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Oculus、最新ハンド・コントローラーのデモ動画公開。25ヶ所をトラッキングして自然なシンクロを実現

2017/07/26 11:59

Oculus社は、研究中の新型ハンド・コントローラーのデモ動画を公開した。25ヶ所のトラッキング・ポイントを数多くのトラッキング・カメラで追跡する同コントローラーは、かつてないほどの自然なトラッキングを可能としている。

海外メディアUploadVRは、Oculus社が公開したハンド・コントローラーのデモ動画を紹介した。

柔軟な素材を用いた自然なハンド・コントローラー

同メディアによると、Oculus社のチーフ・サイエンティストのMichael Abrashが「VRの大いなる挑戦:Michael Abrashが考えるヒューマン・インタラクションの未来」と題された記事をOculus社公式ブログに投稿した。同記事には、最新のハンド・コントローラーに関するデモ動画が掲載されていた。

デモ動画におけるハンド・コントローラーは、現在までに発表されている多くのハンド・コントローラーがモーターや電線で構成された「ガジェット感」にあふれたものであるのに対して、布のような柔らかい素材で作られていることが特徴的である。柔軟な素材で作られていることによって、ユーザーの手の動作とバーチャル空間における手の動きが、かつてないほどに自然かつリアルにシンクロしている。

ブログ記事において、同氏はこのコントローラーについて、以下のように説明している。

不運なことに、手は25の自由度を持っており、かつ自己遮蔽性(self-occlusion)もある。

それゆえ、現時点ではデモ動画のようなトラッキングのクオリティを実現するためには、リトロリフレクターを実装したグローブと多くのトラッキングカメラが必要とされる。

以上の説明における自由度とは、入力デバイスにおける情報の次元数を意味するヒューマン・インターフェース設計における専門用語である。簡単に言えば、入力デバイスに入力できる情報の数である。例えば、PCのマウスが正常に動くには、ディスプレイにおけるx軸とy軸の情報が必要なので2の自由度がある(ボタンもあるので、実際のマウスの自由度はもっと多い)。

「手には25の自由度がある」という説明は、手のリアルなトラッキングを実現するためには、手における25ヶ所のトラッキング・ポイントが必要という意味と解釈できる。また「自己遮蔽性」とは、指どうしが重なってトラッキング・ポイントを覆い隠してしまうことがあることを指していると思われる。

また、説明にあるリトロリフレクターとは光を反射する装置であり、鏡では反射できない入射角が0°の光でも反射させることが可能である。

Oculus(Facebook)社のハンド・コントローラー開発の歩み

実のところ、本記事で紹介した新型ハンド・コントローラーに関しては、その開発過程を本メディアで紹介していた。

Oculus Researchにおけるザッカーバーグ氏

本メディア2017年2月10日付の記事では、FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏が同社傘下のOculus社の研究所を訪問したことを報じた。

Oculusの手袋型コントローラーを使う様子

Oculusの手袋型コントローラーを使う様子

同記事では、同氏が手袋型のハンド・コントローラーを装着している様子を映した画像を掲載した。このハンド・コントローラーは、本記事で紹介した新型ハンド・コントローラーと同一のものと思われる。その証拠に、上記に引用したMichael Abrash氏の説明にあった「多くのトラッキングカメラが必要」という記述と、画像に映った多くのカメラの存在が一致している。

硬さの異なる素材から構成されたハンド・コントローラーの特許

また本メディア2017年4月10日付の記事では、「硬さの異なる素材」が使われるハンド・コントローラーに関する特許をFacebook社が取得したことを報じた。同特許の要約文には、以下のような記述がある。

ヒトのカラダが接触している箇所に関するVR制御システムとは、ひとつかふたつの異なった堅さの素材を、異なった制御箇所に配置することによって構成されている。

具体的には、ヒトのカラダで比較的動きの少ない箇所には、固い素材を編み込んで動きを制御する。反対に、動きが多い箇所には柔らかい素材を編み込んで、ユーザーのカラダの動きにより柔軟に対応するようにする。

同特許には、以下のような画像も掲載されていた。

同特許は、新型ハンド・コントローラーの基本構成を説明したものと思われる。同コントローラーに見られる布の上に実装された黒い部分は、「動きを制御する」硬い素材に対応し、おそらくはトラッキング・ポイントではないかと思われる。

「精神物理学」を応用したハプティック・コントローラーの研究

新型ハンド・コントローラーは、手の複雑な動きをトラッキングするものであり、触覚を再現する「ハプティック・コントロール」は実装されていないように思われる。

とはいうものも、Facebookはハプティック・コントロールに関する研究も進めていると推測される。本メディア2017年3月22日の記事では、同社が「精神物理学」のエキスパートを探す求人を出したことを報じた。

精神物理学とは物理的な刺激と人間心理の相互関係を研究する分野で、この分野の代表的な成果として物理的刺激と感覚は比例関係にあるとする「フェヒナーの法則」がある。

同社が精神物理学のエキスパートを探す背景には、一定の人工的な刺激からバーチャルな触覚を発生させるハプティック・コントローラーの研究開発を進めたい思惑があると推測される。

以上のように、Oculus(Facebook)社のハンド・コントローラーの研究開発は、同様のデバイスを開発している企業や研究所と比べても、トップクラスにあると言ってよいだろう。自然かつリアルで実用的なハンド・コントローラーは、次世代Oculus Riftコントローラーであるかも知れない。

Oculus社が公開したハンド・コントローラーのデモ動画を紹介したUploadVRの記事
https://uploadvr.com/oculus-video-shows-advanced-hand-tracking-gloves/

上記記事のソースとなったOculus幹部Michael Abrashが投稿したブログ記事
https://www.oculus.com/blog/vrs-grand-challenge-michael-abrash-on-the-future-of-human-interaction/

     

     

吉本幸記


千葉県在住のフリーライター。ITエンジニアとしてスマホアプリの開発等に携わった後、 フリーライターとして独立。VRをはじめとした最新テクノロジーがもつ社会変革の可能 性に注目している。 http://resume21century.blog.fc2.com