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OculusGoを装着したまま飛行機を操縦!「操縦がより簡単、かつ正確になる」と米国企業が取り組む

航空機の操縦というと、複雑な計器類や視界を常に確認しながら飛ぶ必要があり、高度なスキルが要求されます。

ですが、VRを操縦時に使用することで従来の操縦をより簡単にかつ正確なものにできると、アメリカの企業が取り組みを行なっています。


VRデバイスを着けたまま航空機を操縦!米国企業の取り組み

VRデバイスを装着したまま航空機を操縦する取り組みを行っているのは、米国テキサス州にあるスタートアップ企業のThrust Vectorです。

Thrust Vector社の創業者であるJohn Nagle氏とPaul Sommer氏の2人は、航空機のコックピット内でVRデバイスを装着することで、飛行時にリアルタイムのナビゲーションを得られるシステムを開発しています。

Oculus Goを被って航空機を操縦

Thrust VectorがYouTubeに投稿した動画では、Nagle氏がパイロットとして軽飛行機に乗り込み、Oculus Goを着けたまま操縦を行っています。また、Sommer氏は副操縦士として乗り込み、裸眼で安全確認を行っています。

Nagle氏の視界には、現在飛行中の風景がリアルタイムでVR空間に表示されています。

Nagle氏が着けているOculus Goには、高度や行先、GPS情報などを取得するための機器が装着されており、ゲームエンジンのUnityによってこれらの情報がVR空間内に反映されます。

VRへの情報伝送にはMapbox社のマッピングソフトが使用されており、これによって飛行中の視界をVR空間内に正確に反映できる、という仕組みです。

VRデバイスを着けた操縦は安全なのか?

航空機の操縦というと、視界や計器類を常にチェックしながら飛ぶ必要があるので、VRデバイスを着けて視界を覆ってしまうのは危険じゃないのか、と考えてしまいますよね。

ですが、Nagle氏は公式ブログにて、「操縦中に視界を全て覆うデバイスを着けるのは不自然に見えるが、これまでに行ったテスト飛行では、すぐに自然なものに感じられるようになった」と述べています。

また、

「これまでの飛行では、VRデバイスを使用していない時よりも操縦が簡単になったし、高度や針路の維持もより簡単になった」

と、VRを使うことで操縦がより簡単に、かつ正確なものになると述べています。

これは軽飛行機の操縦の際、ジェット戦闘機の操縦に用いるヘッドアップ・ディスプレイのように様々な情報がVR内の視界に重ね合わせて表示されるので、計器を見るためにいちいち下を見なくても済むことに起因しています。



ARは操縦に応用できるか?

それならば、現実世界に情報を重ね合わせるARのほうが操縦に向いているのでは?という質問に対して、Nagle氏は

「正直なところまだ分からないが、自分はVRのほうが好みだ。(VRは)仮想上のクリアな視界を提供してくれるし、それによって操縦に集中できる」

と述べています。

また、ARはリアルの計器類を確認することが容易になる、とも述べていますが、VR/ARを操縦に応用する取り組みはまだ模索中であることが伺えます。

Thrust Vector社は現在、VR/AR両方を取り入れた操縦用ソリューションの開発にも関心があり、これはヘッドセットに内蔵されたカメラを通して、コックピット内の映像をデバイス内で表示する、というものです。

これによってVR内でクリアな視界を維持できると共に、ARによって計器類の視認も簡単に行えます。コックピットで使用できる最も理想的なシステムを開発するために様々な技術を導入していく、と述べています。

開発段階の技術、更なる進化の可能性

Thrust Vector社はこれまでのところ、VRを用いた飛行を24回近くテストしていますが、まだ解決すべき課題もあるとのことです。

例えば、着陸時に高度を下げる際、高度50フィート近くになると3DoF(頭の回転のみをトラッキングする)VRデバイスでは着陸が困難に感じられるなど、まだハードウェア面においても実用化できる水準には至っていないようです。

ですが、将来的にはFCC(連邦通信委員会)の許諾を得て商用目的での飛行を目指しており、またヘリコプターの操縦にもVRを応用するなど、今後も開発を続けていくとのことです。

まとめ

VRデバイスを着けたまま高速で移動する航空機を操縦するとなると、ちょっと怖いと思ってしまいますよね。

ですが、実際に操縦時にVRを使用した人によると、VRを使うことで操縦がより簡単に、かつ正確なものになると述べています。

また、VR空間内では常にクリアな視界が表示されるので、現実世界が悪天候であったり夜間時など、視界が確保しづらい状況では特に有用なソリューションになりそうです。

VRによって、複雑な航空機の操縦がより簡単、かつ正確になることで、例えば航空機の操縦経験のない方でも手軽にフライトを体験できるようになるかもしれません。将来性のある取り組みで、今後の発展が楽しみになります。

参考サイト:VRScout










フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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