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使いやすそう?インダストリアルデザイナーによるVRデバイスのプロトタイプデザイン

帽子のようなVRヘッドセット

帽子のようなVRヘッドセット

VRヘッドセットやコントローラーなどのVR関連デバイスを開発する企業は、HTC、Oculus、サムスン、Googleといった有名どころからスタートアップ企業まで無数にあるが、VRデバイスのデザインはどれも似通っている。ヘッドセットはゴーグルのようにバンドを使って頭部に固定するようになっており、入力デバイスはゲームパッド型か両手に握るハンドトラッキングコントローラーだ。

現在のデザインは分かりやすいが、これが絶対の正解というわけではない。まだVRヘッドセットの歴史は浅く、洗練されるだけの時間が経っていないからだ。各社が「それなりに使えている」デザインの模倣や踏襲を繰り返しており、全く新しくユーザフレンドリーなデザインが考案される余地も残っている。

新しいVRヘッドセットのデザイン

HTC ViveとOculus Rift

VRヘッドセットと言えばこの形

VRヘッドセットとしてイメージされるのは、HTC ViveやOculus Riftのような形か、Gear VR/Daydream Viewのような形だろう。いずれも額に当たるクッションや側頭部のストラップによってヘッドセットを固定する仕組みになっている。

この形状のVRヘッドセットも「使える」ことは事実だが、果たしてこれが最適なアプローチなのだろうか。

新デザインへの挑戦

この疑問に挑んだのが、インダストリアルデザイン企業Nonobjectのデザイナーたちだ。技術の発展によってVRヘッドセットに使われるパーツの小型化・軽量化が進めば、将来のVRヘッドセットはこのような形になるのかもしれない。

このデザインは、単なるイメージではない。彼らはOculus Riftの重量でこの形状を実現することができると考えているようだ。現実にはケーブルの問題もあるのでそのままOculus Riftの新しいデザインとして採用することはできないが、将来はこうしたデザインが使われるかもしれない。

Kepi

一つめのデザインは、「Kepi」だ。その形状からKepi(兵士や警察官が被る制帽、ケピ帽のこと)と呼ばれる帽子のような形のVRヘッドセットである。

SFファン以外にとって見慣れない形をしている現行のVRヘッドセットに比べると、警戒感を抱かせにくく親しみやすいデザインとなっている。デザインの基本は野球帽と融合したVRヘッドセットであり、一目見れば誰でもその使い方を理解できるだろう。

同時に、快適性の向上も期待できそうだ。ストラップで固定するVRヘッドセットでは狭い範囲にデバイスの重量がかかってしまうが、帽子のようなデザインにすることで重量を頭部全体に分散させられる。長時間デバイスを利用する場合でも、疲労を軽減できるかもしれない。

特にゴーグル部分のサイズが小さいモバイルVRデバイスのデザインとして採用を検討する価値があるだろう。

残念ながらヘッドホンシステムは統合されていないため、ヘッドセット本体と別にヘッドホンを用意する必要がある。この点がユーザの手間となってしまうため、製品化されるときには新たにオーディオ機能が追加されるかもしれない。

帽子を被ったときと同様にヘアスタイルが崩れてしまうのは難点だ。

Split

もう一つのデザインは、「Split」と呼ばれる。その名の通り分割することができるVRヘッドセットだ。

頭に被るように装着する他のVRヘッドセットと異なり、ゴーグル部分が中央から左右に分かれる形状となっている。使わないときには、ヘッドホンやイヤホンのように首にかけておくことが可能だ。

スマートフォンを使うモバイルVRヘッドセットでは原理的に不可能だが、非モバイルでは多くのVRヘッドセットが左右の目に対応する二つのディスプレイを備えている。Kepiと異なり内部構造を大胆に変更する必要があるが、扱いやすくはなりそうだ。

簡単に付け外しができて、使用中に誤って外れてしまうことがないようなシステムが作られれば製品化されるかもしれない。

現行のVRヘッドセットを使用中にVRから現実に戻るためには、ヘッドセットを外すか「跳ね上げる」必要がある。毎回頭から外すのは面倒だし、跳ね上げた状態で他のことをしている間も気になってしまう。首にかけられるのは大きなメリットとなりそうだ。

Spect

Spect

帽子のようなヘッドセットでヘアスタイルは崩したくない、しかしモバイルVRでも利用したいならば「Spect」だ。

Spectの形状はスイミングゴーグルではなくメガネに近いものになっており、ゴーグル本体部分から左右につるが伸びている。このつるが耳の上を通り、後頭部を押さえるようにフィットするのだ。

このデザインを採用するメリットとしては、ヘッドセットの重量を不快に感じにくいことが挙げられる。額や頭頂部に重量がかかる場合に比べて、後頭部は鈍感なのだという。

Serene

あらゆる場所にクッションがある

あらゆる場所にクッションがある

Google Daydream ViewなどのVRヘッドセットはデザインが角ばっておらず、ファブリック素材を採用したことで柔らかな印象を与えることに成功している。その路線をさらに進めた先にあるのが「Serene」だ。

このVRヘッドセットは、利用するユーザにとっても、その周囲の人にとっても柔らかい感触を与える。ユーザに触れるあらゆる場所にクッション素材が採用されているので、使用感はこれまでのVRヘッドセット以上に快適なものになるはずだ。

そして、ユーザを見ている周囲の人にも威圧感を与えないような形状となっている。ゴツいフォルムのVRヘッドセットを装着しているよりも、Sereneをはめている方が違和感は小さいだろう。

新しい入力デバイス

現行のVRデバイスでは、Bluetooth接続のリモコンやゲームパッド、あるいはハンドトラッキングコントローラーを使用する。最近では手だけでなく指の動きまでトラッキングできるコントローラーの開発も進められているようだ。

デザイナーたちは、VRヘッドセットだけでなくコントローラーのデザインも検討している。

Grasp

「Grasp」は、VR空間のオブジェクトを握るためのコントローラーだ。その形状はValveが開発しているKnucklesコントローラーに近く、ストラップで掌に固定することができるのでユーザが手を開いても落としてしまうことがない。

ゲーム内でボールを投げるような動作をしてもコントローラーを投げてしまうことはない。これまで不可能だった投擲動作をリアルに再現するゲームを作ることができそうだ。

手で握ることができる部分があるので、VRオブジェクトを掴んだときに手に何かを持っている感覚を得やすいのも特徴となっている。

Stone

Stone

VRアートを作り出す道具

「Stone」と名付けられた入力デバイスは、ゲームのコントローラーではない。しかし、VRアートを制作するときには便利に使うことができそうだ。

人類にとって最初の道具の一つであった石をモチーフにしており、ペンやマウスのように扱う道具になると思われる。ハンドトラッキングコントローラーやフィンガートラッキングによる操作と比較しても、より精密な操作ができるだろう。

 

これらのデザインはいずれも、すぐに製品になるようなものではない。だが、本物のインダストリアルデザイナーが作ったものだけあって存在してもおかしくないと思わせるものばかりだ。

Nonobjectは仕事としてこれらのデザインを作ったわけではないため、このデザインはオープンなものである。これらから刺激を受けてVR/AR業界が発展することを望んでいるようだ。

 

参照元サイト:Co.Design
参照元サイト:Road To VR

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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