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MRが生み出す新しいエンターテイメントの形、米国の大学がHoloLensを活用した「MR演劇体験」を実施

俳優がステージ上でパフォーマンスを行う従来の演劇にMR(複合現実)を組み合わせることで、従来にはなかった新しいライブパフォーマンスが可能になる。

この取り組みは米国オハイオ州クレーブランドのケース・ウェスタン・リザーブ大学が行なっているものだ。観客はマイクロソフトのARデバイス「HoloLens」を装着して、ステージ上にAR表示される様々な3Dアニメーションと、俳優の動きを融合した新感覚のエンターテイメントを体験可能にするものだ。

概要

HoloLensを活用した「MR演劇体験」

同大学の演劇学部は「Imagined Odyssey」というタイトルのMR演劇パフォーマンスを開催する予定だ。

これは合計で80台ものHoloLensを用いるという大規模なもので、それぞれのデバイスはネットワーク接続されている。ステージには舞台装置などは一切置かれておらず、何もないステージの上でダンサーがパフォーマンスを行う。

観客はHoloLensを装着すると、ステージ上に金色のポータルや、渦巻く竜巻、魔法の木のような3Dアニメーションがダンサーの動きに合わせてAR表示されるという仕組みだ。従来の演劇では不可能だった新感覚のエンターテイメントを楽しむことができる。

HoloLensがもたらすMRの新たな可能性

これほどのスケールで(HoloLensのような)MRデバイスを用いた体験は、未だかつてありませんでした。

そう語るのは同大学の教授であるMark Griswold氏だ。同氏はケース・ウェスタン・リザーブ大学のInteractive Commonsのディレクターでもあり、同機関はホログラムを用いた様々なコンテンツ開発を行なっている。

Interactive Commonsは現在、HoloLensを用いて、これまでにない新しい情報表示の方法の開発を行なっている。現在、同機関がこれまでに開発したMR技術を、教育で使用できるコンテンツ開発を進めているという。

様々なMRアプリケーションを開発

同大学ではこれまでにもMRを用いた様々なコンテンツ開発を行なっている。今年の夏には、同大学はバーチャル技術を用いたコンテンツ開発企業のBoulevard Artsと協働して、ロンドンのコートールド・ギャラリーと、大英博物館においてインタラクティブアートの展示会を行なっている。

また、昨年にはCleveland Clinicとパートナー提携して、HoloLens用の医療アプリである「HoloAnatomy」をリリースしている。

MRが変えるアート観賞の形

マイクロソフトでWindows Mixed Reality Experiencesのゼネラルマネージャーを務めるLorraine Bardeenは、The Dailyにおいて以下のように述べている。

Microsoft HoloLensがリリースされて以来、MRによるコンピューティングへのシフトチェンジが始まっています。ケース・ウェスタン・リザーブ大学は多くの教育用コンテンツにおけるイノベーションの一端を担っています。物質とデジタルデータを融合したアートパフォーマンスを実現することは私の長年の夢でした。そしてこの夢は、同大学が行うプログラムによって現実のものになろうとしています。

VR/AR/MRを用いたアート観賞、パフォーマンスの例

「Vive Arts」プログラム

HTCは、VR空間内でアートを観賞したり、VRを用いたアート制作を支援するプログラム「Vive Arts」を展開している。

同社は現在、世界中の美術館においてVRを用いた展示会を開催している。鑑賞者はHTC Viveを装着して、没入度の高いVR空間でアート観賞ができる。VRを活用した展示会は今後も継続して開催する予定で、アートやカルチャーに関連する機関に対して投資などによるサポートも行なっていく予定だ。

また、HTC Viveコンテンツ配信プラットフォームであるViveportにも特設コーナーを設けて、VRアート作品を自宅にいながら鑑賞できるようになるとのことだ。来年にかけて同プラットフォームで鑑賞できるVR作品の数を増やしていくという。

参考:HTC、VRでアート鑑賞を可能にする「Vive Arts」プログラムを運営中。各国の美術館でVR展示会を開催

モバイルARでのアート観賞

写真共有SNSのSnapchatは、ARを用いてアート作品を鑑賞できる「ARギャラリー」を展開している。ユーザーはスマートフォンのカメラを通して、ポップアーティストのJeff Koon氏の作品を実物大で鑑賞できる。

作品は一つの場所に据え置きして配置しているので、作品に近寄ったり、周りを歩き回ったり、どんな角度からでも鑑賞することができる。展示が行われている場所にユーザーが近づくと、アプリの機能が起動して、スマートフォンのカメラを通して作品がAR表示されるという仕組みだ。

SnapchatがモバイルARを用いてアート分野に参入するのはこれが初の取り組みとなる。しかし同社は今後もARを用いたアート展示を継続的に開催する予定とのことで、本プログラムに参加するアーティストを募集している。

参考:Snapchat、モバイルARでアート鑑賞するイベントを開催予定

MRを用いたステージデザイン

今年5月に開催されたマイクロソフトのカンファレンスBuild 2017では、シルク・ド・ソレイユのメンバーがHoloLensを用いてステージ上にデジタルの舞台装置を作り出すデモを披露した。

メンバーはジェスチャー操作によって円柱や球体、立方体などの単純な形状を読み込み、それらをステージ上に配置、入れ替えながら様々なレイアウトを試すことができるというものだ。

また、VRヘッドセットを装着した遠隔地にいるメンバーが黒づくめのアバターに扮してステージ上に現れ、メンバーと協働でステージデザインを行うというデモも披露した。VR/AR/MRはエンターテイメントを鑑賞する側だけでなく、パフォーマンスを行う側にも大きな変革をもたらすものであることを示した。

参考:MRが職場にもたらす変革ーMicrosoftが実現を目指す「未来の働き方」

参照元:Next Reality This Theater Group Is Taking Entire Audiences into Mixed Reality with Networked HoloLens Headsets

参照元:The Daily Dancing with holograms: CWRU stages first-of-its-kind mixed-reality dance performance using Microsoft HoloLens

daisuke


ライター兼翻訳家。2016年12月にプレイステーションVRを体験したことをきっかけにVRに関心を持つ。ARやドローン、AIなどの先端テクノロジー全般に興味があり、SF化する世の中にワクワクしています。

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