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NVIDIAの新たな分析ツール『FCAT VR』がVR対応PCのリアルな性能を明らかにする

2017/03/16 15:57

NVIDIAがVR対応PCの処理能力を測定する『FCAT VR』を公開した。FCAT VRでは、ヘッドセットによるフレーム補完が行われる前に、実際に生成されたフレームの数を測定することもできる。無料でダウンロードできるFCAT VRは、VR対応PCを比較するときの基準になりそうだ。

FCAT VRによるテスト結果のグラフ

VR対応とされるパソコンは多数発売されており、最高の映像品質を求めた高性能なものから価格を抑えて購入のハードルを下げたものまで目指す方向も異なる。

搭載されたCPUやGPUの性能から、ある程度それらの性能を予測することは可能だ。同じメーカーのパーツを使っているなら、世代が新しいもの・ハイクラスなものを搭載している方が性能も優れていると分かる。だが、実際にVRタイトルを起動した場合に「どの程度違うのか」は予想しにくい。

異なるメーカーのパーツが使われている場合はもっと難しい。それぞれが処理の最適化に向けて努力しているので、A社のハイクラスパーツ(型落ち品)とB社のミドルクラスパーツ(最新世代)のどちらがあなたの望むVRタイトルに向いているかは分からない。

NVIDIA FCAT VR

FCAT VR Analyzer

AlienwareのGTX 1060搭載ラップトップでRobo Recallを実行した例

こうした2台のマシンの性能を比較する方法として、ベンチマークテストのスコアを比べる方法がある。複雑な計算を終えるまでにかかる時間によってCPUの処理能力を測定したり、精密なCGを描画したときのフレームレートによってGPUをテストしたりするツールが存在する。

ベンチマークツールは、ゲーム用PCを使っているようなゲーマーにとっては馴染み深い存在だ。しかし、こういったツールではVRを処理する能力を正確に測定することはできない。GPUのメーカーやヘッドセットによって使用されている技術が異なるためだ。

NVIDIAの新しい分析ツール『FCAT VR』は、そんな悩みを解決してくれるかもしれない。このツールは単なるパーツの処理性能を比較するものではなく、実際の利用を想定した特定の状況におけるフレームレートやコマ落ちの程度を測定する機能を持っている。VR非対応のPCでも利用される一般的なベンチマークツールとは異なり、グラフィックカードのドライバやヘッドセットに対応するAPIのデータを元にパフォーマンスの計測を行うため、正確な結果が得られるという。

FCAT VRはOculus RiftとHTC Viveを動作させているときのパフォーマンスを測定することが可能だ。しかし、FCAT VRそのものはマシンに負荷をかけるようなベンチマークツールではない。

FCAT VR自体は測定をする機能しか持たないので、実際にVRタイトルを動作させながら測定を行うことになる。専用のベンチマークプログラムを走らせるのも良いが、実際に動かしたいタイトルを使うのが最も信頼できる方法と言えるだろう。

FCAT VRは無料で配布されており、改変や再配布も許可されている。ダウンロードはNVIDIAのサイトから可能だ。

FCAT VRの意義

並べられたグラフィックカード

実際にVRタイトルを動かすには、パソコンとVRタイトルを用意しなければならない。それならば、わざわざFCAT VRを使って数字を出す意味はあるのだろうか。思わしくない結果だったとしても購入してしまったものはどうしようもないし、ヘッドセットを付けて実際にプレイしてみれば良いのではないだろうか。

一般のVRユーザが家庭でFCAT VRを使う意味はあまりないように感じられる。しかし、複数の消費者が自分の使っているマシンで測定した結果を提供したり、企業が複数のマシンで比較したデータを掲載したりするならば価値はある。

実際に、UploadVRRoadToVRがこのツールを使用した結果のデータを掲載している。VR対応PCが発売されれば、このように人気タイトルでの測定結果が掲載されるのが当然になりそうだ。

集められたデータは、後からそのマシンやタイトルの購入を考えている消費者にとって非常にありがたいものだ。価格の割に高いパフォーマンスを発揮しているモデルを探したり、要求スペックが高すぎるタイトルの購入を避けたりすることに利用されるだろう。

FCAT VRによるデータならば、比較も容易だ。VRの快適さに対する感じ方は個人差が大きいが、数字として出るので間違いがない。

ユーザによってはフレーム補完の発生に気づかないことも考えられる。各VRヘッドセットに搭載されたAsynchronous Space Warpのようなフレーム補完技術は自動的に働くため、PCの処理が追いついていなかったとしてもそれを隠してしまう可能性がある。

FCAT VRはそういった技術が働いたかどうかも記録してくれるので、小細工なしの処理性能を明らかにする。

「同じくらい快適なVR体験ならフレーム補完技術に頼っていても良い」と思われるかもしれないが、フレーム補完によってギリギリ動いているようなスペックでは将来のVRタイトルには力不足となるだろう。実際の処理能力が分かることで、より長く使い続けられるマシンを選ぶことも可能となる。

ベンチマークの結果ばかりにこだわるべきではないが、これまで曖昧にしか分からない状態だったVR処理能力を正確に測定するツールとして歓迎すべきだろう。

 

 

参照元サイト名:NVIDIA
URL:http://www.geforce.com/whats-new/guides/fcat-vr-download-and-how-to-guide

参照元サイト名:RoadToVR
URL:http://www.roadtovr.com/vr-ready-gpu-benchmark-comparison-nvidia-gtx-1080-ti-1080-1070-1060-amd-rx-480-fcat-vr/

参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/nvidias-fcat-tool-benchmarks-vr-hardware-experiences/

     

     

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。