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モバイル機器でのホログラム表示を可能にする?世界最薄のナノホログラムが開発される

2017/05/22 17:13

    ホログラムのカンガルー

    ホログラムのカンガルー

    SF作品に登場する宇宙船のブリッジで通信に使われたり、場合によっては登場人物の所有する小型端末にもその機能が付いていたりするホログラム。AR技術を使えばメガネやスマートフォン越しに似たようなことが可能だが、裸眼で直接見られるホログラムの研究も行われている。

    オーストラリアの首都メルボルンのRMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)で開発されたナノホログラムを使えば、現在使われているスマートフォンのような小型端末によるホログラムの表示も可能になるという。

    ナノホログラムは、これまでに研究されてきたホログラムを表示するための素材よりも薄い。その厚みは人間の髪の1000分の1だという。

    ナノホログラムの可能性

    RMIT大学が公開している上の動画では、ナノホログラムが持つ様々な可能性を見ることができる。

    ナノホログラムの研究を行っているのは、オーストラリアのRMIT大学と中国の北京工科大学の共同チームだ。RMIT大学のMin Guが代表するチームは、3Dゴーグルなしで見られるホログラムを表示できるナノホログラムを開発した。

    この素材は簡単に作ることができ、人間の髪の細さの1000倍という薄さだ。もちろん世界最薄のホログラム素材である。

    「従来のコンピュータで生成されたホログラムのための素材は、大きすぎてスマートフォンのようなデバイスには搭載できないという欠点がありました。しかし、我々の開発した超薄型ホログラムはサイズの問題を解決しています。

    さらに、シンプルにレーザーで書き込む方式によって製造しているので生産性に優れています。大量生産にも適しています」

    ホログラムを表示する機能が一般的な電子機器に組み込まれるようになれば、スマートフォンの大画面化競争も終わるだろう。空中に情報を表示すれば画面サイズ以上の情報を提供できる。小さなスマートウォッチの本体から、大量の情報を空中に表示することも可能だ。

    この技術は、AR技術との相性も抜群である。

    「ホログラフィを日常の電子機器に組み込むことで、画面のサイズは問題ではなくなります。ポップアップする3Dホログラムによって、スマートフォンやスマートウォッチの画面に収まらない情報も上手く表示できるのです」

    Minはこの技術がIT分野だけでなく医療、軍事、教育といった様々な産業を変える可能性のある革命の第一歩だと考えている。3Dホログラムは、従来の産業を一変させてしまう可能性を秘めた技術だ。

    薄さの限界を超えて

    スマートフォンから飛び出すホログラム

    これまでのホログラムを表示する素材が一定以上の薄さに到達できなかったのは、三次元の奥行きがあるように感じさせる方式と関係があるという。

    3Dホログラムに奥行きを感じるのは、「光の位相を変化させる」ことによって人間の目が錯覚を起こすためだ。そして、そのために十分な位相の変化を起こすためにはホログラムの厚みが光の波長並である必要があるという。光を扱う素材であることが、ある程度の厚みを持たなければならないという制約に繋がっていた。

    Minとチームのメンバーは北京工科大学とも協力し、「トポロジカル絶縁体材料」の活用によって25ナノメートルという薄さのホログラム素材を作り上げた。

    論文の共著者であるZengji Yueはこの研究の次の段階への意欲を見せている。現時点では新しい素材を開発しただけであり、実用化に向けてはさらなる研究が必要だ。

    「次のステップは、液晶ディスプレイの上に置くことのできるような薄くて強度のあるフィルムを開発することです。これにより、3Dホログラムの表示が可能な液晶が実現します。

    このフィルムではホログラムのピクセルサイズを少なくとも現在の10倍にまで小さくし、解像度を上げることができます。

    その先には、液晶ディスプレイに留まらずあらゆる表面で使える柔らかく、弾性のある素材を開発するという目標があります」

    これまでに行われていたホログラムの研究では厚みの限界とされていた「光の波長」を超えて、さらに薄い素材の開発に成功した研究チーム。彼らの研究は、この薄い素材を実用的な形に加工する段階に向かっていくようだ。

    液晶と組み合わせられるようになれば、それだけでスマートフォンやスマートウォッチのような小型のデバイスにホログラム表示の機能を追加できるようになる。曲面でも使える素材まで開発されれば、応用範囲はさらに拡大するだろう。

    何もない空間に映像を表示する技術は、イベントやテーマーパークのアトラクションのような大掛かりな場面で既に使われている。しかし、小型デバイスでのホログラムはこれまで難しかった。

    さらにこれらの例の場合、実際に「何もない」わけではない。実は見えにくい何かをスクリーンにしている

    この素材を使えば、家庭用や持ち運び用の小型デバイスでのホログラムも現実になりそうだ。奇しくもRMIT大学と同じオーストラリアのANU(オーストラリア国立大学)では今年、ホログラムの作成に使う装置を小型化する新素材が開発されている。立体映像が当たり前になった未来は、思ったほど遠くないのかもしれない。

     

    参照元サイト名:RMIT大学
    URL:http://www.rmit.edu.au/news/all-news/2017/may/worlds-thinnest-hologram-new-world

    参照元サイト名:Wired
    URL:http://www.wired.co.uk/article/rmit-thinnest-hologram-in-the-world


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