですか?
河崎氏:終わらなかった。という評価を与えます。別のプロジェクトをするか、再度トライするかは本人の意思に任せます。

━━評価方式はどのようになっていますか?
河崎氏:5段階評価で行います。

また、評価項目は複数ありまして、例えばUnityで作るシューティングゲームが課題だったとしますと、Unityをどれだけ理解しているか、企画設計力はどのくらいあるか、など課題に関わる必要なスキルを評価項目に紐づけています。

━━実際に企業様からの案件を生徒にやらせてみる試みはあるのでしょうか?
河崎氏:十分なスキルを習得した生徒にはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式で3、4ヶ月単位のプロジェクトをこなしてもらう予定です。

━━生徒が課題に取り組みやすい工夫などはございますでしょうか?
河崎氏:はい、こちらはRPGのクエストをこなすゲーム感覚でできるように課題毎にレベルを設けています。

ある課題はUnityスキルレベルが3ないとできませんよ、であったり、C#スキルレベルが2の課題です、といったかたちです。

━━それは面白いですね。カリキュラムについてはどのようなコースを用意されますか?
河崎氏:コースは以下の4つがあります。

  • VR/3Dコース
  • Webアプリデザインコース
  • サーバセキュリティコース
  • データサイエンスコース

━━コースをこの4つにした理由をお聞かせください。
河崎氏:ほかの学習施設で学ぶ場所がほとんどなく、かつこれから必要なスキルを学ぶことで人材的な優位性が築けるかと思い、上記の専門分野に絞りました。

また、発達障害の特性にも合わせています。

セキュリティやデータサイセンスはオーティズム(自閉症)の人は比較的得意で、3DやVR、ウェブアプリデザインなどはADHD系の人が得意な傾向があるというのがあります。

あとは単純に自分自身が3DVR/ARが好きというものあります(笑)講師をお願いする方もほとんどが3D、VR領域の方なのでVR/AR専門にしたいところですが(笑)

━━講師にはどのような方がいらっしゃるのですか?
河崎氏:ファッションVRで話題になっているPsychic VR LABの山口さまを始めとする、スタートアップやクリエイティブカンパニーで活躍してきた一線級の人にお願いしています。

最初は 7人の講師で運営していきます。

━━なんと(笑)それはVR/3Dコースは非常に楽しみですね。学校の設備についてお聞かせください。
河崎氏:はい、6月1日から開校するものの、内装は少し遅れて8月に完成する予定です。
和風テイストで部屋の真ん中には畳のルームスケールVRが体験できるスペースを作る予定です。

生徒は壁に向かって学習し、成果物は中央の畳のスペースで課題を流すことになります。

VRの機材としては当初はOculus Rift 2台、VIVE 2台で始め、生徒の数に合わせて増やして行く予定です。10月にはPSVRも揃えたいと思っています。

━━完成後、再度取材にお伺いさせてください。ありがとうございました。

河崎純真氏

6月からの開校の「GIFTED ACADEMY」の生徒の上限は国の規定により20名まで。

最初は4名の生徒で始め、少人数で行い学習スタイルの確信を急ぎ、まずは店舗拡大路線よりも2、3年はじっくり腰を据えてクオリティの向上に務めると河崎氏は言う。

障害者雇用促進法により従業員が100名以上の企業は障害者を2%雇用する規定があり、企業は優秀な障害者を欲している。

そういったニーズに応えることのできる人材を、高い意識付けと障害者の陥りがちな自信の無さをメンタルヘルスにより解消しつつ、専門スキルを身につけて企業にマッチする人材を育成していくアプローチを行おうとする河崎氏。

発達障害者は無料もしくは1割負担程度で学習ができるのもメリット。

しかし、あくまで「プログラムを教えるのはおまけ」と語る河崎氏。

ここで得られる最大の経験は「やる気」と「自分への自信」なのかもしれないと感じました。

偏りが生かせる社会を創る 第一歩を河崎氏は本校とともに築いていく。

生徒と講師の募集行っています

GIFTED AGENT株式会社では本プロジェクトに参加したい生徒、講師の方を募集しています。

生徒の方

本校で最大2年間で専門職を学べます。(VR/3Dコース/Webアプリデザインコース/サーバセキュリティコース/データサイエンスコース)

講師の方

週3時間程度、課題作成、生徒の授業課題への評価とフィードバックのご協力
対価としてオフィス内を自由に研究スペースとしてご使用いただけます。

ご連絡はGIFTED AGENT株式会社お問い合わせまでご連絡


何十年も前からあるVRがようやく一般で広まりつつあるなか、課題は「ハード」と「体験」の2軸と思っています。これからリリースされる新しいVR機器を余すことなく紹介すること、そして体験したVRの良さを少しでも伝えることでVR市場の成長に貢献します。

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