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進むVR/ARの軍事転用、10年以内には2,000億円規模の市場になるとの予測

医療や教育など、様々な分野で活用が進むVR/ARですが、軍事分野においてもメリットをもたらす技術として注目されています。

予測では、今後VR/AR技術は軍事分野での活用がさらに進み、2,000億円以上もの価値を持つ巨大な市場になるとされています。


軍事分野でも活用が進むVR/AR、市場は巨大化するとの予測

VR/ARは兵士の訓練や、実戦でも活用できる技術として研究・開発が行われています。

先日公開されたレポートによると、VR/AR技術は今後軍事分野での活用が加速し、2025年には17.9億ドル(約2,000億円)規模の巨大な市場になると予測しています。

VR/ARを軍事分野で活用するメリットとは?

2017年にVR/ARを活用した軍事分野の市場規模は約5.1億ドル(約570億円)だったので、今後10年間で大きく成長する可能性を示しています。

VR/ARを軍事転用すべき理由として、費用対効果の高さが挙げられます。

たとえば兵士を訓練する場合、従来は実際の建物や広大な土地を使って訓練を行っていましたが、こうした訓練には多大なコストがかかります。

防衛分野でVR活用を進める企業Bohemia Interactive Simulations(BISim)のバイスプレジデントであるJohn Burwell氏は、

「(現在の軍事分野は)危機に直面しており、準備に要する費用や予算面において問題がある」

と述べています。

兵士のトレーニングにかかる費用をVR/ARで削減

こうした問題を解決できる技術として注目されているのがVR/ARです。

BISim社ではVR/ARを活用した航空機パイロットやパラシュート降下のシミュレーター開発を行っていますが、こうした製品に使用している技術は、ゲーム向けに開発されたものです。

VR/ARを用いたシミュレーションはより低コストでの運用が可能で、現在の軍事・防衛分野が抱えるコスト的な問題の解決につながります。

こうしたゲームを活用したトレーニングやシミュレーションは、例えば航空機のパイロットのトレーニングなどにおいて既に活用されていますが、同様に多大なコストのかかるものでした。

ですが、VR/ARによってシミュレーター装置の低コスト化が可能になり、Burwell氏は「次世代のトレーニングシステムはVR/AR技術のメリットを多大に享受するものになる。大幅な低価格化を実現して、かつより高性能なものなる」と述べています。



一般の市場に与える影響とは?

Burwell氏はまた、VR/ARが軍事・防衛分野で普及するにつれて、そのメリットは一般市場にも及ぶと述べています。

Burwell氏は

「軍事用のAR/ARソリューションは、トレーニング目的の特別な機器によって運営される。例えば高解像度のHMDなどは、遠くまでを見渡すパイロットのトレーニングに必要となる。今日、こうしたニーズに応えるためには特殊なハードウェアが必要となる。しかし製品サプライヤーのロードマップは、こうした高価格で複雑な技術は数年以内にコモディティ化することを示している」

と述べています。

軍事利用のために開発された高性能なVR/AR技術がやがて一般向けの製品にも反映されるようになり、VR/AR開発の促進につながる、というわけですね。

倫理的な問題も

ですが、ゲーム目的に開発された技術を軍事転用することには倫理的な問題も生じますが、Burwell氏はこうした倫理的な問題はこうしたツールをどのように使うかによる、と述べています。

「(VR/ARを利用した軍事シミュレーターは)現実での実用に備えて、こうしたツールの使用に関する明確な目的や文脈が使用者に伝えられるべきだ。こうしたツールを使ったシミュレーションは実際の環境を可能な限り正確に描き、AAR(※)をより容易にする。だから、(ツールを使用する)個人や集団は自分たちの行動がもたらすインパクトを理解できる」

※AAR=After Action Review:個人や組織を評価する際の欠点を補うための、第三者による評価支援システム。米軍で採用されている。

民間技術のVR/ARを軍事転用するにあたり様々な議論がありそうですが、コストカットや運営の手軽さなどの数多くのメリットもあります。今後VR/ARは軍事分野においても普及することは間違いなさそうです。

まとめ

VR/ARの軍事分野での活用は数多くの取り組みが存在します。米陸軍ではVR/ARを使用した訓練システムの開発が行われており、また米海軍では艦船の艦砲射撃システムにARを使用しています。

また、視認性の低い装甲車両の乗員向けにVRが導入されたり、最近ではOculus創業者が防衛企業を設立し、VRやロボットを活用した防衛技術の開発を行っています。

このようにVR/ARは軍事・防衛分野でも活用が進んでおり、10年以内に2,000億円規模の市場になると予測されています。民間技術を軍事転用するにあたって様々な議論は行われるでしょうが、大きなメリットをもたらす技術として様々な開発・研究が行われそうです。

参考サイト:ZDNet
 










フリーランスの翻訳ライター。XR、VTuber、人工知能を専門に各種メディアに寄稿しています。 Twitter: https://twitter.com/dsiwmr

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