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Oculusが2018年に200ドルのワイヤレスVRヘッドセットを発表予定

2017/07/14 11:17

399ドルで販売されるRift

Riftを大きく値引きするOculus

先日、Oculus Rift本体とTouchのセットを5万円で販売し始めたOculus。この価格は期間限定のセール価格だが、PCベースのハイエンドヘッドセットがハンドトラッキングコントローラー付きでこの値段というのは大きな驚きだ。

このセールが始まってから、販売数が大きく増えたVRゲームも出てきているらしい。5万円という価格は、それほどのインパクトがある。

そんなOculusの低価格戦略は続く。来年には、200ドル(2.3万円)のワイヤレスVRヘッドセットを発売する予定があるという。

モバイルVRとハイエンドVRの橋渡し

HTCが開発する独立型ヘッドセット

HTCはスタンドアロンタイプのVRヘッドセットを開発している

現在のVRヘッドセット

現在のVRヘッドセットは、大きく二つに分けられる。スマートフォンをはめて使うゴーグルタイプのデバイスと、PCまたはゲーム機と有線接続して使うハイエンドデバイスだ。

前者はスマートフォンの価格を考えなければ数百円から1万円程度と安価に手に入るのが特徴だ。また、スマートフォンを本体にはめ込むだけなのでVR体験の最中にPCとヘッドセットを繋ぐケーブルに煩わされることもない。

反面、性能は高くないのでVR体験の内容には制限がかかってくる。

現行のモバイルVRヘッドセットでトラッキングできるのは、頭を傾けたり回したりする動きだけだ。ユーザが前後へ移動したことは認識できないし、手の位置を正確に認識するハンドトラッキングコントローラーも無い。

初めてVRを体験するには向いているが、本格的なVRゲームを楽しみたいならば力不足となる。

後者は優れたVR体験の質が長所だ。その場での回転だけでなく前後への移動までトラッキングされ、ハンドトラッキングコントローラーやPlayStationシューティングコントローラーによってユーザの動きをコンテンツの操作に使用できる。

スマートフォンよりも高性能なPCやゲーム機を使って映像の処理をするので、解像度や視野の広さといった部分でもモバイルVRより有利だ。

欠点としては、価格の高さがある。本体と周辺機器だけでも5万円から10万円程度のコストがかかってしまう上に、PCベースのヘッドセットでは高性能なPCが、PSVRではPS4が必要だ。

VRデバイスのスイートスポット

現在のVRデバイスには、この二つの間に入るようなものが存在しない。

FacebookのCEO、Mark Zuckerbergは昨年のOculus開発者会議でGear VRとOculus Riftの間にあるこの隙間こそがVRのスイートスポットだと語っている。

彼らはこのエリアに可能性を感じているが、まだこのエリアに該当する製品を販売していない。

カンファレンスの中でも製品が発表されることはなかったが、スタンドアロンのVRヘッドセットというカテゴリに対してOculusが投資を行っているのは事実だとスポークスパーソンも認めている。

Oculus RiftのライバルとなるHTC Viveを開発するHTCもDaydreamに対応するスタンドアロンタイプのヘッドセットを開発しており、公式サイトによれば年内に登場するという。

このジャンルでも、OculusとHTCのVRプラットフォームの覇権を巡る争いは続きそうだ。

"Pacific"ヘッドセット

現在開発が進められている新しいVRヘッドセットは"Pacific"のコードネームで呼ばれており、モバイルVRとハイエンドVRの隙間を埋めるようなデバイスになるようだ。

このデバイスはOculus Riftと同様にVRゲーム、VR映像、VRコミュニケーションアプリなどを利用するためにデザインされている。

デバイスのデザインや機能はまだ確定したものではないため変更される可能性があるが、Riftをコンパクト化したようなものになっているという。サムスンのGear VRよりも軽量だという話もある。

Oculus Riftのように家でじっくり使うものではなく、飛行機での移動時間にサッと鞄から取り出して暇つぶしに使えるようなデバイスとして考えられているようだ。ちょうどスマートフォンやタブレットで動画を見るのと同じイメージである。

今はまだVRヘッドセットが新奇なデバイスの域を脱していないので、もし公共交通機関の中でVRヘッドセットを使っていれば目立ってしまうだろう。

だが、Pacificヘッドセットが登場すれば外でVRデバイスを使うのも自然なことになるのかもしれない。そのためにも、悪目立ちしないデザインであることが望ましい。

新VRヘッドセットの計画

2017年にリモコンが登場したGear VR

サムスンのGear VRは、2017年にリモコンに対応した

Santa CruzとPacific

OculusのワイヤレスVRヘッドセットと言えば、"Santa Cruz"のコードネームで呼ばれているものがある。

こちらは今回噂になっているPacificと異なり、PCを必要とするVRヘッドセットだ。高性能な「ワイヤレス化したOculus Rift」とでも呼ぶべき存在である。

FacebookはSanta Cruzの開発も続けているので、2018年にはVR体験の質を重視したデバイスと手頃な価格のデバイスがどちらもワイヤレスで登場するかもしれない。

リモコンへの対応

Oculusが開発を進めるPacific VRヘッドセットがどのようなスペックの製品になるのかは不明だが、リモコンでの操作に対応したインターフェイスになるとされている。

Oculusのパートナーであるサムスンが開発するGear VRは、2017年にリモコンで制御することが可能になった。Pacificヘッドセットでも、Gear VRのようにセンサーを内蔵したリモコンを使った操作に対応する可能性は高い。

Xiaomiとの協力

まだデバイスの詳細が分かっていないにもかかわらず、新しいVRヘッドセットの製造に関する情報が入っている。

Pacific VRヘッドセットの製造では、Oculusと中国のXiaomiが協力する計画だという。詳しい人物によれば、世界展開に向けてXiaomiが契約している製造業者のネットワークが活用される予定だ。

Xiaomiはこの件についてコメントすることを拒否しているが、スマートフォンを製造するネットワークを持っていることを考えればあり得る計画だ。

Snapdragonの採用

これも詳しい人物から情報として、Pacific VRヘッドセットにはQualcommのSnapdragonモバイルチップセットが採用される予定だとされている。

Qualcommも、Xiaomiと同じくこの問題に関するコメントを拒否している。

ポジショナルトラッキング非対応

Pacific VRヘッドセットは、Gear VRよりも優れた性能でVRゲームが可能だとされている。しかし、Oculus Riftのようなポジショナルトラッキングには対応しない。

ポジショナルトラッキングに対応するためには、Oculus Riftのように外部にセンサーを設置するか、マイクロソフトのWindow Mixed Realityヘッドセットのようにインサイドアウトの技術を利用しなければならない。

外部センサーを使えばモバイルVRの利便性が失われ、インサイドアウトのトラッキングに対応させればコストが嵩んでしまう。200ドルと安価なPacificヘッドセットでは、ポジショナルトラッキングに対応させるのは難しいのだろう。

ただ、将来のバージョンではポジショナルトラッキングに対応するという情報もある。あえて外部センサーを追加するとは考えにくいので、インサイドアウトのトラッキングにかかるコストの削減を進めるのだろうか。

ストアの計画

新しいVRヘッドセットを消費者にアピールするには、彼らが利用したくなるようなVRコンテンツが必要だ。

Facebookは、この新しいヘッドセットのリリース時に対応するVRゲームをストアに並べようと考えている。そのために、VRゲームのデベロッパーに対しては今年の10月までにデバイスの情報を提供する予定だという。

また、コンテンツストア自体もデバイスから直接アクセス可能なVRインターフェイスにリニューアルされるという。

この情報が正しければ、10月までにはPacific VRヘッドセットに関する詳細が明らかになるだろう。

Pacificヘッドセットのリリース自体は来年になってしまうので年末商戦には間に合わないが、発表されるスペック次第では「ホリデーセールで他社のVRヘッドセットを買うのを我慢して、Pacificのリリースを待つ」というゲーマーも出てくるかもしれない。

 

情報は少ないながらも、Oculusが開発する200ドルの独立型ヘッドセットというだけで話題性は十分だ。性能面でもGear VRより上とまで言われているので、初めてVRデバイスを購入しようと考えるユーザにとっては最初に検討する候補となるかもしれない。

Gear VRやDaydream ViewといったモバイルVRヘッドセットに比べると少しだけ価格が高くなるが、対応するスマートフォンを持っていないユーザならばPacificを選ぶのではないだろうか。

 

参照元サイト名:Bloomberg
URL:https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-07-13/facebook-said-to-plan-200-wireless-oculus-vr-headset-for-2018

ohiwa


ライター兼システムエンジニア。VR・ARには、「SFっぽい!」というシンプルな理由で興味を持つ。仕事以外ではボードゲームやTRPGで遊び、本を読んで花を育てるアナログ人間。万年筆と着物・和菓子が好き。

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