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シンプルなインターフェイスが脳とVRを繋ぐ

2017/04/21 16:51

脳波で操作する

シンプルなヘッドバンドが脳の集中とリラックスを読み取る

人間の脳波を読み取る技術は進歩を続けており、脳波によって操作できるロボットなども登場している。

VR関連企業では、スタートアップ企業のNeurableが脳とコンピュータを直接接続するブレイン・コンピュータ・インターフェイスを開発している。

Neurableのハードウェアはプロトタイプの段階だが、脳波を読み取ってHTC ViveのVRゲームを操作することに成功した。現在も認識速度や精度の改善に向けて取り組みが続いているようだ。

Upload VRが取り上げた4 I Labも、脳波によってVRゲームをコントロールする可能性を研究している。

脳波で念力を発動する

4 I Labは、『Drunk and Dead』を開発したベラルーシのインディーズゲームスタジオだ。

彼らが開発したDrunk or Deadは、アルコールの力でゾンビウイルスに対抗するという斬新なシステムを取り入れたウェーブ型のシューターである。

飲めば飲むほど視界がボヤけて狙いが付けにくくなるが、同時にゾンビの動作は遅くなる。おまけに、ウイルスにも抵抗力が付く。だが、調子に乗って飲みすぎればアルコール中毒が待っている。

移動もできないVRシューターの定番でありながら、このジレンマがリプレイ性を高めている。血中アルコール濃度を調節しながらゾンビと戦う体験は、他のゲームにないものだろう。

念力で事故の被害者を救出

今回4 I Labが研究しているX-Power Projectでは、プレイヤーが念力を使う超能力者となる。今回のプレイヤーは注意力散漫な酔っ払いではなく、むしろ集中することを要求されるのだ。

プレイヤーの目の前には、壊れたスクールバスがある。バスは今にも崖から落ちそうになっており、中に取り残された乗客を救わなくてはならない。

プレイヤーには超能力があるので、これで一人ずつ乗客を持ち上げて安全な場所に移動させてあげれば良い。だが、このゲームを操作するのにコントローラーは使わない。

持ち上げたい相手を見て、「集中する」ことで彼を空中に浮かべる。安全な場所へと視線で誘導し、そこで「リラックスする」ことで地面に下ろすのだ。

これは本格的なゲームというよりも、脳とVRを繋げるインターフェイスの能力を示すために作られた参考作品だ。この作品自体を楽しむものではないが、脳とVRを繋げてゲームを操作する未来への可能性を感じるには十分な経験である。

ブレイン・コンピュータ・インターフェイスの進化

Neurableのハードウェア

Neurableの試作ハードウェア

コントローラーで操作するのではなく、頭で考えることでVRへの入力にするというアイデア自体はNeurableが研究しているものと変わらない。また、入力の安定感や精度についてはおそらくNeurableの方が高いレベルにあるのではないかと思われる。

Neurableはゲーム用にオリジナルのインターフェイスを開発して使用している。操作内容としても、RPGのメニュー画面で使う魔法を選んで、戦闘中に発動するといった複雑な操作も可能だとされている。

4 I Labが使っているのはゲーム用のインターフェイスではない。代わりに、瞑想を支援するためのガジェットとして開発されたMuseを使用している。Museはプロトタイプではなく、既に販売されている製品だ。

また、ゲーム内で使用するのは「集中」と「リラックス」の二つの状態だけである。このことから、認識できるのはかなりシンプルなことに限られるだろう。

ハードウェアを気軽に使えるものに

Muse本体

それでも、Museのような小型のデバイスだけで脳波を入力に使えるのは進化と言えそうだ。

頭全体を覆うような複雑なセンサーを使用する製品は、研究や診断といった目的で精度の高いデータを得るためには有効だろう。しかし、VRゲームのような日常的なホームユース用途には向いていない。

Neurableのハードウェアは高い認識精度と応答性をウリにしているが、プロトタイプ段階では本体サイズが大きめだ。また、価格がどの程度になるかも不明である。

それに対してMuseはシンプルなデザインでサイズも小さく、60gと軽量なのでゲームの邪魔になることもないだろう。価格は通常価格で250ドル、現在はスプリングセールで199ドル(2.1万円)となっている。

 

精度や応答速度といった部分が不明ではあるが、研究段階の特殊なハードウェアを使うことなく脳波による操作が可能になるのは驚きだ。

MuseはAmazon.comでも販売されている。レビューを見るとアプリ連携の安定性やセンサーの感度に対する不満も出ているようだが、全体としては決して悪くない評価を獲得している。

アプリ側で上手く処理できれば、VRと脳を繋ぐインターフェイスの先駆者としての利用価値があるのではないだろうか。

 

参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/telekinesis-use-your-mind-vr-game/

参照元サイト名:Muse
URL:http://www.choosemuse.com/

参照元サイト名:4 I Lab
URL:http://4ilab.io/

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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