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実際の手術現場をVRでリアルに再現!医療教育向けのソリューション登場!

様々な専門知識やスキルが要求される医療業界においても、VRの活用が進んでいます。

医学生が手術のトレーニングを行う際にVRを使用することで、従来よりもコストや手間を削減できる上、かつ実際の手術と同じ状況を手軽に再現することができます。


実際の手術をVRで再現できるソリューションが登場

従来の医療教育では、手術のトレーニングを行う際はおもに検体用の遺体を用いて行っていましたが、こうした方法は多額のコストを伴う上、準備なども含めて多大な手間と時間を要していました。

近年では、コンピューターを活用して手術の様子を疑似的に再現する技術なども登場していますが、専用の機器を導入する必要があり、おもにコスト面が参入障壁となり普及が進んでいませんでした。

VRで手術現場のシミュレーションを再現

しかし、VR技術を活用することで、低コストで手術現場のリアルな状況を再現することが可能になりました。

医療用のシミュレーターを開発する英国企業のFundamentalVRは、VRを活用した手術現場のシミュレーションプラットフォーム「Fundamental Surgery」を開発、おもに医療教育機関を対象に提供しています。

「Fundamental Surgery」を活用することで、これまで多額のコストを要していた手術のトレーニングを低コストで行うことが可能になり、かつ使用する設備も最小限に収まるため、導入が容易になります。

実際の手術の状況をリアルに再現

「Fundamental Surgery」で必要となるのはOculus RiftなどのVRヘッドセットと、手術用の器具操作をシミュレーションするためのハプティック(触覚)デバイス、そして専用アプリのみです。

VRを用いたシミュレーションでは、映像と音声、そしてハプティクスを用いることで、実際の患者を対象に手術を行っているかのような体験が可能です。

実際の手術で発生する予期しない事態なども再現することが可能で、たとえば想定外の部位からの出血や、患者の容態の急変なども再現できるとのこと。

また、VR内で行った手術のシミュレーションを評価することも可能で、たとえば手術のテクニックの正確さや、患者にどのような影響をもたらしたかをフィードバックすることができます。

ですので、おもに医学生の教育において活用できるソリューションであり、手術のシミュレーションを手軽に、何度でも体験することができます。

低コストで導入できる点もメリット

「Fundamental Surgery」で必要となるのはVRデバイス、および専用のハプティックデバイス、そして専用のPCのみであるため、従来よりも低コストで導入できます。

海外VRメディアのVRScoutによると、「Fundamental Surgery」の導入にかかるコストは、検体用の遺体1体分の価格よりも低コストとのことで、様々な医療教育機関においての導入を見込んでいます。

ちなみに、FundamentalVRの公式サイトでは価格が提示されていますが、通常版の価格は1年間のサブスクリプションで3,500ドル(約38万円)、もしくは月額350ドル(約3万8,000円)で使用できます。通常版では膝や尻部などの関節部分を再現したパーツが付属します。

また、拡張版では通常版の内容に加えて腰椎、肩部を再現したパーツが付属しますが、こちらは年額12,000ドル(約132万円)、月額1,200ドル(約13万円)となっています。

「手術のトレーニングを民主化する」

FundamentalVRのCEOであるRichard Vincent氏は、VRFocusの記事において「我々のミッションは手術のトレーニングを民主化することで、より安全に、導入しやすく、かつ世界中の誰もが使えるようにすることだ」と述べています。

また、「医薬品業界のトップの方たちのサポートに加えて、最新のVR技術とハプティクス技術者たちによって、最小限のコストでどこでも導入できるソリューションを開発した。これによって手術を行う医師たちが、安全な環境でスキルアップの訓練を何度でも積むことができる」と述べています。



医療業界でも普及しつつあるAR/VR

ARやVRというと、もっぱらエンターテイメントにおいて普及している技術という印象ですが、医療業界においてもAR/VRは大きな効果を発揮する技術として注目されています。

当メディアでも、これまでに医療業界でのAR/VR活用事例を取り上げてきており、そのうちのいくつかをご紹介します。

虫歯治療のストレスをVRで軽減

歯科医での治療は大人でも苦痛を伴うものですが、ここにVRを取り入れることによって、治療中のストレスを軽減するサービスが提供されています。

歯科医向けのVRサービス「BiPSEE歯科VR」では、VRが持つ「Distraction(=気晴らし、気をそらす)」効果を活用して、治療中の痛みや不安を和らげます。

同サービスは大人・子ども両方向けに提供されていますが、子ども向けのサービスでは、たとえば治療中にVRゲームで遊ぶことによって、子どもはVRゲームの面白さに夢中になって、治療中の緊張感や恐怖を忘れることができます。

また、来院前に歯科医院内の様子や、治療を行う歯科医が優しく笑いかける様子を360度動画で視聴することで、通院する歯科医院にたいしてポジティブな印象を与えることを目的としています。

ARで医療プロセスを効率化

また、英国のバーミンガムシティ大学では、ARを用いて医療プロセスを簡略化、効率化するアプリを開発しています。

たとえば、患者のデータを記載した図表をホログラムとして表示したり、患者の入院歴や治療過程、もしくは患者の臓器や骨を3Dデータ化してAR表示します。

マイクロソフトのMRデバイス、HoloLensなどを装着してこのアプリを使えば、ジェスチャー操作のみでこうしたデータに素早くアクセスすることが可能で、かつデータを直感的に把握することが可能になります。

3Dデータは複数の医師間で共有できるので、情報共有がよりスムーズになり、また医学生の教育などにおいても大きな役割を果たすことが期待されています。

まとめ

検体用の遺体を用いて行う手術のトレーニングは、コストや手間を要するため実施できる機会が限られますが、VRであればハードウェアとアプリのみの導入で、何度でもトレーニングを行うことができます。

また、実際の手術の現場において起こりえる様々な状況をシミュレーションできるので、より実際の状況に対する対応力を磨くことができます。

こうしたVRを用いたトレーニングはこれまでも様々な開発が行われてきましたが、「Fundamental Surgery」がそうであるように既に実用化も進んでいます。

今後、トレーニングや教育においてVRの活用が進むにつれて、従来の教育がより効果的になり、かつコスト削減などの効率化も進みます。

【関連リンク】VRScout










フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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