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「KAT Walk」はVR空間を歩くためのトレッドミル

2017/05/23 16:02

VR空間での歩行をユーザの動きで入力することを目指したVRデバイスは多数計画されているが、製品化に成功したものは少ない。KAT VRも一年近く出荷が遅れたが、中国では配送が行われているデバイスだ。ハーネスの採用によって、動きの自由さと安全性を両立している。

KAT Walkを使う人

360度好きな方向へ移動できる

VRヘッドセットは、現実とは全く異なるVR空間に「立っている」感覚をユーザに与えることに成功した。さらにハンドトラッキングコントローラーを使えば、ユーザは自分の手をVR空間に入れることが可能となる。

だが、まだ足をVR空間に入れることは難しい。固定された地点からのシューティングゲームばかりでなくプレイヤーの意思で移動できるVRゲームも多くなったが、移動の方法は従来のゲームと同様にアナログスティックを使うものが主だ。

自分の足を使って自由な方向へと移動できるトレッドミル型のデバイスはこれまでにもいくつか開発が試みられてきたが、Omniはサイズの大きさゆえの輸送コスト問題にぶつかっている。他にも、クラウドファンディングを行ったまま消えていったデバイスがあるようだ。

そんな中、KAT Walkは遅れながらも配送に漕ぎ着けている。

KAT Walk

ユーザの動きをVRへ

KAT Walkは、この上で行ったユーザの各種動作をVR空間のキャラクターに反映させるためのデバイスだ。ユーザ一人分のスペースしかないが、360度自由に動けるトレッドミルとして歩いたり、走ったり、ジャンプしたりといった動きを入力できる。

足元の床部分や身体を固定するハーネスのおかげで、ただ歩くだけではなく後ずさりしたり、物陰に隠れるためにしゃがんだりすることもできる。

デモ用の画像・映像に登場している人物が特殊部隊の格好をしていることからも分かるように、FPSのようなゲームでの利用を想定してデザインされている。

同様の機能を実現しようと企画された多くのデバイスと異なり、KAT Walkにはユーザの周囲に「枠」がない。

Omniには枠がある

枠があるデバイスの例(Omni)

KAT VRによれば、身体を自由に動かせる状態を保ちながらユーザの身体をきちんと支えられる構造になっているという。ポイントは、ユーザの頭上から背中へと繋がるハーネスだ。

ユーザを取り囲む枠が無いので、屈んで落ちているものを拾ったり、実際にキックして扉を蹴破ったりといった動作も可能になるという。邪魔になるものがないので、普段と同じように自然に歩いたり走ったりできるのもKAT Walkの魅力だ。

安全のための工夫

KAT Walkの本体

KAT Walkにも、プロトタイプの頃には他のウォーキングデバイスに見られるような柵と枠があったという。だが、設計を進めていくうちにこれは設計図から削除された。

もちろんユーザがより自由に動けるようにするためだ。加えて、新しいハーネスには安全のための意味もある。

VRならば安全な室内に居ながら危険な場所を身近に感じることができるが、周囲が見えないVR体験中はなんでもないことが危険になり得る。あまり自由に動けるようにするとユーザが転んだり何かにぶつかったりすることも考えられるので、ハーネスがその対策として機能する。

KAT Walkのハーネスは、上下に35cmの可動範囲を持つ。これによって、まっすぐに立つ以外にも屈んだり座ったり(ハーネスは140kgまで支えられる)、あるいはジャンプしたりといった動作が可能になる。

ハーネスを支える支柱はユーザの動作に合わせて上下するので、ジャンプしたときにぶつかってしまうこともない。

だが、走っているときにユーザが上下に動くと、足元が見えないので転んでしまうかもしれない。ユーザが歩く・走るといった移動動作をしているときにはハーネスがロックされ、身体を支える役割を果たす。

自然な歩行感

KAT Walkのベース

KAT Walkでは、歩く感触を自然なものに近づけることにもこだわっている。

本当にユーザが歩くとKAT Walkの上から降りてしまうので、実際には台の上で足を滑らせる動きをすることになる。だが、このときに摩擦が少なくてツルツルしていると歩いているという感覚が得られない。

KAT Walkでは地面を踏みしめる感覚が得られるように、摩擦の強い素材を使った特別な靴を用意している。これによって滑っているのではなく地面を歩いている感覚が強くなる。

また、きちんと摩擦があることでユーザが身体のバランスを取るのも簡単になる。KAT Walkに慣れやすくなり、すぐにVR空間を歩くことができるようになるはずだ。

完成した製品

KAT Walkでマインクラフト

マインクラフトも遊べる

KAT Walkに関する特筆すべき点は、この製品が完成して出荷されているということだ。KAT Walkは2015年にクラウドファンディングを行い、231人の支援者から149,278ドル(1,660万円)を集めることに成功した。

クラウドファンディングサイトで資金調達を行うVRデバイスは多いが、クラウドファンディングの常として遅延や中止もまた多い。KAT Walkも当初の予定であった2016年4月には間に合わなかったものの、今年に入って中国国内での配送が始まった。

3月の末には、Kickstarterのページに製品を受け取ったユーザの声も掲載されている。その書き込みでは出荷に関する進展があったとのことだが、それ以降の更新はない。

公式サイトのショップでも、アクセサリー類には購入ボタンが表示されているが、本体には購入ボタンが表示されていない。製品化には成功したが、まだ生産体制が整っていないのだろうか。安定供給されるようになれば、VRアーケードなどに採用されていきそうだ。

 

参照元サイト名:Kickstarter
URL:https://www.kickstarter.com/projects/katvr/kat-walk-a-new-virtual-reality-locomotion-device/description

参照元サイト名:KAT VR
URL:http://www.katvr.com/product.html

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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