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カリフォルニア州の図書館でOculus Riftの設置が始まる

2017/09/18 11:49

図書館に設置されたOculus Rift
図書館に設置されたOculus Rift

図書館に設置されたOculus Rift

VRInsideでは以前、カリフォルニア州の図書館に100台のOculus Riftを設置するプログラムが進められているというニュースを伝えたことがある。6月の発表では今後3ヶ月で90の図書館に100台のOculus Riftを設置するとされていたが、あれから3ヶ月で計画は進められているのだろうか?

Library Journalが伝えたところによれば、既にカリフォルニア州全土の90を超える図書館にOculus Riftが設置されたという。デバイスのコストに比べれば低価格でVRを体験できるアーケード施設も増加しているが、図書館ならば低価格どころか完全無料でVR体験が可能だ。

図書館の仕事

洋書の並ぶ本棚

古い本や高価な本も並ぶ図書館の書棚

図書館は、個人によって利用頻度の差が大きい施設だ。毎週末に近所の図書館を訪れるという本の虫から、近づいたこともないという非図書館ユーザまでいる。

情報の提供

信頼できる主な情報源が新聞や書籍といった活字メディアだった時代には重要施設だった図書館だが、現在ではインターネットを使って簡単にニュースやちょっとした疑問を調べることができるようになった。多くの情報がその場で、無料で手に入るとなればわざわざ遠くの図書館を利用するユーザが減るのも仕方がない。

特に鮮度の高い情報に関しては書籍よりもインターネットで集めた方が良い面もある。出版には時間がかかるため、どうしても時間差が生まれてしまうからだ。資料としてまとめて情報を得るためには専門の書籍が有効だが、最新の知見を得るには書籍よりも新聞や雑誌、あるいはインターネットサイトの方が適している。

ただ、鮮度を重視すると誤りが増えるのも事実だ。急いで情報を伝えようとすることで誤植や誤った情報も増えてしまう。また、何のチェックも受けずに個人が情報を発信できるインターネット上には勘違いや悪意あるデマも多い。

その点、図書館に並ぶ書籍は時間が経っている分誤りは少なくなっている。もちろん著者個人の思想に偏った本や誤植だらけの本もあるが、全体の傾向としては少なくなるはずだ。

さらに、図書館は無料で利用できる。インターネットは使い放題が一般化しているのであまり有料という印象がないが、通信料が必要だ。図書館であれば、通常は有料で購入しなければならない情報を無料で得ることができる。

機会の提供

このプログラムでは、VR体験も無料で提供される。

Oculus RiftはPCベースのヘッドセットで、利用環境を整えるには10万円程度のコストがかかる。VRアーケードに行けば購入するよりも安く利用できるが、それでも1時間あたり数千円の利用料がかかってしまう。

このプログラムの目的の一つは、様々な人に最新の技術に触れる機会を提供することだ。誰でも本を読んで知識を得ることができるのと同様に、最新のVR技術を体験できるべきだという考えに基づいて図書館にVRデバイスが設置された。

家庭でOculus Riftを購入できるほど裕福ではなくても、図書館でVRを体験し、プログラミングの書籍を使ってエンジニアになるための勉強をする子供も出てくるかもしれない。試してみるチャンスが得られなければ、彼らがその道を選ぶこともないだろう。

VRへの反応

図書館の準備

この試みはまだ試験的なもので、Oculus Riftが設置された図書館施設は90箇所程度だ。このプログラムの対象となるには、施設がそれに適した環境を整えている必要があったという。

VRヘッドセットを身に着けたユーザが安全に身体を動かせるだけの空間を用意しなければならないし、スタッフはデバイスの使い方を利用者に説明できるように勉強しなければならない。デバイスの管理をするのも図書館のスタッフなので、知識は重要だ。

マリン郡の図書館では、ITに詳しい10代のボランティアたちが助けとなっているという。

世代による違い

幅広い年齢層の利用者が図書館を訪れてVRを利用するが、それぞれの好みは異なるという。プログラムが成功するためには、様々な世代にアピールできるコンテンツの選定も重要になるかもしれない。

幼い子供たちはVRで提示される物語に興味を持つ一方で、10代の子供や若者になるとVRゲームにより興味を示すようになる。大人の場合は、実際にVRを体験すると想像よりも技術が進んでいることに驚くことが多いようだ。

教育への利用

最新のVRゲームは魅力的だが、VRはより教育的な目的で利用することもできる技術だ。

環境問題や動物の生態を学んだり、肉眼では見ることができないミクロの世界を探検したりするためのコンテンツも作られている。

VRを体験してもらうことだけでなく、こうしたコンテンツによる教育効果を調べるのもプログラムの目的である。

 

既にデバイスを導入した図書館での反響によっては、より多くの施設でVR体験ができるようになるかもしれない。10年後には、図書館のVRデバイスを使った体験をきっかけにVRゲームを作り始めた開発者、あるいは宇宙や歴史を研究するようになったという研究者も出てきそうだ。

VRが誰でも利用できるものになることで、何かが変わり始めているのかもしれない。図書館に、本を提供するだけではない新しい役割が生まれつつある。

 

参照元サイト名:Library Journal
URL:http://lj.libraryjournal.com/2017/09/technology/oculus-virtual-reality-tech-rolls-california-libraries/

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