HTC Vive Xのイベントで26のVR関連スタートアップがプレゼンテーション | VR Inside

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HTC Vive Xのイベントで26のVR関連スタートアップがプレゼンテーション

HTCがVR関連企業を支援するVive Xプログラムのイベントがサンフランシスコで開催され、26のスタートアップ企業がプレゼンテーションを行った。既に大手企業やスポーツチームと関係を持っている企業、今年中に第一世代の製品を発売するという企業もあり、今後の成長が期待される。

Vive X Demo Dayの広告

この中にViveの将来を支える企業があるかもしれない

VR関連のデバイスや技術を開発しようとするスタートアップ企業は世界中でたくさん設立されているが、実際に研究を行ったり製品を製造したりするにはアイデアだけでなく資金力が必要だ。

小規模なスタートアップでは、事業として運営していくために必要な資金を集められない例も少なくない。

特にVRデバイスの開発を考える企業はクラウドファンディングサイトを利用することが多いが、バッカーたちも何も考えずに資金を提供してくれるわけではないのだ。

HTCのVive Xプログラムは、有望なスタートアップ企業をHTCが支援するものだ。サンフランシスコで開催されたこのプログラムのイベントでは、26の企業が開発を進める技術やゲームのプレゼンテーションを行った。

HTC Vive Xプログラム

TPCastのワイヤレスアダプタ

HTC Viveを無線化するTPCastのワイヤレスアダプタ

HTCは、これからの成長が期待されるVR関連の企業に投資するために1億ドル(111億円)もの資金を投じてファンドを設立している。

投資の対象は特定の国の企業だけではなく、中国、アメリカ、台湾、イスラエルなど多岐に渡る。HTCが有望と判断した60の企業がこれまでに投資を受けた。

TPCast

TPCastのビジネスエディション

ビジネスエディションも開発されるTPCast

Vive Xプログラムで支援を受けた企業の中でも有名なのは、HTC Viveの無線化を可能にするワイヤレスアダプタを開発するTPCastだろう。

同社はHTCの支援もあり、アダプタを完成させている。このアダプタは、中国Viveのオンラインストアで販売された。

現在も在庫切れが続いているが、2017年の後半には中国以外での販売も計画されているようだ。

また、複数のViveを同時に無線化できるビジネスエディションも4月に発表された。

ObEN

TPCastと同じく、Vive Xプログラムの第一期に選ばれてHTCからの援助を受けた企業がObENだ。ObENでは、人工知能を使ってユーザそっくりのデジタルアバターを作る技術が研究されている。

人物の写真と音声を元にVRで利用できる3Dアバターを作成することが可能な同社の技術は、Viveが中国で提供するコミュニケーションアプリ『Weixin』(中国以外では『WeChat』と呼ばれる)に利用されている。

WeChatで利用するアバターの作成や、音声の認識・文字起こしによるメッセージが可能となったのは同社の技術のおかげだ。

エンタープライズサービス

Hyperfair

Hyperfairのプレゼンテーション

2017年のVive X Demo Dayイベントでは、26の企業が登場した。その中には、消費者向けのサービスではなく企業・団体を対象とするサービスを開発する企業もある。

Hyperfair

Hyperfairは、企業向けのソーシャルVR空間を提供する企業だ。

VR空間にバーチャルなオフィスを設けて社員同士の会議や社内イベントを行ったり、顧客を迎えられるショールームとして活用したりといった用途が想定されている。

同社は、多くの社員を抱える規模の大きな企業を対象としているという。

Mindesk


Mindeskは、コンピュータを使ったモデリングをVRによって進化させようとしている。

VRによって3Dモデリングが効率化し、2DのCADソフトを使う場合に比べて2倍近いパフォーマンスが発揮されることもあるという。

VRを使ったモデリングプロセスによってバーチャルなプロトタイプを使った打ち合わせが可能となり、金銭的・時間的コストの削減が見込まれる。

30日間無料で利用できるアプリのダウンロード数は1,500を超え、既に多くのテスターが同社のソフトウェアを試している。HPも同社のアプリを導入している。

Realiteer

Realiteerは、VRがリハビリや精神疾患の治療に効果的だと考えている。

通院して辛いリハビリをするのと異なり、同社のアプリではゲームを遊びながら脳機能を事故の影響や精神的に不安定な状態から回復させることを目指す。

この種のアプリケーションは、個人の消費者だけでなく医療機関や介護施設での需要も見込まれる。

PlusOne

PlusOneが開発したのは、ユーザの発言に反応するバーチャルなホログラムだ。

VRを使ってリアルなホログラムを相手にシミュレーションを行うことで、医師と患者との対話をより充実したものにしたり、営業マンがクライアントに正しく商品の良さを伝えたりすることが可能となる。

大きな市場となっている語学学習アプリへの利用も試験が進められているようだ。

Opaque Space

その珍しい出自をVRInsideでも紹介したことのあるOpaque Spaceは、Earthlightを開発する企業だ。

Earthlightは、今ではNASAと協力して開発が進められているVRコンテンツだ。この3Dシミュレーションツールは、実際に宇宙飛行士の訓練に使われることが想定されている。

また、消費者向けのVRゲームとしても開発が進められているようだ。

Snobal

Snobalは、VRツールによって業務の効率化を行おうとしている。

建設や製品デザインのプロジェクトをVRによって管理し、効率的にバーチャルなプロトタイプの制作やテストが可能だ。

SnobalのVRツールは既存のツールが利用するファイルを処理することができるため、ワークフローの総入れ替えを行わずに現在のフローを補完する形で段階的に導入を進められる。

SoccerDream

サッカーが上手くなりたいなら、身体を鍛えたり、ボールを蹴ったりする練習が基本だ。だが、SoccerDreamはVRを使って学ぶことでサッカーが強くなるという。

同社のVRアプリケーションは、ボールを扱う技術だけでなく相手の裏をかくテクニックや試合に勝つための戦術も教えてくれる。

このようなトレーニングを取り入れているのは、一部のトップチームだけだと同社は説明している。こうしたトレーニングを世界中のサッカー選手が利用できるようにするのが彼らの目標だ。

チェルシーや他の世界的チームのメンバーが彼らに協力しているという。

Xitaku

Xitakuは、医療・産業分野のARに注目する企業だ。

あらゆるVRのスクリーンをARに対応させてしまうARcoreシステムを開発している。

Venture Beatによれば、日本政府などの顧客から昨年50万ドル(5,600万円)の収入を得たという。

ゲーム開発

Vraniはパーティゲームを開発している

Vraniのプレゼンテーション

依然としてVRコンテンツの中で大きな影響力を持つVRゲーム。もちろん、VRゲームを開発する企業もプレゼンテーションを行った。

Subdream Studios

Subdream Studiosは、コロプラの米国子会社から生まれた企業だ。

今年の3月に100万ドル(111億円)の資金調達に成功した同社は、ここ5ヶ月で2本のVRゲームをリリースしている。

彼らはVRゲームだけでなく、モバイルゲームの開発も手がけている。

The Rogue Initiative

The Rogue Initiativeは、世界的な映画スタジオや技術企業と協力してストーリーテリングの新時代を築こうとしている。

同社は、初めてのVRゲーム『Crowe: The Drowned Armory』を先月の末にSteamで発売した。

「あるビッグタイトルのVRコンテンツに取り組んでいる」とされている。

Pop Match

Steamでも高い評価を獲得しているVRゲーム『The Brookhaven Experiment』を開発したチームによる、新しいスタートアップ企業だという。

現在のところ、公式サイトなどは用意されていないようだ。

The Brookhaven Experimentは、日本語にも対応したVRシューターである。Steamサマーセールの対象にもなっている。

Red Accent Studios

Red Accent Studiosは、スポーツやアドベンチャーといったジャンルのゲームを制作するスタジオで、上海とサンフランシスコに拠点がある。

彼らは2020年までにVRのスポーツゲームが10億ドル規模の市場に拡大することを期待している。

新作の開発に積極的で、ロケーションベースのエンターテイメントタイトルとe-sportsタイトル、モバイルを含む家庭用のVRゲームを今後18ヶ月で3タイトル企画しているようだ。

Appnori

Appnoriは、スポーツやカジノのVRゲームを制作しているデベロッパーだ。

HTCのVive Trackerを使うことで、本物の野球のバットを使ってスイングが可能なVRゲームを開発し、e-sportsやリアルの野球が好きなVRユーザにアピールしている。

同社は韓国の政府機関、Korea Creative Content Agencyからも援助を受けているという。

Vrani

Vraniは、子供たちや保護者が安心して家族で楽しめるようなVRゲームを作ることを目指している。

VRデバイスの価格が高いこともあり、VRユーザのほとんどは大人だ。しかも、ゲーマーがその中心となっている。そのため、VRタイトルの75%が暴力的な内容だという。

彼らはゲームだけでなくキャラクターグッズも展開していきたいと考えている。

ハードウェア開発

B Haptics

B Hapticsのプレゼンテーション

VR関連のハードウェアを開発するスタートアップ企業は増えてきたが、まだまだ発展の余地はある。ハプティックデバイスやARデバイスなどの開発が進められている。

Memora

Memoraは、シンプルな360度VRカメラLuna 360を開発する企業だ。

写真や動画を簡単に撮影してライブ配信までできるこのカメラには映像を安定させる技術が使われており、ドローンでの360度動画撮影などにも対応する。

B Haptics

B Hapticsは、ハプティックフィードバックを与えるスーツの開発を進めている。

振動を発生させるポイントは87個もあり、プログラムによって細かく制御することで様々な感覚を作り出せるという。

公式サイトにはスーツタイプのデバイスの前身となりそうなリストバンド型のデバイスの購入申し込みフォームがあるが、配送開始予定の2017年3月は既に過ぎてしまっている。

ThermoReal

TEGwayの開発したThermoRealは、熱さ、冷たさ、そして痛みをユーザに感じさせるフィードバックデバイスを作る可能性がある素材だ。

性能面の期待は高いのだが、どうやら価格は安くないらしい。製品化に向け、HTCの支援を受けてコストダウンできるだろうか?

Aurora AR

Aurora ARは、135度の視野角や昼の屋外でも利用できる視認性の高さを持ったARグラスを実現する。

2017年の夏にKickstarterでクラウドファンディングを行い、秋にはベータ版を製造することを目指している。

公式サイトでは2017年の夏に製造される第一世代の製品を開発しているという表記もある。いずれにせよ、早期にデバイスを形にすることを目指しているようだ。

BrokenColors

BrokenColorsは、ユーザの視線や表情の変化を捉えることのできるトラッキングシステムを低価格で実現することを目指している。

ツールとサービス

LimitlessでVRアニメーションを作成

LimitlessでVRアニメーションを作成

VRゲームではなく、一般のツールやサービスの開発を行っている企業もある。

VRコンテンツのデベロッパーやユーザが増えるに連れて、「より簡単に開発したい」「ユーザの反応をチェックしたい」という需要も大きくなっている。

CognitiveVR

CognitiveVRは、VRやARでユーザがどのような行動を取るかを分析するためのプラットフォームを提供する。

バーチャルショールームに展示した製品のどの部分がユーザの視線を惹き付けるポイントとなっているのか、ユーザはどのくらいの時間滞在し、どういった操作をするのかといった行動を収集することが可能だ。

VRを使ったマーケティングが一般化すれば、CongitiveVRの分析サービスはその重要性を増していくだろう。

Construction Studio

Construction Studioの"Vera"は、VRコンテンツの制作に利用できるアセットを簡単に作成するためのツールだ。

3Dモデル制作ソフトのMayaやゲームエンジンUnityのアセット制作ツールで利用でき、VRコンテンツを開発するデベロッパーを助けてくれるだろう。

Limitless

Limitlessは、ジオラマにフィギュアを並べてポーズを付けるようなイメージでキャラクターを配置し、VR映像のワンシーンを作ることを可能にするツールだ。

初心者でも従来のアニメーションツールよりも短い時間で操作に慣れることができ、プロのクリエイターは従来の方法よりも10倍以上早くアニメーションを制作できる、というのが謳い文句だ。

Ova

Ovaが開発する"StellarX"は、プログラミングの知識がなくてもVRコンテンツを制作できるようにするツールだ。

VR空間の中でドラッグ・アンド・ドロップ(ハンドトラッキングコントローラーを使い、パレット内のオブジェクトを配置する)によって空間を設計することが可能となっている。

Byond

ByondのクラウドベースVRプラットフォームでは、すぐにVRアプリケーションの開発を始めることができる。

一度作ったコンテンツをWeb、モバイルVR、ハイエンドヘッドセットで利用できるので簡単にマルチプラットフォーム対応のVRアプリケーションが作れるのが特徴だ。

ブランドのプロモーションや不動産業者によるVRを使った内覧などへの利用が行われている。

Invrse

Invrse Realityは、リアルとバーチャルをシームレスに結びつけるオペレーティングシステムを作ろうとしている。

VRにはキーボードのようなテキスト入力に適した方法が存在しないという難点があるが、同社はスマートフォンを使うことでこの問題を解決できると考えているようだ。

彼らが目指すのは、VR体験をしているときもリアルの世界から切り離されないようなVRである。

Sixence vRetail

SixenceのvRetail部門は、VRを使ってショッピングを変えようと考えている。

同社のシステムを使えばVR空間内で服や靴を手にとって眺めたり、ドローンを飛ばして試すことが可能だ。実店舗と違って店に移動する必要はなく、店員に見られて気まずい思いをすることもない。

じっくり商品を選びたいときには嬉しいかもしれない。

 

参照元サイト名:Venture Beat
URL:https://venturebeat.com/2017/06/21/26-vr-startups-debut-at-htcs-vive-demo-day/

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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