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「Kokowa」は誰でも3Dオブジェクトを作れるプラットフォーム

2017/04/24 15:57

    Kokowa

    3Dオブジェクトで構成された空間を作るのは、CGやプログラミングの知識が無いと難しいように感じられる。特にマルチプラットフォームへの対応やインタラクティブ性のあるVR作品の制作まで考えると、まともに取り組めば簡単なことではない。

    「難しい作業を無くしてVRや3Dを誰もが簡単に、楽しく作れるようにしたい」と開発されたウェブ上で動作するプラットフォームが「Kokowa」だ。

    無料のサービスにウェブブラウザからサインアップし、ドラッグ・アンド・ドロップのようなマウス操作で3Dオブジェクトを作成できる。作成したオブジェクトはスマートフォンやタブレットからも見られるし、VR用に使うこともできる。

    誰もがVRの「作り手」になれる

    Kokowa

    光源が複数あれば、それに合わせて反射や影の処理をしなくてはならない

    VRの間口は狭い

    一般的に、3Dオブジェクトを作るためには専用のツールが必要になる。そのツールも多くがエキスパートやプロフェッショナル向けであり、道具を使うためには練習をしなければならい。

    マイクロソフトの最新OSを使っているユーザには、最近ペイントの3Dバージョンが提供された。これは多くの人にとって初めての3Dオブジェクトが作れるツールになるだろうが、Windowsは無料ではない。

    また、機能は最低限のものしかない。本格的な作品を作るには、ユーザの技術に頼ることになるだろう。

    3Dのモデリングやコーディングには専門の技術が必要になる。そして、完成したVRが各プラットフォームで正しく動作することも確認しなくてはならない。

    こうしたスキルや手間を要求することが、VRの作り手になる道を狭めてしまっている。

    開かれたVRのために

    Kokowaの共同設立者の一人、Peter Zuspanは、VRが多くの人に親しまれるものになるためには多様な人がVRに触れることに加えて、「作る」ことも必要だと指摘する。

    「VRがみんなに親しまれるものになるためには、みんながVRを試して、作らなくてはなりません」

    この思想を反映して、Kokowaのプラットフォームは非常にシンプルだ。全てのプロジェクトは、真っ白な四角形から始まる。これはちょうど、画家が最初に無地の白い紙に向かい合うのと似ている。

    必要ならば写真や画像を背景として設定するか、プリセットから選択することも可能だ。サイドにあるツールバーを使って、ここに自分なりのオブジェクトを配置していく。

    ドラッグしてオブジェクトを追加したり、シーン全体にフィルタを適用したり、光源を新たに配置したりといった編集機能が用意されている。

    こうしたツールを使って自由に創り出されるKokowaユーザの世界は、UnityやUnreal Engineのような既存のゲームエンジンを使った世界に比べればリアルではない。むしろ、独特のアーティスティックな奇妙さを持っていると言える。

    だが、こうした特徴は劣っている点とばかりも言えない。Kokowaの狙いは、リアルさを追求するVRヘッドセットやエンジンとは異なるところにある。

    自由に3DオブジェクトやVR空間を作れるKokowaは、誰もが3DオブジェクトやVRを発信できるようになることを目指している。

    インターネットの普及によって個人ホームページが増え、ブログやTwitterで文章を公開する一般のユーザが増えた。これと同様の流れをVRで起こそうとしているのだ。

    もちろん、個人ホームページの例と同様にほとんどの作品は日の目を見ることが無いだろう。だが、VRを馴染み深いものにする意味はあるはずだ。

    再現するVRと創造するVR

    Kokowa

    ある種のアートのような世界観に、リアルさはあまり感じられない

    Zuspanと共同設立者たちは、現実をリアルに再現したVRを目指していない。そうではなく、人々の秘めた創造性を空間作りに発揮してもらうのがKokowaの狙いだという。

    「既存のプラットフォームの多くは、リアルに存在するものをVRで再現することに適しています。

    Kokowaは現実を真似するものではなく、個人が内に持っている創造性を空間の創造に向かわせるものです」

    Kokowaによって作成される世界は魅力的ではあるが、より洗練された他のエンジンを用いて作られた世界に比べて致命的に没入感が低い。だが、彼らが想像するVRの未来にはピッタリだ。

    Zuspanは、Kokowaで作られたVRがスマートフォンやタブレットでの視聴に適した「準VR」のような経験だという。レストランで食べ物を待つ間にちょっとスマートフォンでVRを見られるような、そんな世界が彼らのヴィジョンだ。

     

    現実との境界が曖昧になってしまうような、リアルでリッチなVR作品を作るには専門的な知識と技術、そしてソフトウェアが必要になる。そうして作られたVRをフルに楽しむためにもスペックの高いハードウェアが必要だ。

    一方で、KokowaのVRはPCがあれば簡単に作れ、スマートフォンでサッと見られる。

    高品質の優れた体験は魅力的だが、クリエイターだけでなくユーザも腰を据えて作品と向かい合わなければならない。

    Kokowaが目指す、気軽に作れて気軽に見られるVRにも一定の需要はありそうだ。

     

    参照元サイト名:Wired
    URL:https://www.wired.com/2017/04/want-kick-putin-virtual-world-kokowa/#slide-4

    参照元サイト名:Kokowa
    URL:https://www.kokowa.co/

    ohiwa


    ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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