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Immerse、エンタープライズ向けのマルチユーザ対応VRプラットフォームを発表

2017/07/06 18:08

    複数のユーザがシミュレーションに参加する

    奥では別のユーザがシミュレーションに参加している

    VRを使ったエンタープライズ向けのソリューションを提供する英国企業Immerseが、世界初となるマルチユーザに対応するVRプラットフォームを発表した。

    一つのVR空間で複数のユーザが同時にトレーニングを受けることで、現実の業務に近いリアルな環境でのシミュレーションが可能になる。

    マルチユーザへの対応

    The VoidのGhostbusters: Dimensionをプレイする様子

    The Voidの『Ghostbusters: Dimension』をプレイする様子

    複数のユーザがゲームに参加してマルチプレイが可能なVRゲームは珍しくない。

    だが、エンタープライズ向けのプラットフォームでマルチユーザに対応するものはImmerseのソリューションが世界初になるようだ。

    オンラインマルチプレイ

    『Raw data』のようにVRコンテンツのストアでランキング上位に入るようなVRゲームには、オンラインマルチプレイに対応しているものが多い。プレイヤーのモラルや言語の壁が問題になることもあるが、やはりNPCではなく他のプレイヤーが操作するキャラクターと一緒に遊べるのは面白い。

    敵として対峙すればNPCよりも賢くて臨機応変に立ち回ってくるし、味方ならば連携が上手く行ったときはスポーツをしているような気持ちよさがある。

    当メディアでも、過去に協力プレイができるVRゲームを紹介した記事を掲載している。

    オンラインマルチプレイの場合、時間を問わずに遊べる点も嬉しい。海外のプレイヤーとは時差があるが、そのおかげで日本のプレイヤーが少ない真夜中や昼間でも他国のプレイヤーとならばマッチングすることもある。

    ローカルマルチプレイ

    先月新しい施設をトロントにオープンしたばかりのThe VoidのようなVR施設で遊べるのが、ローカルマルチプレイのできるVRゲームだ。

    オンラインでマルチプレイをする場合と違って一緒に施設に行かなければならないが、アーケード向けのデバイスやコンテンツによって非常に没入感の高い経験が可能となる。

    広い空間を実際に歩いて移動し、その場にいる友人と一緒にVR空間に入る体験ができるのはロケーションVRならではである。

    エンタープライズ向けVR

    ラグビーのトレーニングにVRを活用

    スポーツ選手のトレーニングに使われるVR技術

    エンターテイメント用途だけでなく、業務やトレーニングにVR技術を取り入れる企業・団体も多くなっている。

    トレーニング教材としてのVR

    VRはコンテンツ次第で様々な状況をシミュレーションすることができるため、多くの業界でトレーニング教材として使える可能性がある。

    例えばスポーツの試合は、短時間で決断しなければならない場面の連続だ。VRを使ったシミュレーションで練習しておくことで、選手が判断にかける時間が短くなるとの調査結果がある。

    災害救助の現場でもスピーディーな判断が求められる上に、判断を誤れば自分や他人の命に関わることも考えられる。救急隊員のトレーニングにもVRが活用されている。

    トレーニング・レポート

    トレーニングにVRを使ったシミュレーションを取り入れるメリットとしては「臨場感のある環境を自由に作り出せる」ことが挙げられる。研修生は、医療用のマネキンを使った救命訓練や、同僚とのロールプレイによる接客トレーニングとは異なる緊張感を持って臨むことになるだろう。

    さらに、トレーニングの内容や結果を記録して分析することができるのもメリットだ。

    研修生がVR空間で行った全ての行動は記録することが可能なので、スコアの推移を見ればトレーニングが順調に進んでいるのか、それとも伸び悩んでいるのかを確認できる。

    また、多くの研修生がミスをするポイントがあればマニュアルを改善したり、研修のカリキュラムを変更することを検討すべきかもしれない。

    マルチユーザ対応

    これまでのVRを用いたトレーニングでは、研修生と顧客の対話を強化したり、研修生の現場での動きを改善することが目的となっていた。しかし、実業務では一人ではなく同僚や先輩と協力して動くことが多いはずだ。

    Immerseのプラットフォームでは、1つのVRトレーニングに複数の研修生が参加できる。

    潜水艦訓練のシミュレーション

    潜水艦乗組員のトレーニング

    Immerseは防衛、製造、ヘルスケア、鉱業、再生可能エネルギー、化石燃料、衛星通信といった分野を扱う企業に向けてVRソリューションを提供している。防衛技術企業のQinetiQは、潜水艦乗組員のトレーニングに使う代替手段として、ImmerseにVRコンテンツの制作を依頼した。

    低コストな代替トレーニング

    Immerseは自社のVRトレーニングが実際に海上で行うトレーニングに取って代わるものではないとしつつも、現在の潜水艦訓練の代替手段となるコストパフォーマンスの高い方法だと紹介している。

    VRトレーニングならば本物の潜水艦を使う必要がなく、コストを削減しながら基本のトレーニングを行うことが可能だ。

    また、Immerseの過去のブログ記事によればVRを使ったインタラクティブなトレーニングを行うことで記憶が定着しやすくなり、研修必要な期間が短縮されるという。結果として研修に関わるコストはさらに削減できることになる。

    安全なトレーニング

    安全に訓練が行えることも、VRトレーニングのメリットだ。

    実際に海で行うトレーニングでは、研修生のミスによって本当に事故が起きてしまうことも考えられる。VRを使ったトレーニングならば安全で、何度も同じシナリオでの訓練が可能だ。

    繰り返し訓練を行っておけば、現場で緊急事態が起きても冷静に対応することができるだろう。

    チームワークの向上

    他の多くの企業が提供するVRトレーニングと、Immerseのトレーニングの違いがここだ。同社のプラットフォームはマルチユーザに対応しているので、チームメイトと協力してシナリオをクリアしていく経験を積むことができる。

    互いに声を掛け合いながら作業を進めていくことで、実際に潜水艦に乗り込むことになっても他のメンバーと協力しながら動けると期待できる。

    体験したベテラン乗組員も、「本当の海ではないと分かっているが、海の上と同じように仲間と冗談を言いながら業務をするくらいだ」と再現度の高さを認めている。

    制作コストの削減

    VRをトレーニングに取り入れることで、コストを削減しながら知識と技術を身に着けた社員を育てることができる。だが、VRコンテンツの作成にコストがかかるのも事実だ。

    多くの社員を抱える国際企業の場合と異なり、規模が小さな企業の場合には削減できる研修コストよりもVRコンテンツを制作するコストの方が大きくなってしまう。

    ImmerseのCEO、Tom Symondsは、自社のプラットフォームによってVRをトレーニングに取り入れる企業が増えると考えている。

    「過去12ヶ月間で、VRに関心を持つ企業、投資したいと考えている企業が目立って増えていることを見てきました。

    企業がオリジナルのVRシナリオを簡単に、しかも低コストで作成できるようになれば需要は拡大すると確信しています」

     

    潜水艦の中が舞台ということもあり、公開されたトレーニングコンテンツの画像は、まるで『Star Trek: Bridge Crew』のワンシーンのようだ。

    VR空間の中であっても、それぞれが役割を持って業務に当たる経験をすればチームへの貢献や責任感を養うことができるだろう。

     

    参照元サイト名:Business Cloud
    URL:http://www.businesscloud.co.uk/news/immerse-launches-world-first-vr-platform

    参照元サイト名:Immerse
    URL:https://immerse.io/

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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