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プロジェクターを使ったARのLightformが生産に向けて5.5億円を調達

2017/11/23 15:00

壁をARスクリーンにする

壁をARスクリーンにする

現在主流となっているARオブジェクトの表示方法は、スマートフォンのカメラが映した映像に合成してディスプレイに表示するものだ。AppleのARKitやGoogleのARCoreといったスマートフォン用ARプラットフォームは、特別な3Dセンサーを搭載しない端末でも奥行きの判定を可能にしてくれる。

低コストで多くのユーザに使ってもらえることが魅力のスマホARや、独自のアプリが開発できるARグラスを使う方法の他にも、プロジェクターを使って情報を投影する方法がある。ARよりもプロジェクションマッピングと呼ぶ方が通じやすいかもしれないが、これも現実を拡張するという意味ではARに違いない。

ARオブジェクトの投影が可能なプロジェクターを開発するLightformは、5.5億円(500万ドル)の調達を発表した。

5.5億円の追加資金

Lightformのプロジェクター

ここまでのLightform

ARハードウェアの開発を目指すスタートアップ企業Lightformは、カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置いている。

同社は、今年3月に社名と同じARデバイスLightformの開発資金を集めることに成功したと発表した。このとき伝えられた金額は2.9億円(260万ドル)だったが、その後8.7億円(780万ドル)にまで投資額が膨らんでいる。

資金を提供した投資家には、Lux Capital、7 Seas、Dolby Family Ventures、Crunchfund、the National Science Foundationなどの名前が並ぶ。こうした企業や団体が、世界で初めてのARを投影するデバイスに資金を提供した。

資金の用途

過去に集めた資金でLightformの開発費用は賄われており、既にLightform社はその初めてのARデバイスを形にすることに成功している。今回調達が発表された5.5億円の資金は、開発したLighformを出荷に向けて製造するために使われるようだ。

最近では斬新なアイデアを形にするためにクラウドファンディングサイトが利用されることも多いが、Lightformはクラウドファンディングを選ばなかった。ARプロジェクターを購入したい群衆から資金を集めるキャンペーンを実施する代わりに、投資家に追加投資を求めることにしたらしい。

実現できるARハードウェア

彼らがクラウドファンディングを行わないのは、確実に製品を製造するためだ。

クラウドファンディングではアイデア段階・開発段階で発表され、資金を集めた後に企画倒れとなるものが少なくない。そうした失敗例が目立つために、発表どおりの製品が完成しないことのあるクラウドファンディングキャンペーンへの参加に慎重になってしまっている消費者もいるだろう。

Lightformは、製品を生み出すことができなかったVR/AR関連のキャンペーンが多いクラウドファンディングではなく、投資家からの資金を使うことを選んだ。ARデバイスLightformは既に形になっているため、消費者にその信頼性をアピールするよりもファンドから資金を集める方が適しているという判断に至ったようだ。

Lighform

プロジェクターとLightform

2018年発売

開発資金の調達に成功したことが伝えられた時点では2017年の夏に先行予約がスタート予定とされていたLightformだが、視覚化技術に関わる新たなハードウェアの例に漏れず予定からの遅延が起きているらしい。公式サイトによれば、発売は2018年を予定しているようだ。

現在はパートナーとアルファテストを進めており、サイト上のフォームから名前とメールアドレスを登録しておけば販売(予約)開始時に通知を受け取れるという。

Lightformの価格やスペックの詳細はまだ公開されていないが、プレスリリースによれば価格は11万円(1,000ドル)よりは下とされている。

幅広い場面で利用できる

Lightformを使ったARの魅力は、ヘッドセットを使わずに複数のユーザが同時に利用できるところだ。スマートフォンやヘッドセットを購入する必要もなく、裸眼でARオブジェクトを見ることができるので店舗やテーマパークなど多くの人が訪れる場所での利用に適している。

プロジェクションマッピングは既にコンサートやテーマパークのライトアップに使用されている。しかし、機材の扱いが複雑でコストもかかってしまうのである程度の規模があるイベントでないと活用するのは難しいだろう。

Lightform社は、Lightformで投影するコンテンツを制作するためのツール開発も進めている。コスト面でもオペレーション技術の面でも、プロジェクションマッピングとARを小規模なイベントや個人が利用できるものにしてくれるデバイスになりそうだ。

 

公式サイトの情報は3月の開発発表時からほとんど変化していないが、裏で開発が進められているLightform。新たに生産のための資金も調達し、来年には発売することができそうだ。

 

参照元サイト:Broadway World
参照元サイト:VR Room

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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