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Googleが開発するVRヘッドセット用ディスプレイは解像度が現在の10倍

2016年のDaydream View発表イベント

2016年のDaydream View発表イベントに登場したClay Bavor

VRコンテンツの没入感を高めるために、デベロッパーはVR酔いを防止する映像表現の工夫や新しい移動方式を開発している。没入感を高めるためにソフトウェアの工夫が有効なのと同じく、ハードウェアの性能を向上させることも効果的だ。

映像の解像度が高ければ現実と間違うような表現が可能になり、ヘッドセット本体の重量が軽くなれば長時間VRに没入しても首が疲れてしまうことが少なくなる。

現在Googleが開発しているVRヘッドセット用のディスプレイでは、現行のものに比べて10倍以上の高い解像度が目標となっているという。

GoogleのVRヘッドセット

Daydream View

Googleが開発するVRヘッドセットと言えば、Daydream Viewがある。パソコンと接続するのではなくスマートフォンを挿入するモバイルVRヘッドセットであり、2016年の12月に登場した。

日本では未発売の状態が続いていたが、現在では国内でもGoogle Storeで販売されている。価格は12,000円と、メジャーなVRヘッドセットとしては安価だ。

サムスンのGear VRに比べれば対応機種の幅が広く、複数のメーカーから好みのスマートフォンを選ぶことができる。しかしハイエンドスマートフォンを要求する点は同じであり、ヘッドセットよりもスマートフォンの価格がネックとなるかもしれない。

スマートフォンはゴーグルの中に入れてしまうが、本体付属のワイヤレスリモコンによってVR映像の再生をコントロールしたり、VRゲームでキャラクターを操作したりといったこともできる。

Cardboard

Cardboardは、GoogleがDaydreamに先駆けて展開していたVRプラットフォームだ。スマートフォン本体の傾きを感知するセンサーと360度コンテンツを組み合わせただけのシンプルなシステムであり、スマートフォンを挿入するゴーグルはダンボールで作ることも可能となっている。

Gear VRやDaydreamに非対応でVRの選択肢が狭いiPhoneを含むほとんどのスマートフォンで利用できることと、ゴーグルの価格が非常に安い(紙製のゴーグルがキャンペーンで無料配布されることすらある)点がポイントだ。

ただし、リモコンなどは存在しないためゲームやインタラクティブなコンテンツよりも「見ているだけ」の360度映像に適するプラットフォームとなっている。視聴中にスマートフォンを操作したい場合にはBluetooth接続のコントローラーやリモコンを用意すべきだろう。

低い解像度

DaydreamとCardboardはいずれもディスプレイとしてスマートフォンを使うため、映像の解像度はあまり高くない。Daydreamの場合であれば、「Daydream Ready」として認められるスマートフォンの基準解像度は1080p以上(推奨は1440p以上)とされている。

GoogleのVRプラットフォームが特別低解像度というわけではなく、解像度の低さはスマートフォンを使うモバイルVR全般の宿命だ。

解像度が10倍に?

Googleが現在開発しているVRヘッドセット向けのディスプレイは、片目20メガピクセルの高解像度VR映像をもたらすとされている。

「VR映像の解像度が現実並になるには20年かかる」

解像度の向上は、VRヘッドセットの一番分かりやすい進歩かもしれない。

未来のVRデバイスはユーザが現実と区別できないような映像を再生することができるようになっているだろう。だが、今日明日のVRヘッドセットにそれが可能というわけではない。

NVIDIAのJason Paulが今年5月に語ったところによれば、GPU性能の向上が人間の目を騙し得るところに至るにはあと20年が必要だという。

20メガピクセルのディスプレイ

Googleの開発するディスプレイの解像度は、片目20メガピクセルだ。

これは2016年のOculus Connect 3でチーフサイエンティストのMichael Abrashが語った成長予測を超える性能だ。Abrashの予測では、2021年時点でVRヘッドセットに使われるディスプレイは片目4K×4Kになるとされていた。

レンダリング技術の進歩

ユーザが見ている場所だけを高解像度で処理する

視界の全てを高解像度で処理する必要はない

Googleの主張する20メガピクセルのディスプレイが開発できたとしても、そのディスプレイに表示する高解像度のVR映像をレンダリング可能なGPUが用意できなければ宝の持ち腐れとなってしまう。PaulやAbrashの予測は、ディスプレイのピクセル密度だけでなくGPUの処理能力の向上も含めたものだ。

GPUの性能が向上を続けていることは事実だが、マシンパワーで人間の目が現実と見分けられないほどのVR空間をレンダリングしようとすると2036年頃を待つことになってしまう。そこで、Foveatedレンダリングと呼ばれる技術が登場する。

Foveatedレンダリングに必須となるのが、ユーザが見ている箇所を把握するためのアイトラッキング技術だ。人間の目が特に高い解像度でものを見られる範囲は広くないため、アイトラッカーが捉えた視野の中心のみを高解像度でレンダリングし、周辺の解像度を落とすことで必要な処理能力を抑えることができる。

片目20メガピクセル、フレームレート90fps~120fpsの映像はデータ量が秒間50ギガビット~100ギガビットにもなってしまう。今後数年でこのディスプレイを効率的に活用するには、Foveatedレンダリングが不可欠だという。

SFのVR世界が現実に

既にVRを体験したことがあるユーザならば、2DのテレビゲームをプレイするのとVRゲームの世界に入り込むのがどのように異なるかを知っているだろう。そしてまた、「VRの世界から帰ってこなくなる」という心配が杞憂であることも知っているはずだ。

VRエンターテイメントは楽しいが、現実の代わりにできるところまでは成長していない。現実逃避先としては、コンテンツが豊富な非VRのオンラインゲームの方がまだ適しているだろう。

だが、Googleが開発する高解像度ディスプレイを使ったVR映像は現実に近いリアリティをもたらしてくれそうだ。各種フィードバックデバイスの開発も進んでいるので、本当にリアルを投げ出してバーチャルな世界にのめり込んでしまうユーザも出てくるかもしれない。

かつてフィクションでしかなかった世界が現実になりつつある楽しい時代だ。楽しみとしてもビジネスへの活用を考えても、視覚化技術の発展を追いかける価値はある。

 

参照元サイト:Road To VR

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ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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